SystemReadyに「SystemReady VE」を追加
さて今回のちょっと新しい話題である。Armは2020年のDevSummitでSystemReadyを発表しているが今回これに新しく「SystemReady VE」を追加した事が発表された(Photo08)。
要するにこれは既存のハードウェアに対する仮想環境に関するもので、例えばすでに提供しているハードウェアのFirmware Updateを作成したとして、それをいきなり実機で試すのではなく仮想環境でチェックするといった形で利用する事を念頭に、仮想環境上でその他のSystemReadyの認証を取得したソフトウェアがそのまま稼働する事を保証するためのもの、という話であった。
この最初の認証を取得したものが、やはりAmpere Altraになる、との事だそうだ(Photo09)。
このSystemReady、過去18か月の間に50以上の認証が取得されたそうである(Photo10)。
次に5G周り。特にO-RAN絡みで多くのベンダーが参入しており、ここにArmを採用する事例は非常に多くなりつつある(Photo11)。
これに関し、ArmはTech Mahindraと共同で2022年2月に5G Solution Labを開設、すでに多くの企業がこれを利用し始めているとしている(Photo12)。
国内で言えば、楽天が利用企業の名前の1つとして挙げられる(その他の企業については現時点ではまだ公開できないとの事)との事だった。
最後に日本のスーパーコンピュータ「富岳」について触れ、富岳によってHPCマーケットの足掛かりができた事を大きくアピールして、氏の説明は終わった(Photo13)。
ということで、先に述べたSystemReady VEを除くと今回は特に新製品とか新技術の話はなかった格好になるが、2016年にソフトバンクに買収されてからおよそ6年弱、Neoverseを発表してから4年弱で、ここまで急速にArmがInfrastructureのマーケットを掌握すると予想していた人は少ないと思う。
その最大の要因はエコシステムをうまく作れたことだが、その陰の要因はソフトバンクによる買収で投資を大幅に増やせたことにあり、これはBergey氏も述べていた。
すでにこのエコシステムはパートナーによる再投資などで自律的に回転を始めており、今後はどんどん大きくなってゆくだろう。このマーケットを例えばRISC-Vが狙ったとして、ではRISC-V企業がArmが投資する以上の金額をエコシステム構築に費やせるか? というと甚だ疑問ではあり、当面このマーケットはx86とArmという2大アーキテクチャが分け合う形になってゆく様に思われる。そうした勢いを感じさせる説明であった。