ソニーグループは5月10日、2021年度の連結業績を発表。売上高は前年同期比10%増の9兆9,215億円、営業利益は同26%増の1兆2,023億円と、いずれも過去最高を更新した。PlayStation 5の2022年度の販売台数は1,800万台を想定している。

  • ソニーグループ副社長 兼 CFOの十時裕樹氏

為替の影響に加えて、映画、⾳楽、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)の大幅増収が売上高に寄与。さらにEP&S、映画の各分野における⼤幅な増益が営業利益を押し上げた。純利益は一時的な影響として、繰延税金資産の評価減の戻入れがあった前年度から14%減の8,822億円となっている(調整後の純利益は同3%増の8,009億円)。

なお、同社の2021年度連結売上高に占めるウクライナおよびロシアでの事業規模は0.7%程度で、十時氏は「業績への影響は限定的だが、今後の世界経済への影響を注視する」とコメント。また、「2022年度は、対処すべきリスクや課題の多い、とりわけ厳しい外部環境になる。CFOとして最大級の警戒感を持って経営に当たっていく」とした。

  • ソニーグループの2021年度連結業績

  • 2021年度 セグメント別業績

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の売上高は、前年度比3%増の2兆7,398億円。営業利益は、自社制作以外のゲームソフト販売減の影響があったもののPS5本体の収益性が改善し、同44億円増の3,461億円となった。

PS5本体の2021年度の販売台数は1,150万台で、当初設定していた1,480万台超という数値には届かなかった(既報の通り、同社の2021年度第3四半期の連結業績説明会のなかで、2021年度 PS5販売台数の修正後の見通しを示していた)。累計販売台数は1,930万台を突破している。なお、2022年度の販売台数は約57%増の1,800万台を目標としている(現時点で部品調達のメドが立った分の数値)。

十時氏は、2022年度のPS5販売台数目標と、実際の需要の認識について報道陣から問われたのに対し、「需要はもう少し高いレベルにあり、若干足りないと考えている。在庫の水準も非常に低く、消費者に製品をタイムリーに届けるにはまだ足りない」とコメントした。

  • PS5の2022年度の販売台数は1,800万台(約57%増)を見込む

テレビやオーディオ、デジタルカメラなどのエレキ事業であるEP&S分野の売上高は、前年度比13%増の2兆3,392億円。為替の影響で1,038億円プラスとなったほか、製品ミックスの改善によるテレビ、デジタルカメラの増収が寄与している。営業利益は、テレビやデジタルカメラの販売台数減の影響があったものの、前述の為替の影響や製品ミックスの改善によって851億円増の2,129億円となった。

2022年度の見通しとしては、売上高は販売台数減によるテレビの減収があるものの、為替のプラスの影響などにより前年度比3%増の2兆4,000億円を想定。一方、営業利益については物流費などのオペレーション費⽤増により、同329億円減の1,800億円になると見込んでいる。

なお、ソニーグループは今回から、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野の名称を、「エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野」へ変更した。この変更にともなうセグメント間の事業組替えはない。

  • 「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野」の名称を「エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野」に変更

音楽分野の売上高は1兆1,169億円で、前年度比19%(1,711億円)増の大幅増収を記録。為替の影響に加えて、音楽制作や音楽出版における有料会員制および広告型ストリーミングサービスからの増収が寄与。営業利益も261億円プラスの2,109億円となった。2022年度の見通しは、引き続きストリーミングサービスからの収入増加などによる増収増益を想定し、売上高は前年度比11%増の1兆2,400億円、営業利益は2,300億円を見込む。

映画分野も、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のヒットや、動画配信サービスおよびカタログ作品からのライセンス収入増加などを受けて、大幅な増収増益を記録。売上高は前年度比65%増の1兆2,389億円、営業利益は1,375億円増の2,174億円となった。2022年度見通しでは、売上高1兆3,300億円、営業利益1,000億円を見込んでいる。

  • 映画分野では、『Ghost of Tsushima』や『THE LAST OF US』といったゲームタイトルの映像化が進行していることもアピール

イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の売上高は、前年度比6%増の1兆764億円。為替の影響に加え、デジタルカメラや産業機器向けイメージセンサーの販売数量増加で増収となった。営業利益は97億円増の1,556億円。2022年度の見通しでは、売上高が前年度比37%増の1兆4,700億円、営業利益2,000億円を想定。大判化・高付加価値化がトレンドとなっているモバイル機器向けイメージセンサーの増収を見込む。

2022年度の連結業績見通しは、売上高が前年度比15%増の11兆4,000億円、営業利益は同4%減の1兆1,600億円。純利益は同6%減の8,300億円としている。

  • 2022年度 連結業績見通し

  • 2022年度 セグメント別業績見通し