米Microsoftは4月5日(現地時間)、ハイブリッドワークをテーマとしたWindowsイベント「Windows Powers the Future of Hybrid Work」を開催、「Windows 11」および「Windows 365」への追加を予定している新機能を披露すると共に、Windowsへのクラウド統合の計画を明らかにした。新機能の提供時期は不明だが、すでにWindows Insiderプログラムで試されている機能も多く、いくつかの機能はWindows 11の大型アップデートを待たずに順次リリースされていくと思われる。

今年はファイルエクスプローラーが刷新される年になりそうだ。新たにHomeが設けられ、複数のエクスプローラーを1つのウインドウでまとめて扱えるタブ機能が実装される。タブはマルチタスクを必要とするユーザーから強く要望されている機能の1つだという。

  • ファイルエクスプローラーのタブと新しいHome

    タブ機能と新しいHomeを備えたファイルエクスプローラー

また、AIを活用して実用的なインサイトを提供する「Context IQ」がファイルエクスプローラーにも用いられる。クラウドとローカルから必要な書類やデータを見つけることがハイブリッドワーク環境の課題の1つになっており、ファイルエクスプローラーでの検索に対してContext IQが関連性の高いファイルや共有するための連絡先などを提案する(Contextual suggestions)。ユーザーはエクスプローラー上でローカルとクラウドのどちらにあるのかを見分けられ、必要なファイルをお気に入りセクションに登録できる。

スタートメニューにアプリフォルダが導入され、登録したアプリをフォルダ分けして整理できるようになる。フォルダはユーザーが任意の名称に変更可能。パーソナライズ機能も導入されるようだが、ファイルエクスプローラーのようにContext IQを活用した機能になるのか、現時点で詳細は不明だ。

  • スタートメニューのアプリフォルダ

    スタートメニューに登録したアプリをフォルダで整理

マルチタスクを支援するスナップレイアウトも強化点の1つ。画面上部にウインドウをドラッグすると全てのレイアウトが並ぶゾーンを表示。また、タッチ対応デバイス向けにスナップビューを最適化、タッチ操作でスナップレイアウトを表示・選択できるようにする(Touch Snap layouts)。

質の高いオンラインコミュニケーションを実現するために、Windows、Surface、Microsoft Teamsの開発チームが協力。会話の声をクリアに伝える「Voice clarity」「Voice focus」、「Automatic framing」(自動フレーミング)「Portrait background blur」(背景をぼかす)「Eye contact」(自然なアイコンタクト)といったAIも活用した機能によって、より自然で快適なオンライン会議を可能にする。

リモート会議が普及した一方で、オンラインで手軽に始められる会議やコミュニケーションによって集中したい仕事が邪魔される弊害も大きくなった。そこで、通知の表示をコントロールする「Do Not Disturb」、作業に集中できる環境を整える「Focus」をWindows 11に導入する。

音声認識によるリアルタイムの字幕(キャプション)機能をWindowsに組み込み、Webサイトの音声やアプリの音声など、Windows上の全ての音声に自動キャプション機能を使えるようにする(Live Captions)。自動キャプションは耳の不自由な人のPC利用をサポートし、また母国語以外の言語の聞き取りの確認、音を出せない環境での音声確認など、全てのユーザーにとって有用な機能になる。

セキュリティ関連では「Smart App Control」と「Microsoft Defender SmartScreen」が紹介された。「Smart App Control」は、コード署名とAIモデルを用いてアプリの信頼性を確認し、改ざんや変更の可能性があるアプリの実行をブロックする。「Microsoft Defender SmartScreen」は、Microsoftアカウントの認証情報を入力する際にMicrosoft Defenderが悪意のあるアプリやハッキングされたWebサイトの振る舞いを検出して警告を発する。

WindowsとクラウドPCを統合

ハイブリッドワーク環境をテーマとしたイベントでキーワードになっていたのが、柔軟でダイナミックなコンピューティング環境を実現する「クラウドの力」だ。今はMicrosoft 365がWindows PCにクラウドの力をもたらし、Windows 11への移行とともにクラウドとローカルの融合が進行している。

Microsoftは昨年、ハイブリッドワークのさらに将来を見据えて、クラウド側にWindowsを置いたクラウドPC「Windows 365」の提供をビジネス向けに開始した。次のステップとして、同社はWindowsとWindows 365を密接に結びつけようとしている。クラウドPCには、クラウドの力を存分に引き出せる大きな可能性がある。それをWindows PCにもたらすことで、Windowsユーザーがよりフレキシブルで、よりダイナミックな体験を享受できる。

WindowsとクラウドPCの統合はこれから時間をかけてシームレスかつ継続的に行っていく。イベントの最後に、Panos Panay氏(Windows担当エグゼクティブバイスプレジデント兼最高プロダクト責任者)が、その統合シナリオの始まりとして以下の3つの新たな体験を公開した。

  • Windows 365 Switch:クラウドPC(Windows 365)とローカルのWindowsをワンクリックでシームレスに移動。
  • Windows 365 Boot:ローカルPCを起動するように、PC起動時に直接Windows 365にログイン。
  • Windows 365 Offline:Windows 365での作業をオフライン時にも継続できるようにし、オフライン時の作業データを自動的にクラウドに再同期する。
  • Windows 365 Switch

    Windows 365 Switch

  • Windows 365 Offline

    Windows 365 Offline