独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は4月1日、電動工具やコードレス掃除機用の互換バッテリー(非純正バッテリー)による事故が多発していることを受け、注意喚起を行った。互換バッテリーは、設計不良で異常発生時に安全保護装置が作動せず発火に至るリスクが高いほか、リサイクルルートが確立されておらず廃棄が困難な場合があるとした。

  • 電動工具やコードレス掃除機用として販売されている互換バッテリー(非純正バッテリー)、純正品よりも格段に安いのが魅力だが、互換バッテリーの発火事故が増えているという

NITEに通知があった互換バッテリーによる事故情報は、2017年~2021年の5年間で134件が発生。これらの事故は、すべて製品や周囲が焼損した事故で、特に直近の3年間は事故が多発し、家屋の全焼事故も珍しくないという。

多くの場合、事故は使用中や充電中に発生。最近では、充電後に置いていただけなのに発火する事例も報告されている。発火したものは、リチウムイオンバッテリーが使用されているものが多い。リチウムイオンバッテリーは事故が起きると大きな火災に発展しやすいのは、内部に可燃性のガスなどが含まれているためだとしている。

【動画】互換バッテリーの実験映像。いきなり爆発したり火を噴いていることが分かる

互換バッテリーが販売されている製品の代表例は、スマートフォン、電動工具、コードレス掃除機、ノートPCなど。2019年と2021年は、コードレス掃除機で使われた互換バッテリーの事故が多く、2020年は電動工具での事故が多かった。互換バッテリーの事故が多く発生したのは、有限会社すみとも商店、ロワ・ジャパン有限会社が輸入したもの。

  • 電動工具や電動掃除機(コードレス掃除機)用互換バッテリーの事故が急増していることが分かる

  • 互換バッテリーが販売されている家電の例

互換バッテリーは、純正バッテリーより多くのリスクを抱えている。純正品と比べた場合の互換バッテリーのおもなリスクは以下の通り。

  • 設計不良で、異常発生時に安全保護装置が作動しないリスクが高い
  • 品質管理が不十分な場合があり、普通に使っても事故に至るリスクが高い
  • 事故が発生した際、メーカーの対応や補償を受けられない場合がある
  • リサイクルルートが確立されておらず、廃棄が困難な場合がある

【動画】バッテリーを金属製のゴミ箱や土鍋などに入れておけば、万が一発火した際も室内への延焼を防げる可能性が高まる