米AMDは現地時間の3月17日、「Radeon Adrenalin Edition 22.3.1」をリリース。新しくRSR(Radeon Super Resolution)や、FSR 2.0を搭載した。この性能確認も兼ねて、ちょっとご紹介したいと思う。

新機能は4つ

まずRadeon Software Adrenalin Edition 22.3.1の変更点とか改良点をご紹介したい。最大の目玉はRSRである。これは要するに、「FSR未対応のアプリケーションであっても、Super Resolutionを利用できる」という仕組みだ(Photo01)。設定方法などは後で説明するとして、これによって大幅なフレームレート向上が実現する(Photo02,03)というものだ。

  • AMD、RSRやFSR 2.0搭載のRadeon Software Adrenalin 22.3.1を公開 - 実性能を試してみる

    Photo01: 対応機種はRadeon RX 5000シリーズ以降となるので、VegaとかPolarisなどの従来アーキテクチャは未対応。なのでRyzen 4000Gシリーズとかでは使えないのがちょっと残念。

  • Photo02: Warframesでの性能向上例。

  • Photo03: その他のFSR非対応アプリケーションでの性能向上例。ところでFootNoteにはCyberpunk 2077の名前が挙がっているのだが、数字が示されていないのは何故だろう?

二つ目がAMD Linkで、1台のマシンで最大4人まで同時プレイが可能になった(Photo04)。説明によれば、例えばFIFAシリーズとかF1シリーズなどで、ローカルのプレイヤーを招いてローカルでプレイが可能になったという話である。

  • Photo04: こちらの機能は今回試していない。それはともかく、"Supports Intel and NVIDIA powered platforms"は、Windows Client for AMD Linkを利用する場合に、そのWindows Clientが動くのは非AMDマシンでもOKになった(従来はRadeonが必須)という話だ。

三つ目がRIS(Radeon Image Sharpening)で、3D以外の表示においてもImage Sharpeningが利用可能になった(Photo05)。

  • Photo05: これまでRISはあくまで3Dの表示でのみ有効だったが、今回はこれが普通のDesktop Applicationからも利用になった。

最後がFSRであるが、今回からFSR 2.0にバージョンアップされた(Photo06)。FSR 1.0とFSR 2.0の違いだが、FSR 1.0がSpatial Super Sampling(空間情報を基にしたSuper Sampling)、FSR 2.0がTempolal Super Sampling(時間情報を基にしたSuper Sampling)になるという話である。これにより、QualityとかPerformanceといった、Upscaleの幅が大きいケースでも、画質が向上した(Photo07,08)というのが同社の説明だが、定量的な指標が無いのでこの辺りは何とも言い難い。このFSR 2.0の詳細は、GDC 2022において3月23日に説明が行われるという話であった(Photo09)。

  • Photo06: 画質が1.0より向上した、としているが正直現時点では確認できない。

  • Photo07: Quality Modeので比較。違いが判るか?というと良く判らない。

  • Photo08: Balanced Modeので比較。こちらも、FSR 1.0/2.0共にディテールが悪化してるのはまぁ仕方がないとして、2.0の方が1.0よりマシという話なのだが、筆者には違いが判らなかった。

  • Photo09: FSR 2.0はIn-Game Solution、つまりゲームの側のグラフィックパイプライン中に組み込まれる形になるので、現時点ではこれを試すのは不可能である。

なお冒頭に出て来たRSRであるが、これはFSR 1.0と同じSpatial Super Samplingをドライバの側に実装した、という話であった。将来的にはRSR 2.0とかになってTempolal Super Samplingになるのかもしれないが、そのあたりは今回説明が無かった。

  • Photo10: RSRとFSRの違い。

RSRの設定方法

そのRSRの設定方法であるが、やるべきことは

(1) Radeon Softwareの設定画面で、RSRを有効にする。
(2) 画面表示解像度を下げる

の2つである。

まず(1)であるが、Radeon Softwareを起動し("Alt"+"R"でも立ち上がる)、グローバルグラフィックスにある"Radeon Super Resolution"を有効にするだけだ(Photo11,12)。

  • Photo11: 標準では無効化されている。ちなみに初回Onにするときは、ダイアログの形で色々説明が出てくる。

  • Photo12: 有効になった後。ちなみに動作モードの設定は当然ながら無い。

次が(2)であるが、例えば筆者の環境だと4Kモニターを使ってベンチマークを行っている。なので、普段はWindows 11のディスプレイ設定で、画面解像度を3840×2160pixelにしている(Photo13)が、これを例えば3200×1800pixelに変更する訳だ(Photo14)。これにより、あとはゲーム側の画面解像度に応じてRSRが起動するという仕組みになる。

  • Photo13: 老眼には28inch 4KのNativeは厳しいので、拡大率は200%にしている。

  • Photo14: この場合、拡大率を175%にすると丁度4K/200%と同じ表示になる。

要するにRSRは、常に本来モニターの持っている最大の画面解像度で表示する様にアップスケーリングする、という仕組みである。4Kの場合で言うなら

ゲーム内解像度 表示
1920×1080pixel 3840×2160pixel(200%拡大:Performance設定相当)
2560×1440pixel 3840×2160pixel(150%拡大:Quality設定相当)
3200×1800pixel 3840×2160pixel(120%拡大:UltraQuality設定相当)
3840×2160pixel 3840×2160pixel(RSR無効)

という形で動くわけだ。RSRの設定に画質の変更項目が無いのは、ゲーム内解像度の変更でこの設定が出来るから、という事になる。だったら別にそもそもWindows 11のディスプレイ設定を変更する必要は無いのでは? と思わなくもないのだが、RSRの設定を有効にしながら画面解像度をフルの状態で動かすと、こんな具合にRSRが無効である事が示される(Photo15)。一方で画面解像度を3200×1800pixelに下げると、イエローのダイアログがグリーンに変わり、RSRの対象になっていることが示される(どうやってもキャプチャ出来なかったので写真は無し)。ちなみに既にFSR対応のアプリケーションの場合、RSRはそもそも動かない(Photo16)。

  • Photo15: これは3DMark Port Royalのデモ画面。

  • Photo16: 現時点ではまだFSR 2.0対応のゲームは存在しないので、FSR 1.0での動作となる。

ということで、実際に試してみたいと思う。今回Radeon RX 6700 XTとRadeon RX 6800 XTの2つを用意し、RSRの効果を確認してみた。テスト環境は表1に示す通りである。ちなみにドライバのRadeon Software Adrenalin 2020.22.3.1 Mar02は評価用に配布されたもので、一般公開はされていない。

■表1
CPU Core i9-12900K
M/B ASUS Prime Z690-A
BIOS 0703
Memory Micron CMK32GX5M2A-4800C40(DDR5-4800 CL40 16GB)×2
Video AMD Radeon RX 6700 XT Reference
AMD Radeon RX 6800 XT Reference
Driver Radeon Software Adrenalin 2020.22.2.3 Feb24
Radeon Software Adrenalin 2020.22.3.1 Mar02
Storage Seagate FireCuda 520 512GB(M.2/PCIe 4.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 11 Pro 日本語版 21H2 Build 22000.556

なおグラフ中の表記であるが、

FSR 1.0:Radeon Software Adrenalin 2020.22.2.3 Feb24を利用
FSR 2.0:Radeon Software Adrenalin 2020.22.3.1 Mar02を利用

としている。また本文中の解像度表記は

2K :1920×1080pixel
2.5K:2560×1440pixel
3K :3200×1800pixel
4K :3840×2160pixel

となっている。