ソニーは、2つのハイエンドウォークマン新機種を3月25日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、アルミ製ボディで内蔵メモリ128GBの「NW-WM1AM2」が約16万円前後、無酸素銅ボディを採用した256GBの「NW-WM1ZM2」が40万円前後。どちらもAndroid採用で音楽ストリーミングアプリが使えるなど、従来機種から大幅に進化している。

  • NW-WM1AM2(左)、NW-WM1ZM2(右)

音質最優先の設計が特徴の「Signature Series」で展開している高級ウォークマンの最新機種。2016年発売の「NW-WM1Z/WM1A」以来、約6年ぶりとなる後継機で、ウォークマンとしては2019年発売の「NW-A100」、「NW-ZX500」以来、久しぶりの新機種投入となる。

どちらも厳選したパーツを投入したハイエンド機であるNW-WM1Z/WM1Aをさらにブラッシュアップ。2機種の違いは本体の素材や一部の内部パーツで、オーディオプレーヤーとしての機能面での違いはない。内蔵メモリはWM1AM2が128GB、WM1ZM2が256GBで、microSDカードスロットも備えている。また、充電/データ転送用の端子は、従来機種で採用していたWM-PORTからUSB Type-Cに変更している。カラーはWM1AM2がブラック、WM1ZM2はゴールド。

WM1ZM2/WM1AM2の主な特徴

どちらもディスプレイが4型/854×480ドットから5型/1,280×720ドットへと大型化・高精細化。これにより、本体サイズが従来機種からひとまわり大きい141.4×75.6×20.8mm(縦×横×厚さ)となり、重さはアルミ製のWM1AM2が299g、銅製のWM1ZM2が490gになった。

  • 無酸素銅を本体素材に使った「NW-WM1ZM2」(ゴールド)

  • アルミ製「NW-WM1AM2」(ブラック)

最上位機の無酸素銅シャーシは、初代WM1Zでは純度99.96%の素材が使われていたが、WM1ZM2では99.99%(4N)のものに変更し、純度約99.7%の高純度金メッキも施して、高音質と高剛性の両立を図った。開発陣によると、「伸びのある澄んだ高音、クリアで力強い低音域」を実現し、音の空気感や余韻の表現力向上にもつながったとする。背面のリアカバーは切削加工したアルミを用いている。

  • WM1ZM2(上)とWM1AM2(下)の開発工程。左の金属の塊からシャーシを成型している。素材は、前者は純度99.99%(4N)の無酸素銅、後者はアルミ

  • NW-WM1ZM2のリアカバーはアルミを切削加工したものを採用

また、アルミシャーシを採用したWM1AM2についても、初代機では押し出しの樹脂とコルソン銅の2分割リアカバーを採用していたが、この材料を一体型アルミとすることで、さらなる高剛性化を図ったという。

  • NW-WM1AM2のリアカバーは一体型アルミで仕上げた

ステレオミニの出力に加え、バランス出力として4.4mmの端子を搭載する点は従来機種と同じだ。最上位のWM1ZM2ではヘッドホン出力の内部配線に太いキンバーケーブル(OFCケーブル)を採用し、外部ノイズを遮断して高品位なオーディオ信号の伝送を追求。ほかにも、どちらも金を添加した新たな高音質はんだを使い、音の広がりや定位感の向上を図った。

  • 本体上面に4.4mmバランス出力とステレオミニ出力を備える

WM1Z/WM1AはオリジナルのOSを採用していたが、新しいWM1AM2/WM1ZM2ではAndroid OSを採用。SpotifyやApple Music、Amazon Musicといった音楽ストリーミングサービスのアプリが利用できる。

  • Androidのホーム画面

Android OS搭載でも高音質を実現するために、基板上でアナログブロックとデジタルブロックを分離して距離を取り、SoCなどを搭載したデジタルブロックには切削無酸素銅のシールドを被せて、外部ノイズを遮断するといった物理的な対策を行い、さらに電源周りも強化している。

また、Signature Seriesのデジタルミュージックプレーヤー「DMP-Z1」で搭載しているものと同じサイズの水晶発振器を採用し、オーディオブロックの電源部にはバイパスコンデンサー「FTCAP3」を採用するなど、高品位なパーツも盛り込んだ。

  • メイン基板

  • 切削無酸素銅のシールドを被せてノイズを遮断する

アンプはソニー独自のフルデジタルアンプ「S-Master HX」を搭載。高音質化技術については、従来機種では「DSEE HX」を搭載していたが、WM1AM2/WM1ZM2では最新の「DSEE Ultimate」に刷新。両機種では有線接続、かつ標準の「W.ミュージック」アプリで音楽を再生しているときだけでなく、Bluetoothによる無線接続時や、音楽ストリーミングアプリの利用時も高音質化技術を適用できるようになっている。

DMP-Z1で搭載していた、入力されたPCM音源をDSD信号に変換する「DSDリマスタリングエンジン」をウォークマンで初搭載。さらに、DMP-Z1では5.6MHzまでの対応だったが、WM1AM2/WM1ZM2では11.2MHzに進化させている。同機能はオン/オフを切り替えて使える。なお、DSDネイティブ再生については、従来通りバランス接続時のみとなる。

どちらも本体の右側面には物理ボタンを引き続き搭載し、画面を見ずに操作できる。microSDカードスロットは側面に移動した。

バッテリー持ちを強化しており、どちらも最長40時間再生可能(MP3 128kbpsまたはFLAC 96kHz/24bit再生時)。DSD 2.8MHz再生時は15時間聴ける。また、前述の通り、充電/データ転送用のUSB Type-Cを本体下部に備える。

  • 本体の右側面には物理ボタンを引き続き搭載。ちなみにボタンの配置は、従来機種から若干変わっている

  • microSDカードスロットはどちらも側面に移動。左が新機種で、右が従来機種

  • WM-PORTに代わってUSB Type-Cを新搭載

オプションとして、ウォークマンを保護しながら側面のボタンやUSB Type-Cにアクセスできるレザーケース「CKL-NWWM1M2」(3月25日発売/オープンプライス/実売約11,000円前後)を用意する。

  • CKL-NWWM1M2

実機の使い勝手を試した、工藤寛顕氏によるWM1AM2/WM1ZM2のファーストインプレッション記事はこちら