昨年(2021年)はWindows 11の登場など話題に事欠かさなかったWindows周り、今年(2022年)の動向や展望をまとめてみたい。執筆時点ではまず、Windows 11の動向に関する公式な情報は現時点で存在せず、Microsoft 365ロードマップも2022年に実装する機能情報は掲載していない。

となると、DevチャネルのWindows 11 Insider Previewから察するしかないが、直近のビルドで目立つのは「設定」の再構成だ。たとえば「アプリ/アプリと機能」を「アプリ/インストールされているアプリ」「アプリの詳細設定」という2カ所に分割し、アプリに関する項目を再整理している。

  • Windows 11 Insider Preview ビルド22523の「設定」

デスクトップの背景画像をBingなどから自動取得するスポットライトコレクションや、絵文字周りの強化など目立った改良は少ないものの、興味深いのはWindows Latestが現地時間2021年12月19日に公開した記事だ。Microsoftは2017年からUIの再設計を目的としたFluent Design Systemに沿って、自社製品のUI刷新に取り組んできたが、Windows 10では部分的、Windows 11はエクスプローラーのボタン類など各所に採用している。Windows 11のデザインに関する公式ブログもご覧いただきたい。

  • Windows 11の各所で使われているFluent Design Systemのアイコン群(画像は公式ブログから抜粋)

Fluent Design Systemは、Acrylic(アクリル)と呼ばれる半透明のテクスチャーでスタートメニューや「設定」の透明度を演出してきたが、今後はWindows 11の段階で加わったMicaを多用する予定だと、同記事では紹介している。リンク先の公式ドキュメントでは、背景画像のサンプリングを1回で済ませて視覚エフェクトを作成するため、アプリのパフォーマンスに特化した素材であると解説している。

つまり低スペックなPCでも、Windows 11の性能改善が見込めるということだ。2022年はWinUI 3のGA(一般提供)も予定しているため、Windows 11上で動作するアプリは驚きを与えてくれるだろう(合わせて混乱も与えてくれそうだ)。

  • Surface Pro Xで実行中のKindleアプリ(画像は公式ブログから抜粋)

アプリで思い出したが、現在DevチャネルのWindows 11 Insider Previewと、米国市場で限定提供中のWSA(Windows Subsystem for Android)の存在も興味深い。Miracastを用いたミラーリングではなく、WSL(Windows Subsystem for Linux)と同じくWindows 11内にAndroid実行環境を構築して、Androidアプリを実行するというものだ。

基本的にはAmazonアプリストアで配布中のアプリに限定されるものの、海外にはGoogle Playへのアクセスを可能にした強者もいるようだ(ここではライセンス関連には言及しない)。Windows用Androidエミュレーターとしては、BlueStacksNoxPlayerが有名だが、実行環境がない以上、単純に比較することは難しい。加えてWSAはAndroid開発環境を主軸に置いているため、方向性も異なる。

この辺りは日本語環境で利用可能になった時点で掘り下げてみたいが、気になるのは提供時期だ。Windows 11初の機能更新プログラム提供に合わせてWSAを目玉にするのであれば、公式ブログによる発表の一年後となる2022年後半になるのだろう。