KDDIは6日、すでに発表済みのタフネススマートフォン「G'zOne TYPE-XX」の発売日を12月10日に決定したと発表した。カシオ計算機の携帯電話事業撤退に伴い新製品が途絶えていたG'zOneシリーズの20周年記念モデルとして位置づけ、カシオのデザインによるG'zOneが9年ぶりに復活した形だ。価格は52,800円。

  • G'zOne TYPE-XX クローズ時
  • G'zOne TYPE-XX オープン時
  • 復活した往年の名機「G'zOne」の最新モデル「G'zOne TYPE-XX」

G'zOneは、『G-SHOCK』で知られるカシオによる、高いタフネス性能で人気を博した携帯電話/スマートフォンで、2000年の「C303CA」以来、世代を重ねて愛されてきたが、カシオが2012年のG'zOne TYPE-Lを最後に携帯電話端末事業から撤退したことで新製品も投入されなくなった。

  • カシオの携帯電話端末ラインナップ1
  • カシオの携帯電話端末ラインナップ2
  • ズラッと並んだカシオケータイ。2000年2月の「C303CA」から2012年11月の「G'zOne TYPE-L」まで35機種となっている

後期にはフルタッチパネル型の製品も投入されていたが、2005年の「G'zOne TYPE-R」以来、折りたたみ型のフィーチャーフォンスタイルの製品は継続して人気で、今なお利用している人がいるという唯一無二の製品となっている。

  • C303CA

    「G'zOne性能」という形でG'zOneの名前を冠した「C303CA」

  • C452CA

    正式にG'zOneブランドを冠した「C452CA」

  • G'zOne TYPE-R オープン時
  • G'zOne TYPE-R クローズ時
  • 世界初の折りたたみ型で防水防塵耐衝撃のタフネス性能を備えた「G'zOne TYPE-R」

  • G'zOne TYPE-X オープン時
  • G'zOne TYPE-X クローズ時
  • 直接の「前モデル」とも言うべき「G'zOne TYPE-X」

そのG'zOneが、2010年に登場したG'zOne TYPE-Xのスタイルを引き継いだ「G'zOne TYPE-XX」として復活した。すでに8月に発表され、発売時期は11月以降とされていたが、今回改めて12月10日の発売が決定した

「実現に4年間かかった」と振り返るのはKDDIのパーソナル企画統括本部プロダクト企画部の近藤隆行氏。2012年にG'zOneが終了したあとも、キャンプや登山、アクトドアシーンなどで根強いファンがいる。長い人では15年もの長きにわたって利用しているという人もいるそうで、物理ボタンのあるフィーチャーフォンスタイルの端末が必要という声も多かったという。

  • 近藤隆行氏

    企画を担当した近藤隆行氏

  • G'zOneユーザーから寄せられた声

    G'zOne利用者の98%がスマートフォンではなく、最長で15年の利用。3月末に3Gが停波するため、G'zOneが利用できなくなることから、継続したいという声が多数寄せられたという

特にG'zOneユーザーは他のフィーチャーフォンユーザーに比べて既存のラインナップに対する不満が多く、同一ブランド・同一メーカーを希望する傾向が強かったそうで、「タフネスシリーズの先駆者として熱意に応えたい」(近藤氏)と商品化を決めた。

20周年を機とした商品化を目指して開発をスタート。すでに携帯電話端末事業から撤退していたカシオは端末の開発・製造が行えないため、そのメーカー探しからプロモーションをどうするか、スペック・コストはどうなるかといった課題もあり、最終的に発売まで4年間を要したという。その結果、2000年から数えて21年となる2021年の発売となり20周年には間に合わなかったが、企画としては20周年記念モデルという位置づけで発売する。

製造は、KDDI向けにタフネススマートフォン「TORQUE」を提供している京セラに決定。デザイン面ではカシオの歴代G'zOneチームが再集結して担当したという。「企業の垣根を越えた奇跡の商品」と近藤氏はアピールする。

閉じた状態のサブディスプレイは初めてきちんと円形のディスプレイを採用。初代G'zOneをモチーフにした円形のテンキー、背面のスクリュータイプのバッテリーロックを採用するなど、従来のG'zOneのモチーフを生かしたデザインとなっている。着信音もG'zOne TYPE-Xに搭載されていたものをリメイク。音数の問題で収録できなかった「幻の曲」も今回は搭載しているそうだ。

  • デザインについて

    新たなデザインとなり、サークルディスプレイを採用。C303CAをオマージュした円形ボタンやスクリューバッテリーロックを採用した

最終的な製品も、G'zOne TYPE-XXの最初のコンセプトデザインにバンパーとプロテクターが追加されただけで、カシオ側のデザインをほとんど変えることなく製造。京セラの高い技術力によって実現した、という。

  • コンセプトデザインと最終デザイン

    左が当初のコンセプトデザイン。右が最終デザインで、バンパーとプロテクターが追加された

追加されたプロテクターは、単に衝撃に対するものとしてだけでなく、ダクト風のデザインにして内部に空気を送り込み、内部の温度センサーに外気を取り込む役割も担っているという。

  • プロテクターの役割

    プロテクターは外気を取り込むことが可能になっている。隠しキャラのカシオペンギンもきちんと搭載

  • プロテクターの細部

    プロテクターを見ると、やや分かりにくいが穴が空いていることが見て取れる

  • バッテリーロック

    スクリューバッテリーロック

  • バッテリ交換

    今となってはレアなバッテリーの交換が可能なデザイン。バッテリーを取り外すとSIMスロットにアプローチできる

  • TYPE-XとTYPE-XXの比較。オープン時
  • TYPE-XとTYPE-XXの比較。クローズ時
  • G'zOne TYPE-X(左)との比較

タフネス性能は従来通りで、高さ1.8mから落下しても壊れない耐衝撃性能に加え、19項目のMIL規格に対応。今回初めて塩水噴霧への耐性も備えたことで、船上で釣りの際に利用するといった場合も安心して使えるようになった。

  • タフネス性能

    従来のタフネス性能に加えて塩水の噴霧にも耐えられる性能

内蔵アプリとしては、天気や温度、気圧・高度、天気予報、コンパス、歩数、潮汐、魚の活性度といったアウトドアシーンで活躍する機能を搭載。山中で活用できるホイッスル音やクマ鈴などの音を鳴らせるブザー機能なども備えている。

  • ボディ前面
  • ボディ背面
  • 安心感を感じるハードなボディ

  • 折りたたみスタイル

    折りたたみ型のスタイルは懐かしさも感じる

  • 円形ディスプレイ

    円形ディスプレイなのでよりかっこよくなった

  • 左側面
  • 右側面
  • 本体側面

  • 左側面、折りたたみ状態
  • 右側面、折りたたみ状態
  • 折りたたんだ状態の側面

  • 底部
  • USB Type-Cポート
  • 底部側には、カバーに覆われているがUSB Type-Cポートを備える

  • 物理ボタン

    物理ボタンなので、グローブを装着していても操作しやすい

  • アウトドア向けのアプリ

    アウトドア向けの各種アプリを搭載

別売アクセサリとして、ナット型の卓上ホルダ、首掛けやカラビナでの取り付けが可能な2WAYストラップ&マルチケースの2種類も用意される。

  • アクセサリ

    別売のアクセサリも用意

  • 卓上ホルダ

    ナット型の卓上ホルダ

  • 2WAYストラップ&マルチケース

    首掛けとカラビナの付け替えができる2WAYストラップ&マルチケース

  • マルチケース

    マルチケースには予備バッテリーなどを収納できる

価格は52,800円で12月10日発売。開発・製造は京セラだが、発売元はKDDIとなる。ただしもちろんSIMロックフリーなので、auユーザー以外も利用することは可能だ。また、既存のG'zOneユーザーには無料で機種変更できるプログラムも用意するという。既存のG'zOneユーザーは、来年3月末に3G停波によってau VoLTE非対応端末では通信が利用できなくなることから、この無料交換プログラムでユーザーを引き留めたい考えだ。

発売を記念して、KDDIでは「au CASIOケータイグランプリ」を実施する。これはau向けのカシオ製ケータイ35機種+G'zOne TYPE-XXの計36機種の中からグランプリをユーザー投稿で決定しようという企画。カシオケータイは、G'zOne以外にもデジタルカメラの「EXILIM」をブランド名に冠したEXILIMケータイなどもあり、その中から1位を決める。

  • au CASIOケータイグランプリ1
  • au CASIOケータイグランプリ2
  • 36機種からグランプリを決めるau CASIOケータイグランプリ

投票期間は12月6日から2022年1月10日まで。応募者の中から抽選でプレゼントも用意しており、ストレート端末「C303CA」をモチーフにしたリングライト、G'zOne TYPE-XXをモチーフにしたモバイルバッテリー、G'zOne MOTORSロゴ入りVICTORINOXマルチツール、CASIOデザインのオリジナル壁紙をそれぞれ提供する。特にリングライトとモバイルバッテリーは、想像以上にC303CAとG'zOne TYPE-XXに似せられた大きなもので、インパクトを含めて注目だ。

  • 投票方法

    投票方法

  • プレゼント

    プレゼントも用意

  • C303CAモチーフのリングライト1
  • C303CAモチーフのリングライト2
  • C303CAモチーフのリングライト。隣にある小さい端末がC303CAで、これはミニチュアなのではなく、リングライトが大きいのである。リングライトの中央は鏡になっている

  • モバイルバッテリー

    どちらが本物のG'zOne TYPE-XXだろうか? もちろん左。右はモバイルバッテリー

  • G'zOne TYPE-XXを手に持ったところ

    G'zOne TYPE-XXを手に持ったところ

  • モバイルバッテリー単体

    こちらがモバイルバッテリー。かなり大きい。ちなみに側面もよく再現されているが、開くことはない

  • マルチツール

    オリジナルロゴ入りVICTORINOXのマルチツール

今回は、記念モデルとしてG'zOneが復活したが、KDDIでは基本的にタフネススマートフォンは既存のTORQUEをメインとしていく考えで、京セラによるタフネス製品の実力をG'zOneユーザーにも知ってもらい、今後の移行にも繋がることを期待する。G'zOne自体の継続は「未決定」と近藤氏。反響があれば次回に繋がる可能性もあるというが、基本的にはTORQUEでニーズをカバーしたい考えだ。