家中どこにでも持ち運びやすい手元スピーカー、オウルテックの「OWL-TMTSP01-BK(以下、TMTSP01)」を使ってみました。価格はオウルテック公式サイトで14,280円。送信機を兼ねた充電台をテレビのイヤホンジャックや音声出力端子につなぐことで、テレビの音声をワイヤレスで再生できるほか、FMラジオも聞けます。

  • 手元スピーカー「OWL-TMTSP01-BK」

高音質で遅延の少ない手元スピーカー

手元スピーカーのTMTSP01は、文字通り「手の届く近距離」に置いて使うスピーカー。おもにテレビの音声を手元で再生する用途を想定しています。深夜の視聴や子どもが昼寝しているときなど、テレビの音は上げたくないけどヘッドホンやイヤホンは苦手――といったとき、耳元にこのスピーカーを持ってくれば、小さい音でも聞きやすくなるというわけです。聴力が落ちた高齢者からも根強いニーズがあります。

昨今はアナウンサーの声や歌手の歌声を強調して聞き取りやすく処理するテレビも増えましたが、TMTSP01はそちらには比重を置いていません。充電しやすさ、屋内のいろいろな場所で聴ける通信距離、FMラジオ兼用を特長とする製品です。

テレビの音声を離れた部屋でラジオのように聞きたいという場合には、TMTSP01はとても向いています。リビングにあるテレビをキッチンで調理しながら遠目で見ているような場合、音声だけ手元スピーカーで再生すれば、テレビのスピーカーの音量を上げることなくテレビ番組が楽しめます。

  • 左下のツマミをラジオ側にひねるとラジオモードに。ワイドFM(FM補完放送)に対応しており、AMラジオの番組も聞けます。ラジオモードではLEDが青く点灯

TMTSP01では、音声の送信に2.4GHz帯の電波を使います。Bluetoothよりも高音質が出しやすく遅延も少ないとされており、TMTSP01は映像と音声のズレがほぼなく、画面を見ながら聴いたときの違和感はまったくありませんでした。

本体デザインはポータブルラジオのイメージ。ハンドルが付いており、片手で手軽に持ち運べます。本体のサイズと重さは実測値でW182×D75×H155mm・595.5gでした。

通信可能距離は約30メートル。扉や壁などの障害物に強く、一般的な住宅なら屋内のどこに持ち運んでも電波が届くでしょう。試したところ、1階にあるテレビの脇に充電台(送信機)を設置し、2階の個室で聴いてもまったく問題ありませんでした。

  • キッチンなどのテレビから離れた場所はもちろん、庭やベランダに持ち出して聞くこともできます

接続も操作も見たままの簡単さ

TMTSP01の操作は大変シンプルで、ダイヤル左下の「オン/オフ」スイッチを回すだけ。そのまま右へ回せばボリューム調節にもなります。右下のスイッチはテレビとFMラジオの切り替え用です。これなら迷わず使えるでしょう。

  • ダイヤル部。中央のダイヤルでFMラジオの周波数を調整します。完全にアナログ仕様なので感覚的に使える設計です

テレビとの接続も簡単です。テレビのイヤホンジャックを使う場合と、テレビの音声出力端子を使う場合があります。

どちらの場合も、充電台とテレビをケーブルで接続し、スピーカー本体と充電台をペアリングするだけ。ただ、取扱説明書を読まないとペアリングボタンに気付かないことがあるかもしれません。

ペアリング手順は、まず充電台のペアリングボタンを約2秒間長押し。充電台の電源ランプが点滅している間にスピーカー本体の電源を入れて、テレビ/ラジオ切り替えスイッチを「テレビ」にセット。最後に本体のペアリングボタンを約2秒長押しして完了です。手順を把握していれば10秒もかかりません。

本体背面には、音質モード切り替えボタンも備わっていて、音楽/テレビの音質を調整できます。音楽モードはラジオ向けです。テレビモードを利用すると、人の声が聞き取りやすくなりそうな印象ですが、正直なところあまり違いは分かりませんでした

  • 本体背面。有線イヤホンをつないでラジオを聴いたり、オーディオプレイヤーをつないでポータブルスピーカーとして使ったりもできます

  • 充電台が中継機を兼ねています

ACアダプターが標準で2つ付属し、充電切れの心配なし

最近は多くのテレビが音声出力のRCA(赤白)コネクタを持っていません。筆者の自宅テレビも音声入力端子しかなく、今回はイヤホンジャック出力のみ試しました。

イヤホンジャックを使う場合、TMTSP01とテレビのスピーカーは排他だったため(テレビの仕様にもよります)、家族がリビングで普通にテレビを観て、同時に自分はキッチンでTMTSP01から音を再生して聴くといった使い方はできません。先述の通り接続は簡単なので、一人暮らしではなくても、一人で使うときだけテレビに接続するという使い方でも良さそうです。

テレビ側のスピーカーとTMTSP01で同時に音声を鳴らしたい場合、テレビ側に音声出力のRCA(赤白)コネクタがあるかあらかじめ確認しておきましょう。また、音声出力の仕様はテレビによって異なります。テレビ側のスピーカーとイヤホンジャック(または音声出力)の両方から同時に音を出す設定を持つテレビも多いので、テレビの取扱説明書を確認してみてください。

  • テレビのヘッドホン端子に接続したところ。上の端子はD端子と音声入力端子

スピーカー本体には1,000mAhのリチウムイオンバッテリーを内蔵し、8時間の連続使用が可能です(音量50%時)。映画を続けて2~3本観ても大丈夫なので、ほとんどの場合はバッテリーだけでこと足りるでしょう。充電時間は約3時間です。

ロングバッテリーとはいえ、肝心なときに充電が切れて使えないことがないように、ACアダプターが標準で2つ付属しています。スピーカー本体と充電台のそれぞれで利用できるため、使わないときはテレビの近くに設置する充電台に載せて充電し、ACアダプターは自分の個室やキッチンに備え付けにするという使い方ができます。これはユーザーフレンドリーな仕様だと感じました。

  • 付属のケーブル類。同じACアダプターが2つ付属します。左上は3.5mmステレオミニジャック-RCA(赤白)ケーブル。右上は3.5mmステレオミニプラグケーブル

充電台で充電しながら聞くこともできます。ただし、充電台はテレビの近くに置くことになるので、充電中はテレビのスピーカーを使えば良く、こうしたシチュエーションは少なそう。

  • 充電台で充電しながらでも再生可能

TMTSP01は扱いがとても簡単で、分かりやすい手元スピーカーです。テレビの音声を家中どこでも聞きたいという人はもちろん、デザインや操作性などアンティークなFMラジオっぽいところもあるので、テレビの音も聞けるラジオが欲しいという人や、手元で音源を再生したい高齢者にもおすすめです。