富士通と愛知県がんセンターは10月19日、さまざまな治療薬の中から、がん患者のがん種や多様な遺伝子変異に基づいて、効果が期待される薬剤をAIにより絞り込み可能なシステムを開発したと発表した。また、同システムは、愛知県がんセンターにおける臨床現場での実証実験で有効性が確認できたとのことだ。
同システムは、がん種や遺伝子変異に対応した薬剤の情報と、その治療効果を評価する実験データなどを、富士通が開発したデータ統合AI技術により、ナレッジグラフの形に一元化するものだ。同社が持つ、データの属性に基づいてデータ同士にリンクを自動付与する技術と、愛知県がんセンターが有する治療薬選定に関するノウハウを活用しているという。
これにより、さまざまな治療薬の中から、がん種や多様な遺伝子変異に応じて患者ごとに治療効果が期待できる薬剤の絞り込みが可能となる。同システムに患者のがん種や遺伝子変異といった検査データを入力することで、治療効果が期待できる薬剤や薬効の度合いを示す客観的なスコアが出力されるため、医師が患者に適した治療法を判断する際のサポートとなる。
また、同システムに富士通の文献情報抽出AI技術を組み合わせることで、医師が治療薬として検討中の薬剤の効果について、120万件を超える過去の医学文献から該当部分を参照可能となるため、薬剤選択の妥当性の確認や作業の効率化にもつながること期待できるという。