◆PCMark 10 v2.1.2523(グラフ77~82)

PCMark 10 v2.1.2523
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10

  • グラフ77

  • グラフ78

  • グラフ79

  • グラフ80

  • グラフ81

  • グラフ82

一応こちらも確認。Overall(グラフ77)でみると、PCMark 10 ExtendedでなぜかRadeon RX 6600 XTが最高速に見えるが、これはTest Group(グラフ78)でGaming(=3DMark FireStrike)が結構差があるからで、Gamingを含まないPCMark 10やPCMark 10 Expressはほぼ同程度のスコアである。

そのTest Groupも、なぜかDigital Contents CreationでGeForce RTX 3060がやや低めな以外は概ね大差ない感じ。Productivity(グラフ80)で妙にGeForce RTX 3060が高いのはOpenCLの処理性能がNavi系列が低いからだが、逆にRendering & Visualizationとか、グラフ79におけるVideo ConferenceなんかではむしろGeForce RTX 3060が低めになっており、トータルすると大差なしという感じ。実際Office 365を利用しての結果(グラフ82)では、性能差は誤差の範囲でしかない。要するにRadeon RX 6600でも十分利用に耐えるという事だ。

◆消費電力(グラフ83~88)

最後に消費電力測定を。3DMark FireStrike Demo(グラフ83)、F1 2021 2K(グラフ84)、Metro Exodus Enhanced Edition 2K(グラフ85)、Shadow of the Tomb Raider 2K(グラフ86)の消費電力変動の様子である。それぞれのフル稼働時の消費電力の平均値をグラフ87に、それと待機時消費電力の差をグラフ88にまとめた。

  • グラフ83

  • グラフ84

  • グラフ85

  • グラフ86

  • グラフ87

  • グラフ88

GeForce RTX 3060は確かに平均して高い性能だが、その分消費電力も高い。実際Radeon RX 6600と比較すると、3DMark FireStrike Demoで40Wほど、ゲーム3種類では45W前後消費電力が高くなっている。AMDは450W出力のPSUと組み合わせてシステムが作れると説明しているが、今回Ryzen 7 5800Xと組み合わせても、実際には350W PSUで十分足りる(300Wだとピーク時にちょっとオーバーしそうだ)事が確認できている。この省電力性は、かなり武器だと思える。

もっとも冒頭のPhoto05で示された効率に関しては、ちょっと微妙なところでもある。試しに今回消費電力測定を行ったF1 2021/Metro Exodus/Shadow of the Tomb Raiderの3つについて、2Kの平均フレームレートを基に効率を試算すると、表2~4の様になる。効率は、1fpsを出すのに何W必要か、という数字なので小さいほど優秀という事になる。で、結果を見てみるとF1 2021こそRadeon RX 6600系が有利だが、Metro ExodusやShadow of the Tomb Raiderでは逆にGeForce RTX 3060の方が優秀な結果となっている。要するに、トータルとして効率云々はあまり変わらない、と考えた方が良さそうだ。ただ絶対的な消費電力そのものは間違いなく下がっているわけで、なので省電力なマシンを組みたいというケースでは非常に魅力的なソリューションであることは間違いない。

■表2
F1 2021 フレームレート(fps) 実効消費電力差(W) 効率(W/fps)
RTX 3060 106.3 247.2 2.30
RX 6600 102.4 200.6 2.00
RX 6600 XT 114.5 225.6 2.00
■表3
Metro Exodus フレームレート(fps) 実効消費電力差(W) 効率(W/fps)
RTX 3060 75.8 250.2 3.30
RX 6600 60 207.2 3.50
RX 6600 XT 68.1 230.6 3.40
■表4
Shadow of the Tomb Raider フレームレート(fps) 実効消費電力差(W) 効率(W/fps)
RTX 3060 83.4 244.1 2.90
RX 6600 65.5 198.1 3.00
RX 6600 XT 73.4 221.7 3.00

考察

ということでざっくり評価結果をお届けした。個人的な感想で言えば、「確かに性能は下がっているけど、この程度であれば許容範囲」である。むしろ気になるのは実売価格と入手性である。Radeon RX 6600 XTが公式には$379と言われつつも米国Amazonで検索すると$800近い値段で売られている事を考える(しかも相変わらず超品薄)事を考えると、Radeon RX 6600は公式こそ$329ながら実売$700~$750とかいう感じだろうか? これが公式に近い値段で入手できるなら、間違いなくお買い得と言いたいところではあるのだが。

あと個人的にもう一つ感想としてあるのは、これはRadeon RX 6600 XTと同時に出すべきだったのでは? というあたりだろうか。Radeon RX 6600の持ち味は、低い消費電力とその割に(相対的に)高い性能な訳だが、そうしたニーズのマーケットの結構な部分をGeForce RTX 3060ベースの製品に持ってかれてしまった気がする。既にGeForce RTX 3060を購入したユーザーに「性能は下がるけど消費電力も下がりますよ」といったところで、買い替えるユーザーは殆どいないだろうからだ。

根本的にビデオカードの値段が高い理由は(暗号通貨ブームがほぼ過ぎたにも関わらず)ビデオカードの数が足りておらず、オマケに最近の半導体供給不足のあおりをうけている、というあたりである。噂によればRadeon RX 6600は潤沢に供給されるという事なので、これが事実でビデオカード品不足の現状が多少なりとも改善するのであれば、嬉しいのだが。