中国・清華大学が出資する半導体ハイテク投資・持ち株企業である清華紫光集団は2020年から2021年にかけて複数回の債務不履行(デフォルト)に陥った結果、事実上の倒産となり、裁判所が主導する形で再編手続きに入ったが、2021年9月時点で、紫光集団傘下の半導体企業各社は通常通りに操業を続けており、各社の日常業務に直接的な影響は出ていない模様である。

それどころか、紫光国芯微電子(Unigroup Guoxin Microelectronics)が発表した2021年6月期中間決算によると、売上高が前年同期比56.5%増の22億9,200万元(約389億円)、純利益が同2.2倍の8億7,600万元と過去最高の半期業績を達成したという。カテゴリ別では、特定用途向けICの売上高が同70%近く増加し13億7000万元となたほか、電子部品も同50%近くの増加、スマートセキュリティチップも同40%増と伸ばしている(メモリは前年上半期の1103万元から61万元へと大きく減少させている)。

また、香港の調査会社Counterpoint Technology Market Researchによると、ファブレスである紫光展鋭(UNISOC)の2021年上半期のスマートフォン(スマホ)用アプリケーションプロセッサ(AP)の出荷数量は前年同期比122%増と急増したという。

図1 UNISOCのスマホ用チップセットの2020年および2021年上半期(第1四半期、第2四半期)の 四半期出荷数量および世界市場シェア (出所:Counterpoint Technology Market Research)

Counterpoint Technology Market ResearchのアナリストであるParv Sharma氏は、「UNISOCのAPの2021年上半期の出荷数量は、前年上半期比で2倍を超える伸びとなった。今年、同社は、中HONOR、中realme、米Motorolaなどの主要スマホメーカーを顧客として勝ち取ったほか、UNISOCのT610とT740がZTE、Hisense、HONORなどに採用されたという。UNISOCのAPを搭載したスマホが中国の消費者にこれまで以上に受け入れられたことは、2021年下半期の成長に向けて良い流れができたと考えられる。また、成長市場である中南米や中東においても、キャリアや地場のスマホメーカーの主要パートナーとなっていることがチップ出荷数量におけるシェアの伸長に貢献している」と述べている。台湾メディアDigitimes Asiaによると、UNISOCのAPチップセット出荷数量は、2021年下半期の前年同期比2倍を超えて成長するとみられるという。

なお、紫光集団に買収された、NAND専業の長江存儲科技(YMTC)も、最初に手掛けた32層から途中をスキップして128層の3D NANDフラッシュメモリの開発に成功し、まだ歩留まりは低いものの量産を開始、SSDの発売も準備中で、すでに先行する競合と肩を並べる192層製品も開発中と伝えられている。