インターネットイニシアティブ(IIJ)は9月10日、NTTドコモとKDDIから注意喚起が出されているiPhoneの緊急通報が正しく動作しない現象についての情報を、IIJ公式ブログ「てくろぐ」で公開した。
【ご注意】本現象は110番/118番/119番の緊急通報に関わるものになります。個人で状況を確認しようとしたり、問題の再現を試みたりすることはお控えください。 |
この問題は、デュアルSIM機能を利用して複数のSIMカード・eSIMで回線を併用している環境において、音声通話ができないデータ通信専用のSIM回線を「モバイルデータ通信」用の回線として設定すると、緊急通報の発信ができない場合があるというもの。iPhone XS/XS Max/XR以降のiPhoneシリーズ11機種でこの現象が確認されている。当該機種では、「モバイルデータ通信」用の回線として音声通話が可能なSIM回線を設定することで、緊急通報が利用できる。
IIJ公式ブログ「てくろぐ」によれば、IIJmioのeSIMをモバイルデータ通信用の回線として設定し、デフォルトの音声回線としてNTTドコモ/KDDI(au)のSIMを組み合わせたiPhoneにおいて、緊急通報の発信が不可であったことをIIJでも確認したという。
IIJmioのeSIMとソフトバンク/楽天モバイルの音声SIMを組み合わせた場合についてはブログ公開時点ではテストができていないとのことだが、「おそらく緊急通報はできないと思われます」と予測している。また、同じ組み合わせでeSIM対応のAndroidスマートフォンを使った場合は問題なく緊急通報が発信できるという。
回避方法については、NTTドコモ/KDDIからの注意喚起にあったものと同様、緊急通報の必要が生じた際にモバイルデータ通信用の回線をIIJmio eSIM以外(=音声通話が可能なSIM)に切り替えるという方法を提示している。なおこの設定のままだと、データ通信はIIJmio eSIMではなく切り替えた他社SIMを経由することになるため、緊急通報後はモバイルデータ通信用の回線をIIJmio eSIMに戻す必要がある。
同ブログではこの現象について、「iPhone以外のeSIM対応スマートフォンでは発生していないことから、iPhone内部の処理に何らかの問題がある」と推測しており、「本来緊急通報が『主回線』(この場合は他社音声対応SIM)で発信されるところ、なぜか『副回線』(IIJmio eSIM・音声通話非対応)で発信されてしまっているようです」と、音声用の主回線から発信するべき緊急通報をモバイルデータ通信用の副回線から発信しようとしているのが原因ではないかとしている。