群馬大学(群大)は7月19日、こんにゃく粉入り粥の摂取が中性脂肪を低下させる効果があることを発見したと発表した。
同成果は、群大大学院 医学系研究科 臨床検査医学・食健康科学教育研究センターの葭田明弘助教、同・木村孝穂准教授、同・村上正巳教授らの研究チームによるもの。詳細は、栄養学を扱うオープンアクセスジャーナル「Nutrients」に掲載された。
現代の日本などは飽食の時代で、1日に消費する以上のカロリーを接種することも多く、肥満が問題視されるようになっている。
一方で、こんにゃくは古くからローカロリーなダイエット食であることが知られてきた。そこで研究チームは今回、同じ群馬県内に拠点を置くこんにゃくなどの食品加工会社が開発した、こんにゃく粉入り粥の糖・脂質代謝に及ぼす影響を解析する研究を実施したという。
具体的には、健常な37~60歳の男性13人のボランティアに対し、3種類の粥(五分粥、0.4%こんにゃく粉含有粥、0.8%こんにゃく粉含有粥。いずれも約80kcal)を食べてもらい、摂食前と摂食後30分、60分、120分の時点での中性脂肪と、中性脂肪代謝の中心的な役割を担っている「リポ蛋白リパーゼ」(LPL)をはじめとする脂質代謝に関わるタンパク質の血中濃度を測定したという。
その結果、五分粥にこんにゃく粉(0.8%)を加えた場合、食後30分後以降、120分後まで中性脂肪の低下が確認されたとした。
さらに、LPL濃度は五分粥では食後30分後以降、120分後まで低下した一方で、こんにゃく粉入りの粥ではLPLの低下はなく、120分後には摂食前と比較して上昇することも明らかになったという。
これらの結果から研究チームでは、こんにゃく粉の食後中性脂肪低下作用は、主食と混合することにより強く発揮される可能性が示唆されたとしており、これは、こんにゃくの新たな脂質代謝改善作用の存在を示唆するものだとしている。
また、中性脂肪を低下させることができた理由として、粥に含まれたこんにゃく粉が胃内容物の粘稠性(ねんちゅうせい)を高め、食物の胃内通過時間を延長させ、腸管の蠕動(ぜんどう)運動を促進した結果、血中の中性脂肪代謝の中心的な役割を担っているLPLが上昇したことが考えられるという。
これまで、こんにゃくの長期の習慣的摂取による脂質代謝の改善作用については報告されていたが、摂取後30分から2時間という短時間に中性脂肪が低下する報告はなかったという。
なお、血中中性脂肪の増加は動脈硬化を進行させ、心血管疾患発症へつながるメタボリック症候群と強い関連があることが知られている。研究チームでは、今回の成果は、そうしたメタボリック症候群への移行を抑制して人々の健康増進に貢献することが期待されるものだとしている。