日立ソリューションズは7月15日、米6Connexと販売代理店契約を締結し、イベント会場を仮想空間上で構築できるクラウドサービス「6Connex Virtual Event Platform(シックスコネックス バーチャル イベントプラットフォーム)」の販売を開始すると発表した。価格はオープン(サブスクリプション年間契約)。
同日開催されたオンライン記者発表会に登壇した、日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部事 業部長の田屋秀樹氏は、「コロナ禍でウェビナーやオンライン会議などの普及が進む一方で、集中力が続かない、雰囲気が続かないといったさまざまな課題が浮上してきた。非対面コミュニケーションの体験価値を向上させるため、昨年発表した仮想オフィスに続き、オンラインイベントのコミュニケーション解決にフォーカスしたソリューションの提供を開始する」と説明した。
同サービスは、セミナーやショールーム、商品説明会、会社説明会、協創空間などの会場を、仮想空間上で構築できるテンプレートを提供する。高層階のロビーや、セミナーホール、展示会などを想定したブース式の会場などさまざまだ。テンプレートの一部をアレンジしたり、独自にデザインしたイメージを利用したりすることも可能。
また、商品担当者との個別のチャット・ビデオ通話や、同じ分野に興味を持つ参加者をAIがマッチングするなど、会場内のコミュニケーションを促進する機能が備わっている。回遊性のある会場づくりを実現するため、参加者の「立ち寄り」を誘導するポイントラリー機能も実装。
さらに、参加者の行動を詳細に分析したり、SalesforceやMarketoをはじめとした外部サービスとも連携可能で、導入企業は、ターゲットに合わせたイベント企画および商談の効率化が期待される。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、企業は事業継続のために今までリアルで実施してきたことを次々とオンラインにシフトしている。企業のセミナーやイベントも例に漏れない。サイカが2020年6月に実施した調査によると、約7割の企業がイベントやセミナーをオンライン化している。
オンライン開催では、場所を問わず参加できることや、録画で巻き戻し・再閲覧することが可能といったメリットがある反面、一方的なコミュニケーションになりがちで、オフラインでできていた参加者との個別相談や個別質疑の機会が作れないといった課題がある。
こうした課題を解決につなげるため、日立ソリューションズは米6Connexと手を組んだ。6Connexは、2011年に設立され、従業員数300人以上を抱えるベンチャー企業だ。同社が提供する仮想イベントプラットフォーム「6Connex」は、米Salesforceや、米Unileverなど、数多くの海外エンタープライズ企業への導入実績がある。日本国内での提供は日立ソリューションズが初とのこと。
6Connex ヴァイスプレジデントのベノワ・シモン氏は、「当社はバーチャル環境サービスを11年以上にわたって手掛けてきたこの分野におけるリーディングカンパニーだ。リアルからバーチャル、ハイブリッドへとシフトしていく状況において、企業が外部に対して発信するメッセージ性やブランド力の向上に貢献したい」とコメントを寄せている。
日立ソリューションズは今後、昨年発表した仮想オフィスサービスを合わせて2023年までに10億円の売り上げを目指す。