テックワンは6月29日、都内で製品発表会を開催し、中国One-Netbook社の新型UMPC「ONEXPLAYER」の日本国内での取り扱いを発表しました。発表会では製品に実際に触れられるハンズオンも実施されましたが、短時間だったこともあって実ゲーム等はなかなかプレイできずじまい。ところが今回、発売に先駆けて実機を試用する機会に恵まれたので、先行レビューをお送りしたいと思います。

  • One-Netbook「ONEXPLAYER」。出先で本当に使えるポータブルゲーミングPCに仕上がっています

コントローラーは一体型で外れない

One-NetbookのゲーミングUMPCといえば、昨年発表会の様子をお送りした「One-GX1 Pro」が有力です。今回レビューする製品と同様に第11世代Intel Coreプロセッサを採用して高い性能を備え、ボディ両サイドに着脱式コントローラーを合体可能。さらに本製品にはないキーボードも搭載していました。高い性能と操作性を備えた野心的な製品でしたが、個人的に少し無視できない欠点があったことも事実。というのも肝心の着脱式コントローラーがイマイチで、実際にゲームを遊ぶには少しガタつきが気になりそうだな……と感じたためです。

そんな折、今回発表された新ゲーミングUMPC「ONEXPLAYER」は、コントローラーをディスプレイ両サイドに一体型させた装いで登場しました。コントローラーは着脱式ではなく、ボディと一体化したことで極めて高い堅牢性を実現。ボタンやスティックの操作感は本格的な質感を追求したとのことです。前置きが長くなってしまいましたが、外観から見ていきましょう。

  • ディスプレイ両サイドにゲーム用のコントローラーを備える特徴的な仕様です

  • 背面はキックスタンド付き。角度調整はステップのないタイプで、最大65度くらいまで倒せます

  • キーレイアウトはXboxを踏襲したもので、PCゲーマーにとっても馴染み深いもの。アナログスティックはALPS製の本格派

  • トリガーボタンはアナログ入力に対応。レーシングゲームでのアクセル・ブレーキ操作も精密に行なえます

  • 端子部はアクセスしやすい天面に集約。Thunderbolt 4で映像出力やeGPUの接続にも対応します

  • 手に持ったところ。重さは849g(実測)とそこまで軽量ではありませんが、しっかりしたホールド感で重さを感じません

電源を入れて手に持ったときにまず感じるのが、“画面が超デカい”という大迫力です。ディスプレイ両サイドにコントローラーを備え、同様のスタイルでゲームプレイを行うNintendo Switchの経験があると、それよりも圧倒的に大きい8.4型ディスプレイを搭載する本製品のインパクトはひとしお。解像度も2,560×1,600ドットと高精細な上に、ベゼルも狭めの仕様なので、高い没入感を実現しています。

また、肝心のゲームパッド部分が極めて高品質であることもポイント。ボタンを押した感触やアナログスティックの操作感は、単体でゲームパッドとして販売されているハイエンド製品と比べても全く遜色ないものになっています。製品を開発した中国One-Netbookの社長は発表会において、「本格的なゲームパッドの開発経験がなかったので、大変苦労した。手に触れる部分なので一切妥協せず、高い質感を目指したので、素晴らしいものになったと思う」と述べていましたが、確かにその苦労に見合った完成度を備えていると感じました。

タイプカバーを兼ねる専用キーボードも

別売りアクセサリーとして、タイプカバーにもなる専用キーボードをラインナップしています。底面の独自接点に磁力でくっつけるというもので、MicrosoftのSurfaceのような感じ。キーレイアウトはファンクションキーの大胆な省略によってキーピッチを最大限確保した仕様になっており、これは個人的に大歓迎。十字キーの配列も素晴らしいです。下部には超小型のタッチパッドを備え、クリック操作も行えます。

  • キーボードを接続したところ。WASDキーはオレンジ色になっており、ゲーミング製品であることを伺わせます

  • キーレイアウト俯瞰。ファンクションキーと数字キーが合体しているタイプですが、そのおかげで実用的なキーピッチになっています。この写真では黄色く写ってしまっていますが、目で見ると上の写真のようにオレンジ色です

  • 折り返してディスプレイのカバーとしても利用できます

Intel Core i7-1185G7を搭載する安心の性能

性能面も抜かりなく、第11世代Intel Core i7-1185G7を搭載して高い性能を実現しています。デタッチャブル仕様の「One-GX1 Pro」はIntel Core i7-1160G7だったので、最大消費電力の面で大きなアドバンテージがある点もポイント。各種ベンチマークテストの結果は以下の通りです。

  • CINEBENCH R23

  • CrystalDiskMark 8.0.1

  • Speedometer

  • PCMark 10

  • 3DMark「Night Raid」

  • 3Dmark「Wild Life」

  • FF14 ベンチマーク

内蔵グラフィックスながら、Intel Iris Xe Graphicsの搭載によって高い性能を備えてしっかりゲームをプレイできる実用的な結果になりました。グラフィックス性能を計測するベンチマークテストもなめらかに描画されており、FF14のような重量級ゲームもしっかり設定を調節することで十分に60fpsを維持してプレイできそう。

ただ、高負荷時のファン音は少し派手め。キーンという高い音なので、電車等でプレイすると少し目立つかもしれません。

ゲームパッドを一体型にして実用性に極振りしたUMPC

完全にPCとコントローラーを合体させることで、高い堅牢性を実現した「ONEXPLAYER」。着脱式とは比較にならない抜群の安定感で、本当にゲームプレイを快適に行える実用性を備えた製品に仕上がっていると感じました。

余談ですが、高い性能があったほうが快適にプレイできるFPSゲームやAAAタイトルを無理やり遊ぶよりも、この製品にぴったりなタイトルを遊んだほうがゲーム体験を高められると思います。今回は試しませんでしたが、各種ゲーム機のリモートプレイ用クライアントデバイスとしても便利に使えそう。

本製品に向いているゲームの一例として、鮮やかな画面を活かしてカラフルなステージを駆け抜ける音ゲー「Muse Dash」や、ポップなキャラクターを操作してアスレチックのクリアに挑む「Fall Guys: Ultimate Knockout」、インポスターとしてクルーの虐殺を画策する「Amoung Us」などがとても遊びやすく感じました。横になって遊べるWindows PC、とても魅力的です。

  • 鮮やかな画面で1位クリアを目指せます

本製品は8月下旬に発売予定です。今回試用したモデルは198,000円で、現在予約を受付中。先行予約だとかなりお得に手に入るので、詳細は国内正規代理店のテックワン特設ページまでご確認ください。