一般的にノートPCといえば13~16型が大多数を占めており、一部のゲーム向けやオフィス向けに17.3型がラインナップされることもあります。そんな中現れたOne-Notebook社のノートPC「OneMix4」は、なんと10.1型というコンパクトなディスプレイを搭載し、4月4日から国内市場に登場します。10型台のディスプレイを採用している主な競合製品には「Surface Go」や「Let'snote」などがありますが、OneMix4のフットプリントは世界最小とのこと。昨年12月の発表から個人的に大注目の製品でした。今回この製品を発売に先駆けて試用する機会があったので、触り倒したレビューをお届けします。

  • One-Netbook「OneMix4」 10.1型というコンパクトサイズでノートPC市場に風穴を!

期待を大きく上回ってくるかなり高品質な外装

早速外観からチェックしていきましょう。ボディはCNC切削加工を用いた6000系航空用アルミニウム素材を採用しているとのことで、グッと塊感のある極めて高い質感。表面はサラサラとした加工で指紋等の汚れも気にならず、スペースグレーのカラーリングも高級感を演出しています。OneMix4の高級感は、なんといってもこの質感の高い外装によるものがとても大きいと感じます。

  • 非常にリッチな厚紙製のパッケージも高級感を演出しています。手抜かりはありません

  • 奥行きはiPhone 12よりほんのちょっと大きいというコンパクトさ

  • 左側面。USB 4.0(Type-C)×2、microSDカードリーダーを搭載します。手前側は最大45WでのUSB PD充電にも対応

  • 右側面。ヘッドホン出力、電源ボタン、USB Type-C端子となっています。こちら側のType-C端子はUSB 3.0

  • 電源ボタンは指紋認証リーダーを兼ねており、Windows Helloに対応しています。電源ボタンが側面にあると嬉しい

薄型ボディを採用していることもあり、Type-A形状のUSB端子やHDMI端子は搭載していませんが、Type-C形状のUSB 4.0によって映像出力、USB PD充電、高速なデータ転送のすべてをサポートしています。ヘッドホン端子の搭載はうれしいところで、なかなか良い音質で動画や音楽を楽しめました。右側面の電源ボタンはWindows Helloに対応しており、サッとサインインできて快適。個人的に、電源ボタンの側面搭載は他のメーカーにももっと広がってほしいくらい重要視しているポイントです。

ディスプレイは小さめでも2,560×1,600ドットと高精細

ディスプレイは10.1型ととてもコンパクトですが、アスペクト比は最近流行の16:10で、解像度は2,560×1,600ドットとかなり高精細。光沢仕様なので、ディスプレイ本来の鮮やかさをフルに体験できるようになっています。そうは言ってもやはり結構小さいので、視認性は少し厳しいものがあるのでは思っていましたが、いざ使ってみると案外気になりません。個人的にスケーリングは150%でちょうどよく、情報量と高精細な画面を両立し、快適に使うことができました。一般的なノートPCのディスプレイよりも断然明るい高輝度なところもポイントで、室内なら30%程度で十分くっきりと明るい画面になります。

  • Webカメラを省き、かなり狭額縁でスマートな印象になっています

  • ディスプレイは180度開閉可能な2-in-1仕様。タッチ操作の他、ペンでの描画にも対応しています

  • 2,048段階の筆圧検知に対応するスタイラスを別売りで用意します。なおWindowsの「ペイント」は筆圧を検知しての描画には対応していません

かなりの狭額縁仕様でとてもスッキリとした印象ですが、昨今のビデオ会議需要をうけて、Webカメラを省略したところについては賛否が別れてしまうかも。マイクも搭載しているようですが、試用機ではどうもうまく音声入力を行えませんでした。スピーカーの品質も微妙で、音が右に偏って聞こえてしまうところはマイナスポイント。適当なBluetoothスピーカーやBluetoothイヤホンを組み合わせて、必要なデバイスは周辺機器でカバーしていくことが重要です。

超独特な配列のキーボード 打鍵自体は快適

10.1型という究極のコンパクトさを実現するにあたって、最も割りを食うことになるのがこのキーボードと言えるかもしれません。この製品を開発する中国One-Notebook社はさらに小さいUMPC製品も多数開発しており、これによるノウハウを注ぎ込んだキーボードがOneMix4に搭載されているとのこと。一見しただけでも、ファンクションキーと数字キーの2列が強烈に詰まっていることがわかります。

  • 両サイドいっぱいに広がるキーボード。今回お借りしたのは英字配列です。ファンクションキーと数字キーのサイズは半分ずつになっています

  • 手を載せた際のスケール感。親指が自然とタッチパッドに載り、スムーズに操作できます

  • キーボードはバックライトも搭載。Fnキーとスペースキーの同時押しでオンオフを切り替えられます

キーピッチは18.5mmと十分で、打鍵感もなかなか手応えのあるもの。ただ、さすがに13型やそれ以上の大きいサイズと比較するとかなり窮屈ということもあり、どちらにせよ慣れは必須かもしれません。タッチパッドの表面はツルツルしているタイプで、サイズ自体は小さめですが快適に操作できました。タイピングしてもディスプレイのヒンジが揺れたりせず、ボディがしっかり机に接地して安定していたところも非常に好感触です。

小さいけどパフォーマンスは特盛

最後にパフォーマンスをチェックしましょう。今回お借りしたモデルのは"PLATINUM EDITION"という構成で、第11世代Intel Core i7-1160G7、LPDDR4x 3200MHz 16GBメモリ、M.2 NVMe 512GB SSDを搭載し、OSにWindows 10 Homeをインストールする高パフォーマンスモデル。直販オンラインストアでの価格は142,200円(税別)です。内蔵するIntel Iris Xe Graphicsによる高い描画性能が期待でき、高速で大容量なメモリとの組み合わせもポイントです。

  • CPU-Z

  • CrystalDiskInfo

  • CINEBENCH R23

  • Passmark

  • PCMark

この構成でパフォーマンスが低いわけもなく、順当に高性能。ブラウジングから動画再生、オフィスユースでも十分すぎるパワーを備えています。OneMix4はゲーム向きのデバイスではありませんが、以下のベンチマークテストでグラフィックス性能もチェックしました。

  • 3DMark「Night Raid」

  • ドラゴンクエストX ベンチマークテスト

3DMarkでは軽めの「Night Raid」を選択。どのベンチマークテストの結果でも、内蔵するIntel Iris Xeグラフィックスによって高いグラフィックス性能を備え、軽めの3Dゲームなら難なく動くと言えそうです。昨今スマートフォン向けゲームがWindows向けにも展開されていることもあるので、PC版「ウマ娘 プリティーダービー」をプレイしたところ、ウインドウサイズをフルHDまで拡大し、ライブシーンを鑑賞しても問題ありませんでした。

搭載する10,000mAhのバッテリー性能もチェック。公称では8時間の動画再生を行えるとのことですが、PCMarkを用いた実動作時間は約7時間となりました。小ささから想像するよりもしっかりとしたスタミナ性能を備えているという印象で、スマートフォンと兼用のコンパクトなUSB PD充電器を携帯すれば、外でも使っていくことができると言えそうです。

  • ディスプレイ輝度は50%に設定して動作

小型軽量を金属ボディで実現する唯一無二のコンパクトPC

ノートPCのボディに金属素材を採用すると重くなってしまい、質感と機動性を両立することは困難です。しかしOneMix4は、10.1型というコンパクトなサイズでまとめ上げることによって、小型軽量ながら金属素材による高い質感を実現しました。ディスプレイは高解像度で視認性を損ねることなく、最新プロセッサの搭載で性能も軽視していません。モビリティを重視してノートPCを選定する際には、ぜひとも候補に加えるべき製品だと感じました。

  • この質感の高さはまさに…