半導体市場調査会社である台湾TrendForceによると、DRAMの価格は2021年第3四半期に前四半期比で3~8%増と上昇すると予想されるという。また、NANDも同5~10%増と価格が上昇すると予測され、以前の予測である同3~8%増から上方修正されたという。
2021年上半期、さまざまなアプリケーションにおけるクライアント企業がメモリの在庫調達・積み増しを進めた結果、現在のメモリサプライヤの在庫は、DRAM在庫は平均3~4週間、NAND在庫は平均4~5週間程度と比較的低レベルの状況となっており、メモリサプライヤによる大口契約者に対する見積り価格は下げる必要性を感じていないという。
市場の動きで顕著なのはスマートフォン(スマホ)とノートPCで、スマホ市場はインドの新型コロナウイルス感染症の急速な感染拡大の影響から、中国スマホメーカーが生産目標を引き下げ、在庫調整を始めたこと、ならびに東南アジアにおける新型コロナの感染拡大による消費者の需要減退の可能性を踏まえ、年間総生産量は従前予測の前年比9.4%増から同8.5%増へと下方修正されたという。
一方、2021年のノートPC市場も、世界的な在宅勤務の奨励などを受け、出荷台数は前年比14.3%増の約2億3800万台となることが見込まれているが、各種半導体不足にDRAMも加わる可能性があると見ており、ノートPCの生産が滞るリスクが考えられている。そのためPCメーカーはDRAMの調達を拡大することが求められる可能性があるとしている。
なお、TrendForceでは、中国のスマホサプライヤが2021年第2四半期中にモバイルDRAMとNANDフラッシュメモリの調達を減速させると予測している。しかし、メモリ製品全体の契約価格は、需要が他のアプリケーションセグメントでかなり堅調に推移しているため、下半期に下落する可能性は低いと見ている。特にPCメーカーが比較的高いレベルでDRAM在庫を維持しているので、2021年後半のPC DRAM価格の上昇は押さえられる見込みであるという。