GeForce RTX 3080 Tiに続き、GeForce RTX 3070 Tiも6月10日より発売開始する。ということで発売直前ではあるが、GeForce RTX 3070 Tiの試用レポートをお届けしたい。

  • テスト用にGeForce RTX 3070 TiのFounders Editionを入手した

    テスト用にGeForce RTX 3070 TiのFounders Editionを入手した

ベンチマークテストの環境

表1に、GeForce RTX 3070Tiを加えたスペックリストを示す。GeForce RTX 3070 TiはGeFoce RTX 3070と同じGA104コアを使った製品である。違いは

  • SM数が46→48に。これに伴いCUDA Core数も5888→6144に。
  • Tensor Core/RT Core/Texture Unitなどの数もSM数に比例して増加。ROP Unit数は96のまま変わらず。
  • 動作周波数は微増(1500MHz/1725MHz→1575/1770MHz)
  • メモリバス幅は256bitのまま変わらず。ただし搭載メモリはGDDR6 14GbpsからGDDR6X 19Gbpsに更新。結果メモリ帯域は448GB/sec→608GB/secに35%ほど向上
  • TGPが220W→290Wに激増

といったところである。性能という観点で言えば、SM数×動作周波数の比をGeForce RTX 3070と比較すると

46SM×1500MHz : 48SM×1575MHz ≒ 1 : 1.096(Base Clock)
46SM×1725MHz : 48SM×1770MHz ≒ 1 : 1.071(Boost Clock)

で、向上率は1割を切っており、あとはメモリ帯域向上がどこまで性能に寄与するか、というあたりが評価の焦点になるかと思う。

■表1
RTX 3070 RTX 3070 Ti RTX 3080 RTX 3080 Ti RTX 3090
コア GA104 GA104 GA102 GA102 GA102
SM数 46 48 68 80 82
CUDA Core数 5888 6144 8704 10240 10496
Tensor Core数 184 192 272 320 328
RT Core数 46 48 68 80 82
Texture Unit数 184 192 272 320 328
ROP数 96 96 96 112 112
GPU Base Clock(MHz) 1500 1575 1440 1365 1395
GPU Boost Clock(MHz) 1725 1770 1710 1665 1695
Memory種別 GDDR6 GDDR6X GDDR6X GDDR6X GDDR6X
Memory Clock(MHz) 7000 9500 9500 9500 9750
Memory容量(GB) 8 8 10 12 24
Memory Bus(bit) 256 256 320 384 384
TGP(W) 220 290 320 350 350

パッケージ外観はこれまでと変わらない(Photo01)。GeForce RTX 3070 Tiの収まり方も一緒だ(Photo02)。一方外観は、GeForce RTX 3070と大きく変わり、表面に1個、裏面に1個ファンが取り付けられる構造になった(Photo03,04)。バックパネルのレイアウトはGeForce RTX 3080 Tiと変わらず(Photo05)。後方がすっきりした姿なのは変わらず。ちなみに寸法は240mm×97mm×38mm、重量は1186.5g(いずれも実測値)で、GeForce RTX 3070と比べて僅かではあるが重くなった。

  • GeForce RTX 3070 Tiを試す - RTX 3080に迫れるか? GA104ベースの強化版

    Photo01: Founders Editionは全部このパッケージで統一らしい。

  • Photo02: ただ、ビデオカードの下に補助電源コネクタが収まっているが、その格納方法は簡略化されていた。

  • Photo03: 表面。この排気は裏面に貫通する格好。

  • Photo04: 裏面の吸気は、バックパネル側に排気になる模様。

  • Photo05: Display Port×3、HDMI×1は同じく。個人的にはMini DPでいいからせめて5画面出力が欲しい。

  • Photo06: 補助電源コネクタも、GeForce RTX 3080 Ti同様の斜め方向になった。

上面(Photo07)及び底面(Photo08)を見ると、殆どGeForce RTX 3080 Tiに近いイメージになっている。なおTGPが290Wと大幅に増加した関係で、補助電源コネクタは8pin×2になっている(Photo09)。GPU-ZではきちんとGeForce RTX 3070 Tiが認識された(Photo10,11)。

  • Photo07: このアングルも見た目はGeForce RTX 3080 Tiにかなり近い。

  • Photo08: こちらも同様。

  • Photo09: GeForce RTX 3070は8pin×1だった。

  • Photo10: ダイそのものはGeForce RTX 3070と同じくRevision A1で、という事は当初からGA104はGDDR6とGDDR6Xの両対応として設計されていたことになる。

  • Photo11: Power Limitは-66%~+10%で、TGPで言えば100.05W~319Wとなる。

さてテスト環境だが、こちらはGeForce RTX 3080 Tiの環境そのままである(というか、今だから書けるが機材そのものはGeForce RTX 3080 Tiと同時に届いた。ただドライバのみ後送りになったので、テストそのものは6月3日からスタートしている)。一応表2にまとめたが、GeForce RTX 3070 Ti専用にGeForce Driver 466.61 DCHを使っている以外は完全に同一である。そんな訳でテスト項目もGeForce RTX 3080 Tiと全く同じである(ので、テスト方法についてはこちらでは割愛する)。

■表2
CPU AMD Ryzen 7 5800X
M/B ASRock X570 Pro4
BIOS P4.00
Memory Micron 16ATF2G64AZ-3G2E1(DDR4-3200 16GB CL22)×2
Video NVIDIA GeForce RTX 3070 FE
NVIDIA GeForce RTX 3080 FE
NVIDIA GeForce RTX 3080 Ti FE NVIDIA GeForce RTX 3070 Ti FE
Driver GeForce Driver 466.27 DCH WHQL GeForce Driver 466.54 DCH GeForce Driver 466.61 DCH
Storage Seagate FireCuda 520 512GB(M.2/PCIe 4.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 10 Pro 日本語版 21H1 Build 19043.985

またグラフ中の表記は

3070 :GeForce RTX 3070 Founders Edition
3070 Ti :GeForce RTX 3070 Ti Founders Edition
3080 :GeForce RTX 3080 Founders Edition
3080 Ti :GeForce RTX 3080 Ti Founders Edition

と表記している。また本文中の解像度表記も

2K :1920×1080pixel
2.5K:2560×1440pixel
3K :3200×1800pixel
4K :3840×2160pixel

とさせていただいた。

◆3DMark v2.18.7154(グラフ1~4)

3DMark v2.18.7154
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

  • グラフ1

  • グラフ2

  • グラフ3

  • グラフ4

まずはこちら。Overall(グラフ1)/Graphics Test(グラフ2)/Combined Test(グラフ4)に関して言えば、ほぼGeForce RTX 3070とGeForce RTX 3080の中間に位置しており、出だしの結果としては悪くない。Physics/CPU Test(グラフ3)はまぁ当然フラットで、これはテストの性格上も当然である。

◆SuperPosition v1.1(グラフ5~11)

SuperPosition v1.1
Unigine
https://benchmark.unigine.com/superposition

  • グラフ5

  • グラフ6

  • グラフ7

ではSuperPositionは? というと平均フレームレート(グラフ5)で、GeForce RTX 3070に対して2Kで8.5fps、4Kでは3fpsほどの向上であり、「上がっているのは事実だが、これだけ?」という肩透かしの気分になる。これは最大/最小フレームレート(グラフ6・7)でも同じだ。

  • グラフ8

  • グラフ9

  • グラフ10

  • グラフ11

フレームレート変動(グラフ8~11)を見ても、確かにGeForce RTX 3070より性能が向上しているのは判るのだが、GeForce RTX 3080との差はどの解像度でも大きい。

◆Bright Memory Infinite Ray Tracing Benchmark(グラフ12~18)

Bright Memory Infinite Ray Tracing Benchmark
FYQD Personal Studio(飛燕群島個人工作室)
https://store.steampowered.com/app/1409670/

  • グラフ12

  • グラフ13

  • グラフ14

次はこちらだが、平均/最大/最小フレームレート(グラフ12~14)を見ると、SuperPositionよりも更に差が少ない。最大フレームレートに至っては、2.5K以上でむしろGeForce RTX 3070より低いほどだ。勿論この最大フレームレートというのは、グラフ18で顕著なところどろこのピークの値だからあまりあてにはならないのだが、全体として大きく性能が変わらない事はわかる。

  • グラフ15

  • グラフ16

  • グラフ17

  • グラフ18

フレームレート変動(グラフ15~18)でもこれは裏付けられる。一応、GeFoce RTX 3070より性能は上ではあるのだが、その性能差は少ないし、しばしばグラフが重なり合っている部分もある。このテストでは大きな性能差は無い、と言ってしまってよい範疇だと思う。