ソフトバンクのワイモバイルブランドが初めて投入する、ZTE製となるオリジナルの5G対応Androidスマートフォン「Libero 5G」。3万円台のリーズナブルな価格ながら、トリプルカメラや耐水・防塵性能とFeliCaなど、国内のニーズをとらえた充実の機能・性能が備わっています。実際に触れて確認してみました。

  • ワイモバイル「Libero 5G」

    「Libero 5G」の正面。5Gの高速大容量を生かすべく、6.5インチの大画面を搭載しているのがポイント

6.5インチの大画面だが低コスト化の影響も随所に

携帯大手各社が投入した新料金プランによって、低価格のサービスでも5Gが利用できるようになりました。そこでワイモバイルが2021年4月8日に発売したのが、低価格サービス向けとしては初となるオリジナルの5G対応スマホ「Libero 5G」です。

Libero 5Gは、ソフトバンクのワイモバイルブランド向けに提供されたZTE製のスマホ。冒頭の通り、ワイモバイルのオンラインショップでは31,680円で販売されるリーズナブルな端末ながら、5Gへの対応に加え、トリプルカメラやFeliCaの搭載など、充実した機能が特徴です。

5G対応ということもあり、大容量通信が必要な動画などに向いた大画面であることを重視しているようです。それゆえディスプレイサイズは6.5インチ・FHD+(2,340×1,080ピクセル)と大きく、フロントカメラ部分だけをくり抜いたパンチホール構造を採用しています。

一方で低コスト化のため、ディスプレイ素材は有機ELではなく液晶を採用し、ベゼルも本体下部を中心にやや太め。指紋センサーもディスプレイ内蔵型ではなく、背面に専用のセンサーを用意する形を取っています。OSはAndroid 11、本体カラーはブルー、ホワイト、レッドの3色です。

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    フロントカメラ部分はパンチホール構造だが、低コスト化のためかベゼル部分、特に上下のベゼルは厚め

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    背面から見たところ(レッドモデル)。ディスプレイが液晶なので指紋センサーはディスプレイ内蔵型ではなく、別途背面に専用のセンサーを搭載

本体サイズは約幅77×高さ166×厚さ9.2mm、重さは約201.7gとやや大柄ですし、素材や触感も樹脂そのものといった印象。低コストを重視した設計となっていることが分かります。

やや意外だったのは3.5mmのイヤホン端子がないこと。イヤホン端子の省略はハイエンドモデルのほうが多いのですが、最近では低価格のBluetoothワイヤレスイヤホンも増えていることから、音楽を聴く用途でとても困るということはないでしょう。

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    KDDI(au)から販売されたZTE製の「a1」は下部にイヤホン端子があったが、Libero 5Gには備わっていない

トリプルカメラを搭載、撮影モードは充実

続いてカメラを確認してみると、メインカメラは約1,600万画素の広角カメラ、約800万画素の超広角カメラ、200万画素の深度測位カメラという3つを搭載。画素数の高さを重視する傾向にある最近のミドルレンジ端末と比べて性能が高いわけではありませんが、そのぶんカメラの出っ張りは小さく抑えられているようです。

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    カメラは3眼構成。広角カメラで約1,600万画素と、画素数的には最近のミドルレンジとしては低め

広角・超広角という2つのカメラを備えていることから、標準のカメラアプリでそれらを切り替えての撮影が可能。EXIF情報を確認すると、広角カメラはF値が1.8、超広角カメラはF値が2.2でした、超広角カメラはやや白飛びしやすい傾向のようです。

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    広角カメラで撮影

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    同じ場所から超広角カメラで撮影。やや白飛びしやすい傾向にある印象

深度測位カメラを利用するモードは2つ用意されており、1つは背景をぼかして顔写真を撮影する「ポートレート」モード。これには、顔を認識して肌をきれいにする「自動ビューティー」を付与することもできます。

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    「ポートレート」モードを使って撮影。深度測位カメラによる背景ぼかしに加え、顔を認識して肌などを補正してくれるのがポイント

そしてもう1つは、物や風景などで背景をぼかした写真を撮影する「背景ぼかし」モードです。顔の認識はしない一方で、ぼかし具合を手動で調節できるのが特徴となっています。用途に応じて使い分けが必要なのはやや手間ではありますが、そのぶん意図的な撮影ができるともいえるでしょう。

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    「背景ぼかし」で撮影。顔認識機能はないが、背景のぼかし具合を変えられる

ほかにも、夜景を明るく撮影できる「スーパーナイト」モードなど、いくつかの撮影モードが用意されています。ただしモードやカメラの切り替えに1秒程度かかることから、ハイエンドスマホに慣れているとやや不満が出るところかもしれません。

動画撮影に関しては、特徴的な機能といえるのが「VLog」モードです。これは1~3秒ほどの短い動画を何パターンか撮影し、それらを組み合わせて印象的な動画にするというもの。エフェクトをかけながら撮影するため、撮影開始直後に画角が変わってしまうことがあるのが気になりますが、うまく活用すれば印象的な動画を撮影できるでしょう。

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    「VLog」モードで撮影しているところ。エフェクトをかけながら撮影するため、撮影直後に画角が変わる場合がある点に注意

フロントカメラは約800万画素と、ミドルレンジとしては標準的な画素数といえるでしょう。深度測位カメラはありませんが、こちらでもポートレートモードの利用は可能です。

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    フロントカメラでセルフィーを撮影。ポートレートモードによる背景のぼかしは可能

侮れない「Snapdragon 690 5G」の性能

機能・性能面では、まずチップセットはクアルコムのミドルレンジ向け5G対応「Snapdragon 690 5G」です。メモリは4GB、ストレージは64GBで、microSDスロットを使って最大512GBの増設に対応しています。

性能的にはミドルレンジなのですが、ベンチマークを実行してみると、4GでSnapdragon 690 5Gと同等クラスとされる「Snapdragon 662」を搭載したスマホよりも性能はかなり高め。例えば「Geekbench 5」のCPUベンチマークでは、より上位クラスの「Snapdragon 765G」を搭載したスマホに匹敵する、あるいは上回るスコアが出ています。

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  • 「Geekbench 5」のCPUベンチマークスコア。左はSnapdragon 690 5Gを搭載したLibero 5G、右はSnapdragon 765Gを搭載した「Pixel 4a(5G)」。Snapdragon 690 5Gは、上位クラスのチップセットと大きな差が出ないのには驚きがある

グラフィックが主体の「3DMark」ではさすがにSnapdragon 765G搭載機より低いスコアでしたが、それでも従来のミドルレンジ端末と比べれば高い性能なのは確か。実際に「PUBG Mobile」でグラフィックの設定を確認してみると、Snapdragon 662搭載機種は画質が「標準」までしか設定できなかったのに対し、Libero 5Gはその上の「HD」まで選べました。

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  • 「3DMark」(Wild Life)のベンチマーク結果。左がLibero 5G、右がPixel 4a(5G)。こちらはPixel 4a(5G)のほうが好スコアだが、Libero 5Gもかなり健闘

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    「PUBG Mobile」のグラフィック設定画面。「Snapdragon 662」搭載機種では選択できなかった「HD」まで画質を向上できる

通常の操作していてもスクロールの引っかかりなどを感じなかったことから、基本的なパフォーマンスは高く、日常使いには十分でしょう。強いこだわりがなければ、ゲームプレイに不満を抱くこともないと思われます。コンテンツを楽しむという部分では高い満足度が得られそうです。

バッテリー面は、容量3,900mAhで急速充電(Quick Charge 4+)に対応。バッテリーが減少したときは5Gから4Gへと自動的に切り替えて節約するなど、省電力機能も充実しているようです。最近ではミドルレンジのスマホでも5,000mAhクラスの大容量バッテリーを搭載する機種が増えているだけに、それと比べれば見劣りするところではあるのですが、これだけの容量があれば電池持ちを気にしながら使う場面はほとんどありません。

そしてもう1つ、忘れてはならないポイントが日本仕様への対応です。とりわけFeliCaに対応していておサイフケータイが利用できることは、キャッシュレス決済の利用が広まっている現在では大きなメリットといえます。ただ、FeliCaのアンテナはほぼ指紋センサーと同じ位置にあるため、FeliCaマークが刻印されていない点に注意が必要です。

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    FeliCaを搭載しているが、アンテナの位置は指紋センサーとほぼ同じで、FeliCaマークが刻印されていないことに注意

防水・防塵性能はIPX7/IP5Xということで、厳密には耐水・防塵にとどまっています。とはいえ一定の防水性能があることで、日常利用での安心感があることはうれしいポイントではないでしょうか。

Libero 5Gは最近のミドルレンジとしてはカメラがやや弱めではありますが、5G対応で意外と性能が高いことから、低価格から見ても、大画面で動画やゲームなどのコンテンツを楽しみたい人には満足度の高いスマートフォンといえそうです。ワイモバイルユーザーには魅力的な選択肢となるのではないでしょうか。