ServiceNow Japanは3月12日、Now Platformの最新バージョン「Quebec」を発表した。同社は毎年2回、Now Platformのバージョンアップを実施している。

マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長の高橋卓也氏は、「Quebecのコンセプトは21世紀の企業を支えるプラットフォームのためのプラットフォームである」と述べ、Quebecの特徴として、ノーコード・ローコード開発ソリューションとして、Creator Workflowsが追加されていることを挙げた。

  • ServiceNow Japan マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長 高橋卓也氏

Now PlatformはPaaSで、これまでIT Workflows、Employee Workflows、Customer Workflowsを提供してきたが、今回Creator Workflowsが追加されたことになる。

同社は「ノーコード、ローコード開発」を推進しており、これまで個別開発のためのツールとして「App Engine」を提供していたが、今回これをリブランドしてCreator Workflowsとして提供されることになった。高橋氏はQuebecでは多くの機能拡張が行われているとして、「イノベーション」「ビジネスの俊敏性」「生産性」を加速する新機能を中心に紹介した。

  • Nowプラットフォームの最新版「Quebec」の概要

Creator Workflowsの概要

Creator Workflowsは、開発環境「App Engine Studio」とテンプレート「App Engine Templates」から構成される。これらを用いることで、ビジネスユーザーでも容易にServiceNow向けのアプリを開発することができる。

高橋氏は、Creator Workflowsの特徴として、「ServiceNowソリューションのデータを使える点」と「ガバナンスを確保できる点」を挙げた。昨今、ローコード/ノーコード開発はIT業界のトレンドであり、さまざまなツールが市場に出回っている。しかし、そうしたツールを用いてアプリを開発する際、データをどうするかが課題になるという。別なシステムのデータを利用するとなると、そのための仕組みを構築する必要があるが、Creator Workflowsではそうした手間が一切不要となる。

また、ビジネスユーザーが開発したアプリを企業で利用するとなると、それなりのガバナンスを確保する必要がある。Creator Workflowsでは、ビジネスユーザーが開発したアプリもIT部門がリリースマネジメントを行えるなど、ガバナンスのための機能が用意されている。「他のローコード開発とは、一線を画している」と、高橋氏はいう。

Now Platformの注目機能

高橋氏は、Now Platformの注目の新機能として、「AI Search」「Process Optimization」「Workforce Optimization」を挙げた。

AI Searchは、サービスポータル、モバイル、仮想エージェントの検索ウインドウからパーソナライズした関連性の高い実用的な情報を提供する。

Process Optimizationは、ワークフロー実行の基礎となるプロセスを視覚的に作成し、可視化することで先を見越してプロセスのボトルネックを特定する。

Workforce Optimizationは、管理者向けのワークスペースを提供し、複数のチャネルにわたり、エージェントの生産性、ワークロード、およびKPIをリアルタイムでモニタリングすることを可能にする。モニタリングしたデータを活用して、人員配置の最適化を図るなど、組織の生産性の向上に貢献するという。

Employee Workflowsの注目機能

高橋氏は、Employee Workflowsの注目の新機能として、「Universal Request」を挙げた。「Universal Request」により、管理チームはチケットを転送して部署間でコラボレーションをすることが可能になり、従業員は自分で申請したチケットのステータスが更新されるごとに通知を受け取ることができるため、チケットの状況を心配する必要がなくなる。

IT Workflowsの注目機能

高橋氏は、IT Workflowsの注目の新機能として、「ITOM Predictive AIOps」を挙げた。これは、ITインシデントをユーザーに影響が出る前に予測し、インシデント作成とデジタルワークフローを用いて自動で修復を行う。

加えて、高橋氏は新製品として、法務部門が抱える課題を解決する「Legal Service Delivery」を紹介した。「Digital Forensics」では、法務部門が必要に応じてデジタルデータの調査・解析、消去されたデジタルデータの復元など行う際に、全システムの情報管理者にeDiscovery(電子証拠開示)クエリーを割り当て、追跡に必要な合理化された、透明性あるセキュアなプロセスを提供する。

また、Simple Contractsでは、NDAや一般的な契約書や覚書のテンプレートを提供し、DocuSignやAdobeSignとの電子署名との連携を実現する。

  • Nowプラットフォームの注目機能