アマゾンジャパンは3月9日、岐阜県に拠点を置くバローホールディングスとの提携を発表した。ECサイト「Amazon.co.jp」として初めて、東海地方向けに生鮮食品や日用品のオンライン販売、最短当日配送サービスを開始する。開始時期は2021年夏頃めど。

  • Prime Now/Amazonフレッシュ事業本部 事業本部長の荒川みず恵氏(左)と、バローホールディングスの小池孝幸取締役(右)

バローホールディングス(以下、バロー)は、東海地域を中心に、スーパーマーケット「バロー」を中核としてホームセンターやドラッグストア、スポーツクラブなど多彩な事業を実施。主力のスーパーマーケット事業は13府県に展開しており、バローグループ全体の店舗数は2021年2月末時点で1,225店舗。営業収益は2021年3月期(通期)で7,100億円を見込むが、そのおよそ半分をスーパーマーケット事業が占める。

  • スーパーマーケット「バロー」の精肉コーナー

Amazonでは有料サービスとしてすでに、生鮮食品などを直販する「Amazonフレッシュ」を提供している。また2020年10月には、関東・大阪を中心に展開するスーパーマーケット「ライフ」と提携し、Amazon上にライフのネットストアを展開。関東・大阪向けに生鮮食品販売サービスを実施している。

今回のAmazonとバローの提携はライフに続くもの。ライフと同じく、Amazon.co.jpのWebサイトおよびAmazonアプリ上に、バローのストアが開設され、ユーザーはバローの生鮮食品や店舗で作った惣菜、プライベートブランド商品、日用品などをAmazonを通じて購入できるようになる。配送料などはバローとAmazonで協議中としている。

  • Amazon側の特徴とバロー側の特徴

  • Amazonプライム会員向けのネットスーパー・サービス。2021年夏以降にバローが加わる

サービス開始当初の品揃えは、野菜や果物、精肉、鮮魚、店内で作った惣菜、焼き立てパン、バローPB商品、日用品など、約8,000点の品目を用意する。バローホールディングス取締役の小池孝幸氏は「普段の買い物と同じような体験がAmazonでもできるようにしたい」と紹介した。

  • Amazonにおけるバローストアの品揃え予定。店舗で作った惣菜や日用品など、幅広い品目を買えるようにするという

購入の流れは、まずAmazonのバローストアでユーザーが注文すると、実店舗に注文情報が入る。その後、注文商品をバローの専任スタッフがピックアップし、店舗でパッキングを実施。パッキング後はAmazonのドライバーが店舗でピッキングし、ユーザーへ最短2時間での配送を目指す。

まずは2021年夏までに愛知県の名古屋エリアでサービスを開始。その後は愛知県を中心に、配送エリアを順次拡大するという。具体的なエリアやサービス開始時期は現在未定で、決定次第、別途告知するとした。

  • バローで販売するお寿司

  • 注文から配送までの流れ

今回の提携により、東海地域でAmazonを通じた生鮮食品のオンライン販売・配送サービスが初めて実現する。バローは今後スーパーマーケット事業を強化するため、商品力の向上、競争力のあるフォーマットへの転換、人材開発の3つを強化。“この店だから通う”という、他店と差別化する要素を持った「ディスティネーションストア」を目指すべく取り組みを進めているという。その一環が今回の提携にあたるとみられる。

Prime Now/Amazonフレッシュ事業本部 事業本部長の荒川みず恵氏はバローとの提携について「関東、大阪に続き東海でも生鮮食品の配送サービスを提携したいと思っていた」とコメント。バロー側でもオンライン販売を強化したい思いがあったといい「両者の戦略や方向性が合致したため、協業の実現に至った」と説明した。

  • バローでは岐阜県で主に法人向けとなるネットスーパー事業を展開している。今回のAmazonとの提携では、「配送エリアや対象ユーザーが異なるため、食い合うことはない」(バローホールディングスの小池孝幸)とした

  • Amazonとバローによるネットスーパー・サービスの提供エリア