一般社団法人映像配信高度化機構、三菱総合研究所、富士通、アストロデザインは2月19日、緊急災害時に被災地域の8K映像を5G配信することで、救助や避難誘導などをより正確に行う実証実験の結果を発表した。

  • 実証実験の概要

実証実験は、一般社団法人映像配信高度化機構、NTTドコモ、シャープとも連携して実施。映像配信高度化機構が開発中のシステム「4K8K高度映像配信システム」と、ドコモの5G通信を使い、シャープ製8Kカメラ搭載のドローンで撮影した高精細映像を送信し、災害本部を想定した場所で受信する。被災場所を高精細に撮影できるため、映像の一部を切り出して詳細を見るなど、被災者の救出や避難誘導といった救助活動での活用を想定する。

  • 京都府・けいはんなロボット技術センターで行った、ドローン撮影した8K映像を5Gで伝送(アップリンク)する実証実験。右上の写真は5G送受信機(緑丸)と8Kカメラ。下の写真は、8Kカメラと5Gルータを搭載したドローン。天井に5G送受信機を用意する

各社・機関の役割は下記の通り。

  • 映像配信高度化機構:「4K8K高度映像配信システム」の供出。実証取りまとめ

  • 三菱総合研究所:実証事業の請負、取りまとめ

  • ドコモ:5Gを含む回線の手配、供出。5G実験施設の供出。技術支援。

  • 富士通:「4K8K高度映像配信システム」の開発支援、運用、システム設計、技術支援

  • シャープ:ドローン搭載8Kカメラと5G送受信機の開発、供出、映像撮影、5G配信

  • アストロデザイン:8K映像の切り出しシステムの開発、供出

実証実験の期間は2021年2月15日から17日の3日間。想定した被災地域(宮城県仙台市)にて、あらかじめドローンで8K映像を撮影し、その後、京都府の「けいはんなロボット技術センター」にて5Gを含むネットワークを使い映像データを送信。「4K8K高度映像配信システム」(神奈川県・富士通 横浜データセンター)を経由して、東京都の「ドコモ5Gオープンラボ」で受信し、8Kモニタで表示して画質劣化、遅延などを検証した。また、救助隊などが持つタブレットを想定したモニタに、8K映像の一部を切り出して表示した。

回線混雑による遅延はあったものの、結果として撮影映像を高画質のまま複数拠点に伝送できたという。各社・機関は今回の実証実験を踏まえ、ドローンや5Gを活用して4K8K高度映像配信システムの課題検証を進め、防災分野などに活用できるよう取り組むとした。