マイクロソフトが発売した、据え置き型ゲーム機「Xbox Series X|S」。マイクロソフトが発売する家庭用ゲーム機としては4代目にあたり、2013年の「Xbox One」から数えると実に7年ぶりともなるフルモデルチェンジが行われた最新ゲーム機だ。
見通しが付かない中枢半導体の供給不足という状況もあるにせよ、2020年11月に発売されてから今に至るまで品薄が続いており、国内外で非常に高い人気を誇っている。長いこと家庭用ゲーム機を楽しんできた筆者としても、機能性や使い勝手がどう変わっているのかがかなり気になるところだ。今回は上位モデルのXbox Series X(54,978円)を試用し、さまざまな面からその進化の度合いを検証してみよう。
長方形のデザイン、底面から天面に向けたエアフローを構築
Xbox Series X|Sは、「Xbox Series X」と「Xbox Series S」という2モデルで構成されている。外観からは光学ドライブの有無やサイズの違いが見て取れるが、スペックを確認してみるとCPUやグラフィックス機能のグレードにも違いがある。
Xbox Series Xは「真の4K」に対応する、というマイクロソフトの主張を見ると、4K解像度対応のディスプレイやテレビを用意できるならXbox Series X、それ以下の解像度ならXbox Series Sという捉え方でよさそうだ。
中枢を担うCPUは、AMDの「Zen 2」アーキテクチャを採用する8コアCPU。CPU内には同じくAMDの「RDNA 2」アーキテクチャを採用するグラフィックス機能が組み込まれている。PC向けのCPUでいうと「APU」(Accelerated Processing Unit)と呼ばれるタイプで、メインメモリとしては高速なGDDR6メモリを搭載し、データの保存領域としてはSSDを利用する。
構成的にはPCそのものであり、やろうと思えばWindows 10もインストールできそうではある(もちろんそうしたオプションは用意されていない)。ちなみにライバルとなるソニーの「プレイステーション5」(PS5)でも、似たような構成のAPUを採用している。
コンパクトで置き場所に困らないXbox Series Sもいいが、新世代のパフォーマンスを100%堪能したいなら、やはり上位モデルのXbox Series Xのほうがオススメだ。そこで今回は、Xbox Series Xを試用している。
箱から出してみると、すっきりとした長方形のデザインが印象的だ。全体がマットブラックで塗装されており、小型のデスクトップPCと言われても違和感がない。奇抜なデザインと大型筐体を採用したソニーの「プレイステーション5」と比較すると、遊びは少ない印象は受ける。しかしどんな部屋に置いてもしっくりマッチするというのは、大きなメリットだろう。
前面には、光学メディアを差し込むスリットや電源ボタンを装備する。背面には有線LANポートやディスプレイ出力用のHDMI、電源供給用にめがね型電源コネクタを装備する。2013年に発売された前機種の「Xbox ONE」(初期型)まで電源は内蔵しておらず、かなり大型のACアダプタも利用しなければならなかったことを考えると、よりコンパクトに設置できるようになったことは評価すべきポイントだろう。
有線LANポートの左隣にある細長いスリットは、外付けのSSD「Xbox Series X|S 用 Seagate ストレージ拡張カード」を増設するための拡張ポートである。Xbox Series Xでは標準で1TBのSSD(Xbox Series Sは512GB)を搭載するが、大容量のデータを利用する最近のゲームタイトルを何本もインストールすると、さすがに容量が足りなくなってくることがある。
このスロットにXbox Series X|S 用 Seagate ストレージ拡張カードを挿しておけば、システムが利用できるストレージ容量をさらに1TB分追加し、余裕を持って利用できるようになる。専用スロットを利用する特殊なSSDなので、アクセススピードは内蔵SSDと同じだ。
USB 3.0ポートは、背面に2基、前面に1基という構成だ。データの保存領域として利用できるストレージや、テキスト入力で利用できるキーボード、Xboxシリーズに対応するボイスチャット用のヘッドセットなどの一般的な周辺機器は、このUSBポート経由で接続して利用する。
天板には大型ファンが組み込まれている。底面から取り込んだ外気を利用して内部のヒートシンクを冷却し、天板方向に排気するエアフローだ。また天板のカバーは大きめな穴が多数設けられたメッシュ構造になっており、Xbox Series X内の熱気をスムーズに排出してくれる。
天板のファンの回転数は、システムの負荷に応じて細かく調整される。ゲームのプレイ中は負荷が高くなるため、それなりにファンノイズは大きくなる。しかしホーム画面を表示している状況では、耳を近づけないとファンの音はほぼ聞こえない状態だった。