携帯電話やインターネットの普及、愛好者層の高齢化を受け、アマチュア無線を楽しむ“ハム”の人口が減少するなか、アイコムのアマチュア無線機「IC-7300」がヒットしている。全世界での累計出荷数が10万台を超え、アイコムによると「世界のハムの約30人に1人がIC-7300を購入した計算になる」としている。日本でも、若手ハムの育成を目的に、総務省がアマチュア無線の規制緩和を行うなどして、日本アマチュア無線連盟(JARL)の会員数が27年ぶりに増加。かつて“趣味の王様”と呼ばれたアマチュア無線が、令和になって若年層のハートをとらえつつある。

  • 全世界での累計出荷数が10万台を超えたアイコムのアマチュア無線機「IC-7300」。実売価格は108,000円前後

IC-7300は、アイコムが2016年1月に発売したアマチュア無線機(トランシーバー)。海外との交信が可能なHF帯の送受信が可能な製品ながら、信号をデジタル処理することで本体の小型化や高性能化を進めた。さらに、電波状況をディスプレイに表示する「リアルタイムスペクトラムスコープ」など、これまで高級機にしか搭載できなかった機能も搭載。実売価格を108,000円前後に抑えたことで、国内外でヒットした。

  • コンパクトなボディにイマドキの機能を盛り込んでいる

発売から8年経った2024年1月、IC-7300の累計出荷数が10万台を突破。全世界のアマチュア無線の開局数は約300万とされており、約30人に1人がIC-7300を購入している計算になる。

IC-7300のヒットを後押しする好条件も重なった。発売後に世界を襲ったコロナ禍では、巣ごもりで楽しめる趣味としてアマチュア無線に注目が集まり、2021年には日本アマチュア無線連盟(JARL)の会員数が実に27年ぶりに増加に転じた。

さらに、若手のハムを育成しようと、総務省は電波法の規制緩和を実施。2020年、有資格者の立ち合いのもとであれば、資格者の子どもや生徒に限定して交信体験できるようにしたのに続き、2023年には有資格者の立ち合いのもとで無資格の人も交信体験ができるようになった。将来の通信技術を担う人材の育成という点でも、アマチュア無線は期待されている。