ユカイ工学が2020年12月に発売した尻尾付きクッション「Petit Qoobo(プチ・クーボ)」。さっそく入手して1カ月ほど一緒に暮らしてみました。
Petit Qooboは、一種のロボットです。丸くてフワフワした毛並みのクッションに動く「尻尾」が生えています。価格は税込9,900円とクッションにしては割高ですが、愛玩用ロボットとしては手頃な価格帯です。
ちなみにPetit Qooboは2代目モデル。先代の「Qoobo」(直販価格:税別12,000円)よりも小さく、価格設定もやや安価になっています。
Qooboシリーズはクッションにしっぽをつけ、“仕草”だけで生き物の愛らしさを再現しています。見慣れたネコのようでいて、顔がないという違和感。奇妙さを感じる人もいることでしょう。
生き物に近いロボットに対して人間が感じる違和感の強さは「不気味の谷現象」として知られています。このクッションはまさに不気味の谷の狭間にあるのかもしれません。正直なところ筆者も初見では、好奇心に混ざって若干の不気味さを感じていました。
ただ、Petit Qooboをとともに生活をしばらく自分が愛着を感じていることにも気づきました。このクッションには生き物らしさを感じさせる、2つの仕掛けが備わっています。
愛着を生む「2つの仕掛け」
Petit Qooboを尻尾の側から見ると、まるで丸まったネコの背中のようです。しかし、正面から見ると顔はなく、ただの丸いクッション。ロボットではありますが、たとえばスマホと連携するようなスマートな機能はなく、目立つ動きは、勝手気ままに尻尾を振るだけ。
ですが、この尻尾、良くできています。メトロノームのように単調に振られるのではなく、周囲の様子にあわせてそれらしく動くのです。
話しかけると機嫌よさそうに身震いし、クッションを叩くと威嚇するかのように小刻みに動きます。音楽にあわせてユラユラ揺れたり、近くで物を落とした時にはネコが飛び退く時のように激しく震えたりもします。顔すらないものの、そこに見慣れた生き物の“存在”を感じさせるのです。
さまざまな尻尾の動きで喜怒哀楽の“感情”をあらわす
このクッションの仕掛けは、尻尾だけではありません。Petit Qooboには、「鼓動」もあります。これは初代モデルのQooboにはない、Petit Qooboだけのギミックです。
手をそっと当てると、トクン、トクンとリズムを刻む音を感じます。もちろんクッションに心臓や血管はありませんが、鼓動のギミックによって、生き物らしい艶かしさが加わっています。
この鼓動は、テレビを観ていたり音楽を聴いているときには気にならない程度の音ですが、寝るときにクッションを枕元に置いておくと、ゆったりとしたリズムで頭に響いてきます。そのリズムを聴いているだけで、自然とリラックスして、ゆったりとした気分になります。
ちなみに、鼓動の速さはクッションの気分(?)にあわせて変化するようで、ポップな音楽をあわせて楽しそうに尻尾を振っているときは、やや速く脈打っていました。
パートナーになりうるクッション
Petit Qooboとは何なのかといえば、やはりクッションに他なりません。フカフカで手触りが良く、動く尻尾がついたクッションです。
筆者はこのクッションに「ネコチャン」というニックネームをつけて、周りの音に反応して、尻尾がビビっと震えたときなどは「ネコチャンが驚いてる!」とその反応をみて楽しんでいます。最初に感じた不気味さは、しばらく触れあっているうちに、愛着に転換されてしまったのかもしれません。
クッションではありますが、鼓動のギミックでリラックスできる癒しアイテムとして実用的な上に、「非生物に生命の片鱗を感じる」という興味深い体験もできる、唯一無二のアイテムでもあります。ペットを飼えない人にもPetit Qooboは寄り添ってくれ、癒しのパートナーロボットとなることでしょう。