オウガ・ジャパン(旧オッポジャパン)から11月20日、OPPOブランドのスマートフォン新機種として、SIMフリーの「OPPO A73」が発売されました。価格は30,800円(税込)です。MVNO各社でも取り扱っています。

  • 6.44インチの「OPPO A73」、カラバリは「ダイナミックオレンジ」と「ネービーブルー」(写真はダイナミックオレンジ)

  • こちらはネービーブルー

3万円台には見えない高級感

OPPOのスマホは複数のシリーズを展開していて、今回の「OPPO A73」はAシリーズの一員。Aシリーズの機種は、コストパフォーマンスを重視しているのが特徴です。ニーズの高い機能にはしっかり対応した上で、端末価格を抑える傾向があります。

例えば、5Gに対応するフラグシップモデル「Find X2 Pro」のオレンジモデルは、高級感あるフェイクレザーの質感が特徴的でした。一方、OPPO A73はレザーの柔らかな質感こそなく、触れば樹脂であることが分かるものの、見た目としてはシボ加工を施したレザーのように整えられており、安っぽさを感じない仕上がり。なお、カラーバリエーションは「ダイナミックオレンジ」と「ネービーブルー」の2色です。

  • 縁はやや丸みを帯びて手に馴染む。背面の手触りは硬く樹脂っぽさがある

ディスプレイサイズは、6.44インチと大きめ。一方で、本体サイズは横72.9mm×縦159.8mm×7.45mm、重さは162g。この大きさのスマホとしては、スリムで軽い印象を受けます。フレーム部はフラットな金属ですが、前背面ともに、エッジ部分はわずかに湾曲しており、片手でホールドしたときも手に馴染みました。例えば、同じOPPOのAシリーズで6.5インチの「A5 2020」と比べると、1.65mm薄く、33g軽くなっています。

  • 6.44インチのディスプレイを搭載。片手で持つには大きいサイズ感

  • 右側面に電源キーとSIMスロット(画像左下)、左側面に音量上下キー(画像右上)、下側面にUSB Type-Cポートと3.5mmイヤホンジャック、スピーカーを配置(画像右下)

画面はキレイ、スピーカーは価格相応

ディスプレイには有機ELが使われており、解像度は2,400×1,080ピクセルのフルHD+です。上部にはインカメラを配置する水滴型のノッチがあります。画面占有率は90.7%と広いものの、下部ベゼルにはやや隙間もあります。表示機能としては、輝度を自動で調整するほか、ユーザーの使用傾向を学習して最適な明るさに自動調整する「AIバックライト」などがユニークです。

  • フルHD+の有機ELディスプレイは映像視聴にぴったり

実際に動画を視聴してみたところ、色味、輝度ともに十分で不満は感じませんでした。ただし、内蔵スピーカーに関しては、端末下部側面に備わっているだけなので、音の偏りは少なからず感じます。音質もそこまで期待できません。本体には3.5mmイヤホンジャックがあり、有線イヤホンも同梱されているので、音にこだわるならイヤホンを利用したほうがよいでしょう。

ディスプレイ下部には、指紋センサーが内蔵されています。インカメラを利用した顔認証に加えて、ディスプレイに指の腹をタッチしてロック解除などが可能です。指紋認証は、スリープ状態で指を当てて約0.9秒で画面が起動しました。認証にもっさりした印象は受けなかったので、普段使いでもストレスはありません。

  • 指紋センサーはディスプレイ下部中央に内蔵

カメラはスマホで見るぶんには及第点の写真が撮れる

カメラに関しては、背面にクアッドカメラを搭載。カメラ周りは少し飛び出しており、高級感のあるメタリックなフレームで囲まれています。

  • 背面にはクアッドカメラを搭載

カメラ構成は、メインカメラ(1600万画素・F/2.2)、超広角(800万画素・画角119度)、ポートレートレンズ、モノクロレンズとなります。構成はA5 2020とも似ていますが、メインカメラが1,200万画素から1,600万画素に向上していることに注目です。

撮影に関する機能としては、被写体に合わせて最適な仕上がりに調整する「AIダズルカラー」が特徴。従来シリーズにも搭載された「ダズルカラーモード」に加え、AIによるシーン識別機能も連携しているといいます。

試しに、夜間の照度が低い場所で草木を撮影してみましたが、葉の色がくっきりと浮かび上がり、見応えのある画になりました。静止画撮影はハードウェア的な仕様以上に楽しめるでしょう。ただ、暗い場所といったシーンによっては、ハイエンドスマートフォンと比べてフォーカスにやや時間がかかる印象もありました。

  • メインカメラで撮影。スマホで見るぶんにはキレイ。PCで大きく表示すると、ピントや解像感でやや荒い部分も

  • メインカメラで撮影。肉眼ではそこまで色味を感じない暗所でも、葉を認識したのか、緑の色味が濃く出た

  • 超広角カメラを使ったウルトラワイドモードでは、メインカメラと異なる画角で撮影を楽しめる

カメラUIは、超広角と標準撮影のレンズを切り替えるときだけ、アイコンのタップが必要。1~10倍のデジタルズーム操作は画面上のUIを滑らかに動かして行えました。ちなみに、マニュアル撮影やスローモーション撮影、タイムラプス撮影などの機能は、「その他」内に配置されているので、撮影時に選択が必要です。

一方のインカメラは、1,600万画素。暗所でも明るく撮影できる「ナイトモード」や、年齢や性別、化粧の状態を識別して自動的に補正を加える「AIビューティー」など、汎用的な機能をサポートします。例えば、化粧をしていないときや、無精ヒゲが生えているようなタイミングでも、安心して記念写真を撮れるでしょう。

  • カメラアプリ内に表示される顔のアイコンをタップすると、ビューティーモードで撮影。肌の質感などが滑らかに加工された

ビューティー機能を活用したポートレート撮影に関しては、UIが背面と前面でやや異なります。背面カメラでは「AI美化処理」とだけ表示され、スライダーの項目は特に表示されません。一方、前面カメラだとスライダーのほか、「美肌」「細い顔」「より大きな目」のような調整項目が表示されました。

パフォーマンスはミッドレンジ、バッテリーは賢い

CPUには、ミッドレンジ向けのSnapdragon 662を搭載。メモリは4GB、内蔵ストレージは64GBを備えています。長期使用を想定するとストレージ容量がやや不安なので、microSDカードの追加を検討したいところです。

通信関連では、eSIMをサポートしたのが大きな特徴。海外でのプリペイドプランを利用したり、物理SIMと併用するといった用途に便利です。5GやWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)はサポートしていません。

  • 最大18Wの急速充電に対応

バッテリーは4,000mAhの大容量です。最大18WのQuick Chargeにも対応します。それだけでなく、バッテリー関連の設定が豊富なことも見逃せません。

例えば、バッテリー残量5%から17時間の待ち受けが可能な「超省エネモード」や、8時間のスタンバイで3%しか消耗しない「就寝時省電力モード」などを備えており、柔軟に運用できるでしょう。性能を優先する「高パフォーマンスモード」も用意されています。

  • バッテリーに関するモードは「設定」アプリ内の「バッテリー」画面から、オンオフを切り替え

約3万円で購入でき、見た目に高級感もあって、ディスプレイやカメラも及第点を超えるミッドレンジスマホ――。防水やFeliCaなどをサポートしていない点には注意が必要ではありますが、OPPO端末に初めて挑戦する人にとっては、手ごろで魅力的な選択肢となるのではないでしょうか。