Dynabookは11月10日、オンラインとオフラインのハイブリッドで発表会を開催し、ノートPC「dynabook」シリーズの新モデルを披露しました。個人向けには、5in1の使い方を提案するプレミアムPenノートの13.3型「dynabook V」シリーズと15.6型「dynabook F」シリーズ、13.3型クラムシェルのプレミアムモバイルノート「dynabook G」シリーズなどを発表。withコロナのニューノーマル時代に求められるワンランク上の先進性、機動性、操作性を提案していくとしています。
13.3型の5in1プレミアムPenノートPC「dynabook V」シリーズ
dynabook V8は220,000円前後、dynabook V6は190,000円前後、ともに11月下旬から順次発売。
15.6型の5in1プレミアムPenノートPC「dynabook F」シリーズ
dynabook F8が230,000円前後、dynabook F6が200,000円前後、ともに12月下旬から順次発売。
13.3型のプレミアムモバイルノートPC「dynabook G」シリーズ
dynabook G8が190,000円前後、dynabook G6が170,000円前後、ともに11月下旬から順次発売。
このほか、店頭向けPCとして「dynabook S6・S3」「dynabook C8・C7・C6」が、法人向けPCとして「dynabook G83/HR」「dynabook V83/HR」が発表されています。dynabook G83/HRは個人向けのdynabook G、dynabook V83は同じく個人向けのdynabook Vがベースになっています。
Dynabookの中村憲政氏は、「コロナ禍で人の移動が制限されるなか、リモートワーク、リモート会議、リモート授業、遠隔医療...と、私たちの日常生活がリモートXに移行しつつあります。こうした時代において、コンピューティングとクラウドサービスを結びつけた新しい付加価値を提供していきたい」としました。
国内のPCとして初めて、IntelのEVOブランド認証
そのフラッグシップ製品となるのがdynabook Vシリーズです。CPUに第11世代Intel Coreプロセッサ(Tiger Lake)を搭載しただけでなく、インテルが定めた厳しい判定基準をクリアした高品質ノートPCの証「インテルEVOプラットフォーム」にも認証済み。中村氏によれば、EVO認定は「国内PCメーカーでは初めて」とのことでした。
次は放熱設計について。Tiger LakeはTDPに幅があり、メーカー側が調整できるのですが、dynabook Vでは最大のTDP28Wを採用(基本的にTDPを高くしたほうがパフォーマンスは高くなります)。CPU性能は従来比で約15倍、グラフィックス性能は従来比で約3倍に引き上げています。あわせて、エンパワーテクノロジーと呼ばれる冷却技術を導入。新開発のダブルファンなどによって、PC内部の熱を効果的に排出することに成功しています。
また、高密度設計技術によってバッテリー容量を大型化し、駆動時間を最大約24時間まで延ばしました。電源の取れない環境で仕事をするときなど、どうしてもバッテリー残量が気になるもの。ロングライフバッテリーなら、外出先出も作業に集中できそうです。
ペン入力にもこだわりました。4,096レベルで筆圧を感知する「feel by WACOM」をワコムと共同開発し、マウス操作では難しい表現や色調補正の微調整が可能になっています。
サウンドについてはharman kardon社とスピーカーを共同開発。サウンドシステムとして立体音響の「Dolby Atmos」を採用し、臨場感のあふれるサウンドを実現しました。ちなみに、リモート会議において人の声が聞きやすいよう、声の帯域の音量・音質を向上させる機能も搭載。良い音響を仕事にもエンタメにも生かせるでしょう。
アメリカ国防総省が制定する「MIL規格」に準拠する過酷な耐久テストも実施予定。内容には、「76cmの高さから26方向に落とす」なんて項目もあります。机の上からノートPCを落としてしまう、といった日常のアクシデントは意外と起こりがち。耐久テストをクリアした頑丈なPCなら、これまでけっこうPCを落としている筆者でも長く使い続けられる気がします。
ちょっと驚いたのは、本来ならゲーミングPCでプレイするような高負荷のゲームもdynabook Vなら快適に楽しめること。発表会のステージでは『ストリートファイターV』の実演デモが行われました。
USB端子にコントローラを接続してゲームをスタートすると、まったく遅延なく、高精細なグラフィックスのゲームが進行しました。デモプレイしたカプコンのストリートファイターV プランナーの渡辺賢作さんは「まずは薄くて驚きました。ゲーミングPCは厚いものが多いんです。そしてキャラクターの動きやエフェクトも、かなりスムーズに表現できていました。BGMもクオリティが高かった。本当に快適でした」とコメントしていました。
Dynabookではコンピューティング技術だけでなく、ユーザーを起点に考えた新しい付加価値サービスも提案していく考えです。中村氏は、PCの環境をクラウドで自動設定する「ゼロタッチ・プロビジョニング」について紹介しました。複数のサービスが用意されています。
例えば「かんたんテレワーク スターターパック」は、テレワーク環境を簡単に導入でき、セキュリティも担保でき、困ったときのサポートも付随するサービス。ほかにも、教育現場の環境構築を支援する「GIGAスクール パッケージ」などが用意されています。
中村氏は「当社のクラウドサービスのバックエンドには、マイクロソフトのAzureと協業した多種多様なサービスがあり、ワンストップでお客様に提供できます」と説明。ゼロタッチ・プロビジョニングは、ユーザーが手持ちの他社製PCにも(近日)対応するとしました。
多芸多才のdynabook Vシリーズ
最後の質疑応答には、中村氏のほか、Dynabook 代表取締役社長の覚道清文氏らが回答。
「ビジネスモバイル」や「ゲーミングPC」など、様々な側面を持つdynabook Vシリーズ。これについて、特定の用途に特化しなかった理由を聞かれると、覚道氏は「当社ではコンピューティングとサービスを通じて社会を変えるというビジョンを持っています。しかしコロナ禍となり社会から変革を求められるようになりました。社会、生活のあり方が今後どう変わるのか、多様化が進んで予測しきれないところまで来ています。そこで幅広の用途に応えられるデバイスにしました」と回答。
エンパワーテクノロジーについて聞かれた中村氏は「ふたつのファンの回転数を変えることで、効率的に冷却していく技術です。(うなりを回避することで)ファンのノイズを減らすことにも成功しました。ユーザーエクスペリエンスを損なわず、かつ快適なCPUパワーを提供する、そうした技術になっています」と述べています。