いよいよ10月23日の朝から販売が始まるiPhone 12シリーズ。個性豊かな4機種が一気にお目見えし、どれを選ぶか迷っている人も多いのでは? スマートフォンに詳しい専門家のみなさんが直感的に「欲しい!」と感じたiPhoneはどれなのか、どこに注目したのかをうかがってみました。今回は、ITジャーナリストの山本敦さんです。
6.7インチの「iPhone 12 Pro Max」を奮発するワケ
オレ、ふつうの男よりも手が小さいからとか、自分の心にずっと嘘ついて逃げてばかりだったけど、今度こそ勇気を出すよ……。オレ、デカいiPhoneが好きだ! iPhone 12 Pro Maxが欲しいんだ!!
ということで、私は現在5.8インチのSuper Retina XDRディスプレイを搭載するiPhone 11 Proを使っていますが、10月16日発売のiPhone 12 Pro先行予約争奪戦は“男気”でスルーし、11月6日発売のiPhone 12 Pro Maxを買おうと思います。泳ぎが苦手なので“海よりも山派”ですが、夏生まれなので色はパシフィックブルーにします。
私は、普段からもっぱらオーディオ・ビジュアル系のネタを取材して記事を書いています。iPhone 12 Pro Maxは、そのケタ違いなオーディオ・ビジュアルの底力に惹かれました。
“Pro”だけに仕事の相棒としても不満なく使える点も評価
特に、気になるポイントは3点あります。
ひとつは、メインカメラに搭載する「センサーシフト光学式手ぶれ補正」です。重いレンズの代わりにセンサーユニットに上下左右の並進ブレを軽減するメカニズムを設け、動画撮影時の手ブレをしっかりと抑える技術です。
私は最近、記事掲載やSNSの素材として使う動画をiPhoneで撮っています。手軽にきれいな動画が撮れるからです。でも、油断して三脚やジンバルを使わないで撮ると、動画をPCに転送してチェックすると細かな手ブレが記録されてしまい、撮り直しになることもよくあります。iPhone 12 Pro Maxなら、手持ち撮影でも安定感のある動画が撮りやすそうで、仕事の効率アップも期待できます。
もうひとつは、撮る・観る・つくるの3拍子が揃う「HDR動画対応」です。映像の輝度とコントラスト再現を高める高画質化技術「HDR(High Dynamic Range)」に対応するディスプレイは、今ではコンシューマー向けの4Kテレビが当たり前のように搭載しています。スマートフォンもプレミアム級の製品がHDRディスプレイを載せるようになってきましたが、カメラでHDR動画を撮ってドルビービジョン方式で残せるスマホはiPhone 12シリーズが世界初です。しかも、iPhone 12 Proシリーズは動画がより滑らかな4K/60p対応です。
iOSの「写真」アプリでドルビービジョン方式のHDR動画の編集までできるA14 Bionicチップのパフォーマンスも驚異的です。iPhone 12 Pro Maxの6.7インチの大画面で観られるだけで満足な感じもありますが、どうせならわが家の大画面テレビにも映してみたい。iPhone 12シリーズで撮ったHDR動画はAirPlay経由で外部デバイスと共有できるようです。ドルビービジョンの高画質で楽しむのであれば、AirPlay 2とドルビービジョンに対応するソニーの4Kブラビア、またはLGの4Kスマートテレビの一部機種が好相性でしょう。Apple TV 4Kを介して、ドルビービジョン対応の4Kテレビで観る方法もあります。早くいろいろと試してみたいです。
iPhone 12 Pro Maxを「ビデオカメラとして買いたい」という人も結構いると思います。現在使っているお気に入りのスマホがあるからと、購入を諦めたり先送りしてはいけません。Apple StoreでSIMフリーの端末を買って、SIMを挿さずにビデオカメラとして使う手もあるじゃないですか。
私はもうひとつ、iOS 14からAirPods Proとのコンビネーションで対応したイヤホン版「空間オーディオ」を、早くiPhone 12 Pro MaxのでっかいSuper Retina XDRディスプレイで満喫したいです。今後、もし空間オーディオに対応するコンテンツがApple TVアプリのビデオだけでなく、ほかの動画配信サービスやゲームにも広がった時、2020年秋に“Max”を選んだ自分を自分で褒めてあげようと思います。