急速に進化する「スマートウォッチ」。歩数や心拍数は測定できて当たり前、いまやFeliCaチップ内蔵により決済機能を備えた製品も珍しくなく、血中酸素濃度の測定が可能な製品まで現れた。今後ますますスマートに(賢く)なることは確実だ。
しかし、スマートウォッチは現時点では、あくまでスマートフォンとの連携ありきのデバイス。自律的に通信できる方向へ進化しつつあるとはいえ、文字入力などスマートフォン頼みの部分は多く、まだ独り立ちは難しい。多機能化/重装備化するよりも、機能を絞り込みスマートな(すらっとした)ボディサイズを維持するほうが現実に即しているといえる。
そんな折、SOUNDPEATSから防水スマートウォッチ「Watch 1」が我が家に届いた。以前、5,000円以下で買える完全ワイヤレスイヤホンのレビュー(過去記事)のために機材を借りたとき、「初めてスマートウォッチを出すので、よければお試しを」とサンプル機が一緒に送られてきたのだ。
Watch 1はニュース記事によれば、防塵防水性能はIP68準拠、歩数や心拍数をライフログ的に記録する機能に加え、一定時間同じ姿勢が続くと振動で知らせる機能も備えるという充実ぶりで、税込3,980円という“激安価格”。遠慮なく使ってみることにした。
無遠慮ついでに思いついたのが、「スマートウォッチはどれだけ雑な使い方に耐えられるのか」という疑問の検証だ。
完全な防塵構造かつ水面下での使用が可能というIP68規格だが、水に対する保護等級(2桁目の「8」)のテスト方法については「メーカーと機器の使用者間の取り決めによる」とされている。IPX7の「15cm〜1mの水面下に30分間」より厳しい環境での使用に耐えられるという程度の意味合いであり、海水などに浸しても大丈夫か? という素朴な疑問は解消されない。これは試してみなければ。
(編注:本記事の検証内容はメーカー推奨の利用方法ではないため、試される場合は自己責任で安全に配慮して行ってください)
シンプルデザインのWatch 1。「座りすぎ通知」がイイ感じ
Watch 1のボディは樹脂製で、ディスプレイは表面に強化ガラスを用いた1.4型の有機EL。デザインは奇をてらったところのないシンプルなもので、たたずまいは装飾性抜きのスポーツウォッチといったところ。バンドはシリコン製で留め具部分は樹脂製、幅20mm/バネ棒付きの市販品に交換できる。
腕に装着していろいろな角度から眺めてみたが、意外なほど素材に樹脂っぽさはない。樹脂製でも明るいシルバーだと一見でバレてしまうが、iPhoneでいうところのスペースグレーに近い色調だからか、アルミ製と言っても通用しそうなくらい金属的な質感がある。35g(バンド含む)という軽さゆえか、心拍センサーがあることによる異物感はなく、長時間装着したままでも気にならない。
ディスプレイの表示エリアは正方形で、解像度は300×300ドット。1行あたり全角換算で9文字を表示できることもポイントだ。スポーツやライフログ用途を意識した、他社製のスマートウォッチには縦長のものもあるが、ペアリングしたスマートフォンからの通知を表示するときには1行あたりの字数が多いほうが読みやすい。縦長スマートウォッチの5字改行/全15字では大意すらつかめないが、9字改行/全27字のWatch 1は通知の役をしっかり果たせる。
売りのひとつ「座りすぎ通知機能」もけっこう役に立つ。一定時間動かずにいることを通知と振動で知らせてくれるというものだが、機能のオン/オフはもちろん、動作する時間帯を指定できるから、装着したままでいても煩わしさはない。SOUNDPEATSに確認したところ、座り過ぎ検出基準は「1時間に測定された歩数が20歩以内」で、現在のところ変更できないとのことだが、気分転換&居眠り防止にはちょうどいい塩梅だ。
眠りの質を測定するという「睡眠モニター機能」も、まずまずの精度で動作した。脈拍の変化をもとに活動中か睡眠中か、睡眠中はレム睡眠かノンレム睡眠かを判断しているとのこと。筆者の場合、就寝時刻はかなり正確だったが、起床時刻は遅く検出されがちだった。たとえば6時に起きているのに7時と検出されるなど、睡眠時間が実際より1時間ほど長くなってしまった。
運動管理機能は、ウォーキングやサイクリングなど計12種類のトレーニングモードが用意されており、スピードや心拍数の変化などのデータを測定できる。ウォーキングと室内ランニングを試したが、検出された距離に違和感はなく、心拍数の変化もしっかり記録されていた。どれほど正確かはより詳細な検証が必要だが、スマートウォッチに求める機能としては充分な水準だ。