安定の画質

EV2795の画面モードには、User1、User2、sRGB、Paper、Movie、DICOMの6種類があります(DICOMは医療向けの簡易表示モードなので、気にしなくてよいでしょう)。Paperは「紙」に近づけたモードで、色温度が低くなります。Movieは高輝度・高コントラストで映像に適した表示です。使い方にもよりますが、通常はsRGBモードがおすすめ。User1とUser2は、RGBバランスなどを詳細に調整できます。

  • OSDは右下のタッチボタンで呼び出します。タッチの反応性も上々

  • EV2795の画面モード

ここでは、キャリブレーションツールの「i1 DISPLAY PRO」を使って、EV2795の色域(ガモット)とRGBの入出力カーブ(階調表現)を調べてみました。測定した画面モードはsRGBとUser1です。どちらもデフォルト設定をベースに、i1 DISPLAY PROのユーティリティが出す指示に合わせて、明るさとRGBバランスを調整しています(sRGBモードは明るさのみ調整可能)。

まずsRGBの色域は、規定値にかなり近いものでした。紫系が少し狭く計測されましたが、これならsRGBをほぼ正確に再現しているといってよいでしょう。RGBの入出力カーブは、シャドウ(黒)から中間階調までは各色のラインがぴったり重なり、きれいな直線を描いています。ハイライト(白)にかけて、GとBのラインがやや下がりますが、実用上は問題にならない程度です。RGB各色のラインに変にでこぼこした部分もないことから、階調性も優れていることが分かります。

  • EV2795のsRGBモードを実測した色域。カラーの領域がEV2795、グレーのワイヤーフレームがsRGBの規定値です。EV2795のsRGBモードは、sRGBの規定値とほぼぴったり

  • EV2795のsRGBモードを実測したRGBカーブ。明るい部分でGとBの出力が下がっていますが問題ないレベル

次はUser1について。基準にしたsRGBの色域よりも、一回り広い色域でした。液晶パネルが持つ本来の色域と考えてよいでしょう。ガモットで見ると緑から赤にかけて、より広い色域となっています。簡単にいうと、sRGBよりも高彩度の緑や赤を表示できるということです。RGBの入出力カーブは、シャドウ(黒)領域が少し明るめに表示されているものの、RGB各色のラインにほとんどズレとでこぼこがありません。User1の表示も、優秀な階調性です。

  • EV2795のUser1モードを実測した色域。今度はカラーの領域がsRGBの規定値、グレーのワイヤーフレームがEV2795の実測値です。液晶パネルのネイティブな色域は、sRGBよりも広いことが見てとれます

  • EV2795のUser1モードを実測したRGBカーブ。データ上では暗い部分が少し明るく表示されるようですが、目視ではまず分かりません。中間調からハイライトにかけては優秀です

  • sRGBモードで調整できるのは明るさのみ

  • User1とUser2モードは詳細な調整が可能

  • User1とUser2モードの詳細設定。映像やゲームの残像感を減らすオーバードライブは、オフ・普通・強という設定

  • 「EcoView設定」は、いわゆる省エネ設定。周囲の明るさに応じて画面の明るさを自動で調整したりして、消費電力とCO2排出量を削減します