クラウドコンピューティング最大手であるAmazon Web Services(AWS)は、毎年世界中で「AWS Summit」と呼ばれる年次イベントを開催している。日本でも東京と大阪で開催されており、世界中の主要都市で開催してきた。このイベントは、AWSが提供するさまざまなサービスの使い方を知ってもらうというのが大きな目的になっている。

ただし昨今は、新型コロナウイルスの影響でこうした大規模イベントの開催は不可能な状況が続いている。そこでAWSは9月8日、AWS Summitの開催をオンラインで行う「AWS Summit Online」の取り組みを開始した。AWS Summitがオンライン開催となるのはこれが初めてだ。

2020年9月8日と9日はライブ配信が提供され、9月30日まではオンデマンド配信が行われる。セッションをオンラインで観ることができ、場合によってはAWS Summitよりも参加が簡単になったといえる。既にAWSのサービスを利用しているなら、ぜひこのイベントを活用したいところだ。

2019年9月の時点で、AWSが提供していたサービスは170を超えていた。これだけでもかなりの数のサービスが提供されているのだが、2020年9月の時点では190を超えるサービスが提供されており、サービスの総数は200に近づいている。AWSの提供するすべてのサービスを把握するのはとても難しい状況にあると言ってよい。

AWS Summit Online初日の基調講演に立ったCTOであるWerner Vogels氏の発表からは、AWSのサービスを読み解くことができる。Vogels氏はAWSの話をする前に建築の話を持ち出し、「基礎が大切。ベースとなるアーキテクチャをちゃんとしたものとして設計し、その基礎の上に優れた建物を建立できる」と説明した。この言葉は、増え続けるAWSのサービスを「どうやって組み合わせて活用すればよいのか」を学ぶことが大切だということを示唆している。

  • 基調講演に立つAWS CTO、Werner Vogels氏

    基調講演に立つAWS CTO、Werner Vogels氏

Vogels氏の主な発表内容は、ストリーミング配信、映像コンテンツ製作、リモートワークシステム構築、教育などに焦点を当て、AWSのどのサービスを使ってそれを実現したか紹介する内容になっている。中でも、次の4つのサービスやコンテンツに注目しておきたい。

上記は、既存のベストプラクティスや構築事例を共有するためのサービスやコンテンツだ。AWSが提供する大量のサービスを使いこなすには、成功している事例を真似するのが最も効率がよい。AWSは最近こうしたサービスやコンテンツを充実させており、AWSを利用するエンジニアに対し、こうしたサービスやコンテンツを活用した効率のよいシステム開発が求められるようになっている。

AWS Summit Onlineは、オンデマンド配信で繰り返しセッションを閲覧できる点が特に便利だ。興味のあるコンテンツに絞って閲覧し、特に役立つものは繰り返し見て利用することができる。AWSユーザはぜひ活用したいコンテンツだ。