フローチャートやネットワーク図を作成するには、ExcelやPowerPointを使うのではなく、操作性が作図に最適化された、専用の作図ツールを用いるのが便利だ。用意されたテンプレートの中から作りたいイメージに近いものを選択し、ドラッグアンドドロップでアイコンなどのパーツを追加していくことで、見た目のよい図が簡単に作成できる。

こうした作図ツールは、かねてよりオンラインで使えるサービスが存在していたが、最近は操作性もより洗練されたほか、メンバーを招待して共有できるコラボレーション機能が強化されるなど、次代のニーズに合わせて大幅な進化を遂げている。今回は、無料で利用できるプランがあることを条件に、オンラインで使える3つの作図サービスを紹介する。

さまざまな部署のニーズに対応、国産の老舗サービス「Cacoo」

Cacoo」は、作図サービスの中で老舗と言えるのが「Cacoo(カクー)」だ。

フローチャートやネットワーク構成図のほか、ワイヤフレームやマインドマップなど、さまざまなテンプレートが用意されており、オンラインで作図が行える。作成した図は自動的に保存されるので、過去データを呼び出しての修正も容易。日本発のサービスということで、日本語環境で安心して利用できるのが大きなメリットだ。

  • Cacooのテンプレート画面

図のデザインは全体的に統一感があり、またスマホのインターフェイス設計のためのワイヤーフレームなど、UI設計のためのテンプレートが豊富に用意されているのも特徴だ。

月間や週間のカレンダー、オフィスレイアウト図、組織図など、一般的なテンプレートも多く用意されており、さまざまな部署で利用できる。さらにMicrosoft TeamsやSlackなど、外部ツールとの連携機能も強力だ。

最近はコラボレーション機能に注力している「Cacoo」だが、個人で使うのであれば、まずは図の作成枚数が6シートまでの制限があるフリープランがよいだろう。書き出し形式がPNGに限定されたり、アップロードできるファイルサイズが500KBまでという制限はあるが、手軽に試すにはもってこいだ。なお個人向けの上位プランには、月額600円からのプロプランが用意されている。

  • Cacooで作成したネットワーク図の例

テンプレート豊富、ネットワーク系の作図に強い「Lucidchart」

Lucidchart」は、海外では高い知名度を誇る作図サービス。フローチャートやネットワーク図のほか、ワイヤフレームやプロジェクト図など豊富なテンプレートが用意されている。

海外のサービスだが日本語化されており、利用にあたってはハンデを感じさせない。こちらも「Cacoo」と同様、オンラインに保存し、過去データを呼び出しての修正も容易だ。またコラボレーション機能も充実している。

  • Lucidchartのテンプレート画面

テンプレートの種類は今回紹介する中ではもっとも多く、デザインが好みでなくても別の選択肢があったりと、同じカテゴリの中でデザインを選べることが特徴だ。ハードウェアのアイコンが充実しているなど、全体的にはネットワーク周りの作図機能が強い印象だが、小学校の当番表など特徴的なテンプレートも用意されている。またこちらも「Cacoo」と同様に、Microsoft TeamsやSlackなどとの連携機能も用意されている。

初めて使うユーザ向けには、最大3つまでのドキュメントと、各文書60点までの図形が使えるフリープランがおすすめだ。利用できるテンプレートの種類に制限があるため、使いたいテンプレートがプレミアム限定で利用できないこともしばしばだが、使い勝手を確認するにはまずこのフリープランから入ることになるだろう。

  • Lucidchartで作成したネットワーク図の例

ユーザ登録不要ですぐ使える「diagrams.net」

最後に紹介するのが、「diagrams.net」(旧draw.io)だ。前述の「Cacoo」「Lucidchart」がユーザ登録を必要とするのに対し、この「diagrams.net」は完全無料でユーザ登録も必要とせず、アクセスして「Start」をクリックするとすぐにエディタ画面が表示される。

海外製のサービスだが、エディタ画面上で言語設定を切り替えることで日本語での利用にも対応する。ただしヘルプなどはすべて英語表示だ。

  • diagrams.netの新規作成画面

無料サービスにもかかわらず、用意されているテンプレートの総数は100を超えるなど充実している。全体的にはネットワーク構成図の作成機能が強く、また一部テンプレートには非常にクオリティの高いハードウェア機器のアイコンが用いられている。図形類も豊富で目的別にパレットから追加できるが、テンプレートを通じてデザインの統一性はあまりなく、またモノトーンが中心なため、ユーザによって好みは分かれるだろう。

ログイン不要で使えることもあり、過去に作成した図をオンラインに保存して一覧表示できる機能はなく、作成した図はそのたびにローカル、もしくはGoogle Driveなど連携先のクラウドストレージに手動保存する必要がある。また同じ理由で、他のユーザとのコラボレーション機能も非対応だが、それで充分という人も多いはず。まずは手間を掛けずにどれか作図ツールを単発で試したいニーズにはぴったりだ。

  • diagrams.netで作成したネットワーク図の例