Microsoftは沈黙を貫いているが、2020年内にAndroid搭載の2画面デバイス「Surface Duo」が登場する可能性が高まってきた。海外の各ITニュースサイトを見ると、当初予定していた2020年のホリデーシーズン(クリスマスから年末年始にかけての期間)ではなく、2020月8月中には米国市場に出荷するのではないかとの報道が相次いでいる。

たとえばWindows Centralは8月第5週と予測しており、すでにFCC(米連邦通信委員会)など各認証を通過したという。各報道を裏付けるように、Microsoft CVP, Commercial Management ExperiencesのBrad Anderson氏は自身のツイートに夕飯とデザート、そしてSurface Duoの写真を投稿した。

  • Anderson氏のツイートに掲載されたSurface Duoの写真(ツイートから引用)

Surface Duoのスペックは国内でも情報が出回っているが、Snapdragon 855チップセットを搭載し、5.6インチ×2画面のディスプレイは1,800×1,350ピクセルの解像度。メモリーは6GBでストレージは64/128/256GBのいずれか、カメラは11メガピクセル。生体認証として指紋認証を備える。

筆者は2019年10月に日本マイクロソフトが開催した発表会で、Surface Duoのモックアップ(?)を目にしたときは物欲が刺激された。だが、コロナ禍において在宅ワークが増えたことによって、モバイルデバイスのニーズが若干落ち着いた一面があり、今後は5Gの普及も見据える必要がある。Microsoftは早期に初代のSurface Duoをリリースして、改善を加えた第2世代Surface Duoの開発に着手したほうが得策だと思う。

一方、Windows 10Xを搭載するSurface Neoの2020年内リリースは見送られた。以前の公式サイトにあった「Coming Holiday 2020」の一文は現在消されている。Wayback Machineで確認したところ、米国時間2020年7月28日に変更を加えたようだ。

  • 以前のSurface Neo公式サイト

Surface Neoは当初のスケジュールから、いくつかの変更が加わっている。Microsoftは2020年5月の公式ブログで、コロナ禍でWindowsの優先順位が変化したことを踏まえ、デュアルディスプレイからシングルディスプレイ用Windows 10Xのに焦点を当てることを表明した。コンテナを利用してWin32アプリをWindows 10Xで実行可能にする技術も見送られた可能性が高い。Windows 10X開発者向けFAQには、前述の公式ブログを参照する旨の注意書きが加わった。

繰り返しになるが、コロナ禍は我々の行動様式を大きく変えている。これまでは、移動時の負担を減らすために、「軽くて長時間使えるPC」や「PCライクなモバイルデバイス」には比較的大きな需要があった(もちろん今でも一定の需要はある)。しかし現在は在宅ワークの広がりによって、外出先でより多くの情報を映し、軽快な携帯性を備えるデュアルディスプレイデバイスの有用性は低下している。このような判断から、Microsoftはロードマップを見直したのではないだろうか。

  • Surface Neoのようなデュアルディスプレイは見送られた

今この瞬間、Surface Neoが購入可能であっても筆者は逡巡(しゅんじゅん)する。2in1 PCのSurface Pro 7はデスクトップPCのサブマシンとして使っているが、初代Surface Go Advancedを起動することはほとんどなくなった。Surface Go 2の購入予定もない。2in1 PCの市場を切り開いてきたSurfaceシリーズだが、今後はコロナ禍の状況を反映して柔軟に変化していくはずだ。