米Appleが7月30日 (現地時間)に発表した同社2020年度第3四半期(2020年4月〜6月)決算は増収増益、アナリストの予想を大きく上回った。全ての製品カテゴリーで売上を伸ばし、中でもテレワークやリモート学習のニーズの高まりを受けたMacとiPadが好調だった。そうした需要の伸びに対して安定した製品供給が今後の課題になるが、決算発表の会見においてCFO(最高財務責任者)のLuca Maestri氏が、例年通りなら9月後半になるiPhoneの新製品の発売開始が数週間遅れる見通しを明らかにした。

4〜6月期の売上高は、前年同期比11%増の596億8500万ドル。純利益は同12%増の112億5300万ドルだった。希薄化後の1株あたり利益は2.58ドル。市場予想の平均は、売上高522億5000万ドル、1株利益2.04ドルだった。以下は6月期の製品カテゴリー別の売上高(増減は前年同期比)。

  • iPhone:売上高264億1800万ドル (2%増)
  • Mac:売上高70億7900万ドル (22%増)
  • iPad:売上高65億8200万ドル (31%増)
  • ウェアラブル/Home/アクセサリ:売上高64億5000万ドル (17%増)
  • サービス:売上高131億5600万ドル (15%増)

Appleは3月に「MacBook Air」と「iPad Pro」、4月に「Magic Keyboard for iPad Pro」と「iPhone SE」、そして5月に13インチの「MacBook Pro」をアップデートするなど、新型コロナウイルスの影響が広がる中でも安定して新製品を提供し続けてきた。

  • iPhone SE

    iPhoneユーザーの拡大に貢献する「iPhone SE」

iPhoneの売上高264億1800万ドルは前年同期比2%増と、他の製品に比べると伸びが小さいが、これは価格を抑えた「iPhone SE」が好調だったためだ。市場予想の売上高223億7000万ドルを大きく上回っており、昨年の同じ時期より多くのユーザーがAndroidからの乗り換えだった。次期iPhoneについては、米Qualcommが29日の決算発表の中で、ある「5Gフラッグシップ携帯の発売の遅れ」を理由に市場予想よりも低い7〜9月期の見通しを示し、すでに一部のアナリストが次期iPhoneが遅れる可能性を指摘していた。会見の中でMaestri氏は遅れる理由を明らかにしなかった。

MacとiPadについては供給が追いつかないほど需要が伸びた。ウェアラブルも好調だったが、多くのApple直営店がまだ閉まっており、実店舗で試せない影響がApple Watchの販売に現れたという。サービスも15%増と好調を維持しているが、市場予測の131億8000万ドルをわずかに下回った。