調査会社の米IDCは、「Worldwide Quarterly Personal Computing Device Tracker」(国際的なPC市場の四半期調査)の速報結果を発表した。
それによると、デスクトップ、ノートブック、ワークステーションで構成される従来型のPC市場は、2020年第2四半期(2Q20)を順調に終え、世界の出荷台数は前年同期比11.2%増の7,230万台に達したという。
パソコン需要の急増に供給が対応、売り上げ1位はHP
2020年第一四半期は、世界的に新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大防止のための外出規制が行われていたこともあり、ビジネスや教育分野での活動を維持するため、ノートパソコンの需要が拡大した。同四半期はじめに物流的な問題があったがその後盛り返し、航空および海運による輸出入は新型コロナ以前の水準に戻った。これはパソコンの生産が急拡大しており、小売店などの販売業が急増した需要に対応できているからだとしている。
こうした状況で、世界的なPC企業のなかでも高い売り上げをたたき出した5社が発表された。HP、レノボ、Dell、Apple、Acerと、ここで言う伝統型PC市場のメインプレイヤーが名を連ねたが、上位3社だけで第二四半期の市場シェアの約7割(65.7%)を占めるなど寡占状態にある一方、前年第一四半期からの成長率ではAppleが他社を引き離して36.0%という高数値を記録した。
日本市場の2大需要はテレワークと“Windows 10”
世界的にPC市場は活況といえるが、日本のトラディショナルPC市場も例にもれず、2020年第2四半期には減少したものの、コンシューマー・業務用ともに予想を大幅に上回る結果となった。ビジネス分野の伸びは、ノートPCのテレワーク需要に加え、Windows 10への移行の機会が残っていることに牽引された。一方、個人利用のための需要は、自宅での利用や学習目的で伸長したという。ステイホームで外出せずに行えるアクティビティに対する注目度が高まった結果、PCを必要とする本格的な制作活動やオンライン学習がさかんになったと言えるかもしれない。
同社のモバイルデバイストラッカー部門のリサーチマネージャーであるJitesh Ubrani氏は、「テレワークやeラーニングのニーズに牽引された高い需要は予想を超えています。しかし、学校や職場が再開される一方で、世界的な不況でそれらに対する予算が縮小されているため、現在の強い需要と高いレベルの利用が“ポスト新型コロナ”の世界でも継続されるかどうかが注目されています」と語っている。
一方、同社のデバイス&ディスプレイ担当リサーチバイスプレジデントのLinn Huang氏は、「初期の指標では、教育、企業、消費者向けのPC出荷が好調であることが示唆されているが、活動凍結状態にあった中小企業の影響でやや弱まっています。入荷待ち状態の注文がまだあるため、この好景気は7月に入っても続くと思われます。ただ、世界的な景気後退が深まるにつれ、状況は悪化していくでしょう」とコメントしている。
なお、同レポート全文は米IDCのWebサイト上で閲覧することができる。