ここ数カ月、多くの方がテレワーク・リモートワークを経験しただろう。あるいは今後も継続するという企業の話もよく聞く。ただ、それでも行動の自粛が解除されるにともない、職場と自宅、自宅とモバイルを行き来する機会は増えていると思われる。これからの課題は、自宅の仕事環境をいかに快適にできるか、から、自宅とモバイルを行き来しても快適な環境が構築できるかへと変わるのかもしれない。

そこで今回は、その課題を解決してくれそうな製品をひとつ紹介したい。デルの27インチ液晶ディスプレイ「デジタルハイエンドシリーズ U2721DE」である。キーワードとなるのは、この製品に組み込まれた「USB Type-C」技術だ。

映像ケーブル兼データケーブルとして使えるUSB-C

今年のデルの最新液晶ディスプレイである「U2721DE」は、そのコンセプトを「USB-C HUB モニター」として打ち出している。USBはデータ用のインタフェースというイメージがあるが、例えばスマートフォンなどのガジェットでは充電ケーブルに用いられ、あるいは今回紹介する製品のようにディスプレイでの映像ケーブルにも用いられている。

  • Dell デジタルハイエンドシリーズ U2721DE 27インチUSB-C HUB モニター

    Dell デジタルハイエンドシリーズ U2721DE 27インチUSB-C HUB モニター

U2721DEでは、映像入力にUSB Type-Cを備えることに加え、ケーブル1本でデータと充電にも使用できる。データとしてはUSBハブの機能を統合し、そこにUSB-LANアダプタに相当する機能も内蔵した。これまでにもUSBハブ機能を備えたディスプレイはあったが、USBケーブルはあくまでデータ用のみで、映像用にはDVIやHDMIといったケーブルを別途接続する必要があった。U2721DEではUSB Type-Cケーブル1本でデータも映像も伝送できる。

そして充電。USB Type-CではUSB Power Delivery(USB PD)という充電規格が策定されていおり、現在、モバイルノートPCを中心にUSB PDに対応する製品が増えている。U2721DEはこのUSB PDにも対応しており、対応するノートPCならば映像、データ、充電という三つの機能をUSB Type-Cケーブル1本で利用できる。従来の規格ではどれも個別の専用ケーブルが用意され、移動のたびにそれらのケーブルを着脱してきた。U2721DEなら1本だけですむ。これだけでも快適さが伝わるだろう。

ここでLAN機能を紹介しておこう。テレワーク・リモートワーク環境を整えるにあたり、とくに苦労したとよく聞かれたのがビデオ会議などでのネットワーク速度や品質だ。Wi-Fiは便利だが壁材や広さなどで減衰し電波が弱くなり、速度が出ない、途切れるといったことがある。もちろん最新のWi-Fi機器でそうした問題を解決するソリューションもあるが、手っ取り早く確実なのは有線LANだ。

U2721DEは本体にLANポートを備えており、これにLANケーブル接続するだけ。あとはU2721DEとPCがUSB Type-Cケーブルでつながっていれば、そのまま有線LANを使うことができる。とくに最近のモバイルノートPCでは有線LANのRJ-45端子を搭載しないものが多く、USB-LANアダプタの導入を検討している方も多いだろう。U2721DEと一緒に使うのであれば、これも不要になる。

  • LANケーブルをディスプレイ側に挿せる。このLANは、USB Type-Cケーブルを介し映像、充電、そのほかのデータとともにPCから利用可能になる。これら全部の接続が1本のケーブルだけですむ

IPSで広視野角、狭額縁ベゼルでスタイリッシュ

U2721DEは同社デジタルハイエンドシリーズの27型モデルで、同じUSB-C HUB モニターには「U2421HE」という23.8型モデルもある。パネルサイズも異なるが、U2721DEは27型WQHD(2,560×1,440ドット)、U2421HEは23.8型フルHD(1,920×1,080ドット)という解像度の違いもある。USB Type-C接続に対応しており、LAN(RJ-45)端子を備えているという機能面では同じなので、環境に合わせてパネルサイズ、解像度から選べばよいだろう。

  • USB-C HUB モニターの兄弟モデル、27型WQHDのU2721DEと23.8型フルHDのU2421HE

27型サイズで解像度もWQHD(2,560×1,440ドット)となると、一度に表示できる情報量はかなり多くなる。Excel表などで膨大なデータを取り扱う際は重宝するし、ウィンドウを左右分割して利用する際なども、WQHDなら半分でも1,280ドットあるので、Webサイト閲覧時の使い勝手などが良好だ。

  • WQHDとフルHDでの情報量の違いのイメージ。左側Webブラウザではマイナビニュースのトップを表示させたが、横に三つ並ぶ画像はフルHD(の左右分割)の場合、左端が切れてしまうところWQHDでは問題なし。右側エクスプローラーではファイルをサムネイル表示(特大アイコン)しているが、フルHDは3×4.5枚、WQHDでは4×6枚表示。WQHDを選べば一覧性が大きく向上する

一方、27型WQHDは24型フルHDクラスのディスプレイなどと比べると画素ピッチが小さくなる。23.8フルHDのU2421HEは0.2745mm、27型WQHDのU2721DEは0.233mmだ。ごく小さな差だが、これによってスケーリング100%時の画面上のテキストがわずかに小さくなるので、視力的にツラい方はOS標準のスケーリング機能などで対処したい。スケーリング機能を利用すれば、解像度を落とす際と比べてテキストのシャギー(輪郭のギザギザ)が生じにくくなる。一方で写真などを表示させた際には細部まで鮮明だ。

U2721DEの採用している液晶パネルはIPS駆動方式で、視野角は垂直178°、水平178°と広い。出荷時にsRGB 99%、Delta-E 2未満に補正されているとのことで、デジタルハイエンドシリーズとして色味に関しても十分なスペックを備えている。輝度は350cd/平方m、コントラスト比は1000:1。表面処理は非光沢で反射防止、3Hハードコーティングになっている。

  • IPSパネルを採用し広い視野角で、色変化も抑えられている

応答速度は標準8ms、高速時で5ms。リフレッシュレートは60Hzと一般用途向けのスペックだ。プロゲーマーやゲームマニアが求めるような高い応答速度、高いリフレッシュレートといったモデルではないが、その半面、静止画から動画まで、趣味からビジネスまで幅広いニーズに対応できる。

外寸(W×D×H)は612.2×390.2~520.2×180mm。27型だけあって机の上に設置する際は横幅に注意が必要だが、従来の27型と比べると幅は狭くなっている。この幅を実現しているのが狭額縁ベゼルだ。ちなみにデルは同社モバイルノートPC「XPS 17」でも、17.3型画面に狭額縁ベゼルを採用することで、従来の15.6型ノートPCのサイズに収めることに成功している。

  • 狭額縁ベゼル「InfinityEdge」採用でスタイリッシュかつマルチディスプレイをより快適に

U2721DEでは狭額縁ベゼルをInfinityEdgeと呼んでアピールしている。見た目での効果もあるが、マルチディスプレイ時にシームレス感が高まることも注目したい。左右ベゼルだけでなく上下ベゼルも薄いので、マルチディスプレイのレイアウトも、左右だけでなく上下に並べられる自由度がある。