イヤホン&ヘッドホンリスニングによる難聴のリスクを回避できる「聴覚」アプリ

watchOS 6から搭載された「聴覚」アプリは、Apple Watchの内蔵マイクで集音した環境騒音を測定し、ノイズレベルを画面に表示する機能です。大きなノイズ音がユーザーの聴力にダメージを与えるリスクを可視化して気付かせる有意義な機能です。

  • 聴覚アプリが、iPhoneやApple Watchにペアリングして音楽を聴いているイヤホン&ヘッドホンの音量計測にも対応します

近年は、若い音楽ファンがイヤホンやヘッドホンを使って大音量で音楽を聴くことが、聴力低下を招く最大のダメージ原因になっていることが指摘されています。これを受けて、watchOS 7ではiPhone、iPod touch、Apple WatchにBluetoothで接続したイヤホン&ヘッドホンで聴いている音量レベルも認識できるようになります。80デシベルを超える大ボリュームで週に40時間以上のリスニングを継続すると、Apple Watchに警告のアラートが届きます。

iOSのヘルスケアアプリからは、大音量に設定したまま耳を危険にさらした時間帯も表示されるそうです。その前に、iPhoneやApple Watchなどのデバイスごとに、リスニングの音量が一定レベルを超えないようにリミッターをかけられるようになるので安心です。正確なデータを測定できるイヤホン&ヘッドホンの組み合わせがどの範囲にまで及ぶのか、新OSが正式にリリースされたらぜひ検証してみようと思います。

Apple Watchが外国語翻訳デバイスになる!

筆者が気になったwatchOS 7の新機能はあとふたつあります。ひとつは「翻訳」です。

今回のWWDC 20では、11カ国語に対応するリアルタイム音声・テキスト翻訳機能がiOS/iPadOSにも載ることが発表されました。iPhoneの場合、例えば音声で入力したフレーズに対して画面全体を使って原文と対訳を表示し、音声で対訳の再生もできるようです。

  • Apple Watchが常時持ち歩ける翻訳デバイスになれば、国際化社会の未来も明るいものになるでしょう

Apple Watchの翻訳はもう少しシンプルです。声を出してSiriに話しかけて、対訳が表示されている画面を相手に見せるような使い勝手になりそうです。iOS/iPadOSの翻訳に対応する言語には、発表当初日本語が含まれていませんが、watchOS 7は日本語もサポートします。ただ、Apple Watchの画面サイズから考えると、長文の翻訳に使うというよりも、とっさの場面で単語を素速く調べて相手に伝える時に便利にな機能になりそうです。

筆者は、Apple Watchが翻訳デバイスとして大きな飛躍を遂げる第一歩を踏み出したと捉えています。グローバル化が進む都市生活の中で、常時身に着けながら、いざという場面で素速く翻訳・通訳を任せられるデバイスは、やはりスマートウォッチを置いて他にないと思うからです。対訳をApple Watchに内蔵するスピーカーで鳴らして、会話の相手に音声でも伝えられるようにしたいところですが、きっとユーザーの手元で使い勝手はどんどんブラッシュアップされるものと思います。

もうひとつは「自動手洗い検出」機能です。単純に手洗い時間のタイマーが設定できるというだけでなく、手を洗う際の動作と音をセンサーとマイクで検出して、手洗いの徹底をより力強く促すという積極性に感心しました。帰宅した時だけでなく、外出先でも使うことで、より丁寧に手洗いを徹底する習慣を身に付けたいものです。ただ、外出先では毎度20秒以上手洗いができないという人もいるかもしれないので、本機能をいつ使うか、場所や時間帯の設定もできると歓迎されそうです。

  • 手洗いの動作や音をApple Watchが自動検知すると、20秒の手洗いを促すカウントダウンタイマーが発動します

  • カウントダウンの最中に手洗いを止めてしまうと、もっと洗うようにアラートで知らせてくれます

watchOS 7は、ユーザーが求めていた機能がバランス良く追加されそうな期待のOSです。筆者はWWDCの基調講演を視聴して、iOS 14に新しく載る「App Clip」の機能に興味がわきました。iPhoneで専用コードをスキャンしたり、NFCタグやQRコードを読み込むと使える簡易版アプリの機能です。Apple Watchでも、NFCを使って同じ機能を部分的にでも実装できれば、とても相性が良いのではないかと思います。セルラーモデルのApple Watchが便利に感じられる生活シーンもぐんと広がるのではないでしょうか。