アップルの年次開発者会議「WWDC 20」が米国時間6月22日に開幕しました。秋に正式リリースを予定するApple Watchの最新OS「watchOS 7」の新機能は、私たちの生活や次期Apple Watchのハードウェアにどんな変化をもたらしてくれるのでしょうか。新OSのハイライトを振り返りながら考察してみたいと思います。

  • 今秋に正式リリースを控える「watchOS 7」、注目すべきポイントを紹介しましょう

Apple Watchのバリエーションにも影響を与えそうな機能特化型ウォッチ・フェイス

watchOS 7では、Apple Watchのまさしく“顔”であるウォッチ・フェイスのパーソナライゼーション機能がさらに充実します。

現在のウォッチ・フェイスは、Apple Watchのためにアップルが作ったネイティブのものが大半ですが、これをテンプレートにしてユーザーが色合いやコンプリケーション(文字盤に配置できるアプリやその機能へのショートカット)のレイアウトをパーソナライズした、いわばカスタムメイドの文字盤デザインをシェアできる機能が加わります。

筆者が特に注目したのは、デベロッパがひとつの文字盤に同じアプリケーションから複数のコンプリケーションをピックアップして配置できるようになること。現在は、アップルが提供するコンプリケーションを、ユーザーが必要なものを組み合わせて、それぞれの機能を関連付けて使いやすい文字盤にまとめ上げる使い方が主流です。

ひとつのアプリから複数の機能をコンプリケーション化できるようになると、例えばナイキのランニングのためのコーチングアプリ「Nike Run Club」からさまざまな機能をピックアップし、完成度の高いスポーツウォッチとしてApple Watchを洗練させることも可能になります。

  • Nike Run Clubアプリの機能をまとめて使える文字盤。ランニングの計測に必要な機能に一発でリーチできそうです

  • 多くのサーファーに信頼されるアプリ「Dawn Patrol」を文字盤に。ビーチの水温、スウェルや風速がひとつの画面で一望できます

腕時計を愛するファンのなかには、ダイビングやトレッキングを趣味としている人もたくさんいます。それぞれのフィールドに必要とされる機能を熟知するアプリベンダーから、質の高いコンプリケーションのセットが提供されれば、いよいよApple Watchを買おう、試してみたいという声が増えそうです。Apple Watchは、単体でセルラー通信ができるスマートウォッチなので、スマホに頼りすぎることなくアウトドアレジャーに便利な機能を手元ですぐに確認できることを歓迎する時計ファンも多いはずです。

そうなると、Apple Watchに耐衝撃性能の高いタフなケースを装備するアウトドアモデルや、スキューバダイビングなど水圧の高い、深い海に潜るようなアクティビティにも使える(Apple Watch Series 2以降は水深50mの耐水性能を備える)マリンレジャー対応のバリエーションが誕生するかもしれません。

文字盤シェア機能がコミュニティを活気づける

ユーザーが作成したオリジナルのウォッチ・フェイスを共有できる機能は、今までありそうでなかったものです。ウォッチ・フェイスのデータは、友だちや家族とメッセージやメールでシェアできるだけでなく、不特定多数のApple Watchユーザーに向けてWebサイトやソーシャルメディアに公開して配ることも可能になります。新しいファンコミュニティが生まれそうですね。

オリジナルのウォッチ・フェイスを作成するためのテンプレートにできるのは、現在約30種類を数えるWatchアプリから追加できる文字盤データです。ナイキとエルメスのApple Watchだけが使えるオリジナルの文字盤は、カスタマイズしてもシェアはできません。

個性派のウォッチ・フェイスを作って有料で提供することは、おそらく禁じられると思います。例えば、メディアやショップ、カルチャースクールなどがカスタマーに対してノベルティとして独自の文字盤を無料で提供したり、スポーツチームがサポーターへのファンサービスとしてこれを使うケースは増えそうです。

  • ユーザーが作成した文字盤が、Webやソーシャルメディアのページからダウンロードできるようになります

  • 連絡先を知る家族や友だちとは、作成した文字盤を1対1でトレーディングできます