ダイソンは6月22日、コードレススティッククリーナーの新製品「Dyson Digital Slim」シリーズを発表しました。新製品の特徴は、ダイソンのフラッグシップモデル最新機種「Dyson V11」と同等の使いやすさとパワーを持ちながら、40%の軽量・小型化に成功しているところ。発表会で実際に製品を触ることができたので、詳細をお届けします。

  • Dyson Digital Slim

    Dyson Digital Slimシリーズは、付属品の違いで4モデルを用意。以下の価格は、直販価格と税込です。写真の左から、9点のツールが付属する「Dyson Digital Slim Fluffy+」(86,900円)、6点のツールが付属する「Dyson Digital Slim Fluffy」(75,900円)、4点のツールが付属する「Dyson Digital Slim Fluffy Origin」(64,900円)、10点のツールが付属するダイソン直販限定「Dyson Digital Slim Fluffy Pro」(97,900円)

  • タレントのシェリーさん

    約10年前からダイソンの掃除機を使っているというタレントのシェリーさん、新製品発表会の進行を務めてくれました

フラッグシップモデル「V11」の使い勝手とパワーを継承したスリムモデル

「Dyson Digital Slim」(以下、Digital Slim)は、名前の通りダイソンの通常モデルよりも小型・軽量な「スリムモデル」の新製品。このスリムモデルは、日本の狭い住宅事情や「家中しっかりと掃除したい」というニーズに合わせて開発されています。

コンパクトで小回りの利くヘッドや、高い場所を長く掃除しても腕が疲れにくい軽量さが特徴のシリーズです。2019年には、「Dyson V7 Slim」、「Dyson V8 Slim」が発売されています。

このうちV8 Slimは、2016年発売のV8シリーズをもとに開発されているのに対し、今回のDigital Slimは、ダイソンの最新コードレススティッククリーナーのフラッグシップモデル「Dyson V11」がベース。つまり、Digital Slimは軽量・コンパクトなモデルでありながら、ダイソンの最新・最高級モデルの使いやすさとパワフルさを継承しているのです。

  • Dyson Digital Slim

    クリーナーヘッドを含む標準装備での本体サイズは、W250×D1100×H233mm。日本人でも腕を曲げずに軽い力で掃除できる高さです。重さは1.9kgと、ダイソンのコードレススティッククリーナーとしては最軽量。参考までに、軽いといわれたV8 Slimでも2.15kgあります

  • Dyson Digital Slim、Dyson V11

    ダイソンのフラッグシップモデル「Dyson V11」(写真左)と、Digital Slim(写真右)を比較。Digital Slimはパイプが細く短くなり、ヘッドがコンパクトになっているほか、本体デザインも一新。V11よりも40%の小型・軽量化に成功したそうです

実際にDigital Slimを試用してみると、軽くなって長時間の掃除がラクになった以外にも、多くの使いやすさがあることがわかります。特に便利に感じたのは、Dyson V11から搭載された液晶ディスプレイの存在。

液晶ディスプレイでは運転モードを3種類から変更できるほか、運転中にバッテリー残量も表示します。このバッテリー残量は1秒単位でカウントダウンされるため、コードレス掃除機で気になる「あとどれくらい掃除できるか」がとてもわかりやすいのです。

  • Dyson Digital Slim

    掃除中に見やすい位置の液晶ディスプレイ。バッテリー残量が1秒単位でカウントされるのはかなり便利です

  • Dyson Digital Slim

    本体に問題が起きた場合のエラーや解決方法なども、この液晶ディスプレイで表示してくれます

ヘッドが薄くコンパクトになったことで、より小回りが利くようになったほか、家具の下なども掃除しやすくなりました。さらに、ヘッド裏のデザインを改良することによって、壁際ギリギリのゴミも掃除しやすくなったといいます。

  • Dyson Digital Slim、Dyson V11

    Digital Slim(写真左)とDyson V11(写真右)のヘッドを比較。Digital Slimのヘッドは高さが抑えられ、かなりコンパクトになっています

  • Dyson Digital Slim

    Digital Slimのヘッド裏側。モーターがブラシ中央に格納されているので、ヘッドの端までブラシを配置。赤い矢印部分が空気を吸い込むことで、壁際ギリギリのゴミまでキャッチします

【動画】ダイソン「Dyson Digital Slim」、壁際の掃除
(音声が流れます。ご注意ください)

  • Dyson Digital Slim

    Dyson V11はコインを使ってブラシのロックを解除して取り外しますが、Digital Slimは手で簡単にブラシを外せる点も便利

個人的に気に入ったのは、本体のハンドル形状。従来モデルよりもハンドル部分が少し。細くなり、握りやすくなったように感じます。また、ダイソンのコードレスクリーナーは「トリガーを引いている間だけ運転」するのが特徴ですが、トリガーの形も指が引っかかりやすい弓形になりました。

  • Dyson Digital Slim、Dyson V11

    Digital Slim(写真左)とDyson V11(写真右)のハンドル形状。Digital Slimでは、赤いトリガー部分がカーブした形状になり、運転中の指が安定します

軽さとパワフルさを求めるために本体形状から開発しなおした製品

実は、たとえばV8 Slimは、本体形状はほぼ従来のDyson V8のまま、パイプやヘッドを改良することで軽量・コンパクト化を図っていました。しかし、今回のDigital Slimは「V11のパワフルさを犠牲にすることなく軽量コンパクトに」という課題のため、モーターから本体形状まで、一からデザインしています。なんとDigital Slimの開発には約2年かかったそうです。

新製品の発表後、ダイソンでフロアケア製品の開発部責任者を務めるウィル・カー氏と、Digital Slimの開発全般をリードしたコードレス掃除機部門のデザインマネージャーであるトング SS氏とオンラインでつながり、詳しく聞くことができました。

  • ダイソンのトング SS氏、ウィル・カー氏

    オンラインにて、シンガポールから新製品について解説するコードレス掃除機部門のデザインマネージャーであるトング SS氏(写真左)と、フロアケア製品開発部責任者のウィル・カー氏(写真右上)

まず注目したいのが本体形状です。従来はモーターやサイクロンパックが入った本体部分が2つのパーツに分かれていましたが、Digital Slimでは一体型に変更。これにより、シールなど一部のパーツをなくすことができ、本体の軽量化に貢献しています。

心臓部ともいえるモーターも小型化。Dyson V11と同じく毎分最大120,000回転するモーターを採用していますが、こちらもDyson V11のモーターよりもコンパクトに再設計したDyson Hyperdymiumモーターです。コンパクトながら高速回転に耐える剛性を確保するため、シャフト部分にはスチールの約3倍の硬度というセラミック素材を採用しています。

  • Dyson Digital Slim、Dyson V11

    会場に展示されていたDyson V11(写真左)とDigital Slim(写真右)の分解パーツ。Digital Slimは、Dyson V11よりも約5%小型化

  • Dyson Digital Slim

    よりコンパクトになったDyson Hyperdymiumモーター

  • Dyson Digital Slim

    サイクロン部もコンパクトになりましたが、サイクロンパックへ導く吸気口の形状を滑らかな曲線の扇型に。サイクロン内で空気がスムースに流れるほか、吸気口を広く取れるので、より多くの空気を取り込んで吸引力を確保しているそうです

  • Dyson Digital Slim

    ヘッドは、モーターをブラシ内に配置して小型化。合わせて、素材にアルミニウムを採用して軽量化。従来はカーボンファイバー(ブラシの黒い素材)をブラシ本体に埋め込んでいましたが、Digital Slimではブラシのナイロンフェルトに直接縫合することで、ブラシのボリュームを抑えることに成功しています

本体形状はもちろん、モーターからヘッドまでさまざまな試行錯誤によって、コンパクトで軽量、だけどパワフル……を実現したDigital Slim。ウィル・カー氏は「Digital Slimはコンパクト軽量で疲れにくく、小回りが利くなどのメリットがありますが、一方でDyson V11はダストビンが大きくゴミ捨ての回数が減らせる、ヘッドが(Digital Slimと比較すると)大きいので、一度に掃除できる面積が大きいなどのメリットがあります。どちらがより良いということではなく、家庭に合ったモデルを選んで欲しい」とコメントしました。