正直、我が娘(こ)はかわいい。頼まれれば応えたいし、頼まれた以上のことをやりたくなる。当然、学校から「テレスクールにはカメラとマイクを装備したWindows PCが必要」という連絡があれば用意したい……が、我が家はMac派なのだった。

手頃なWindows PCといえば、約8年前に発売した「LaVie Z LZ750」(NECパーソナルコンピュータ製)があるばかりだが、半年前に娘専用のMacBook Airを購入したばかりだし、ここは手持ちのマシンでやり繰りせねばなるまい。

とはいえ、少しでも快適な環境にしてあげたいのが親心。CPUパワーはどうにもならなくても、せめてカメラ映りはよくしたいし、教師や同級生にいい声を聞いてもらいたい。豊富なデジタルガジェットと老練のコンフィグ能力で、ちょっと古めのノートPCをテレスクール仕様にしてしまおう! という寸法だ。

  • 8年前に購入したノートPC「LaVie Z」でテレスクールに挑戦

    2012年に購入した13.3型の初代「LaVie Z」と初代Air Pods

テレスクールがWindows PC指定に

娘が通う某女子中高は3月早々に休校、以来卒業式と入学式(娘は対象学年でないためいずれも不参加)を除き生徒は誰も登校していない。父兄への連絡は専用のメッセージングアプリを通じて行われ、自宅学習のカリキュラムはGoogle Classroomで管理される。元々ITスキルが高い娘なので、そこまではMacで問題なく対応できたようだ。

しかし、緊急事態宣言解除後間もなく、冒頭に書いた「カメラとマイクを装備したWindows PCを用意せよ」との通知が学校から届く。となれば話は違う。娘はWindowsも使えるがドライバのインストールなど環境設定は未経験、マイクやスピーカー、カメラといった機器の知識も不足している。

ここは父の出番だが、かといって無理強いするのはマズい。そこで、まずは音まわりについていくつか案を提示し、好みのものを選んでもらうことにした。今回利用したLaVie Z以外にも、大半のWindows 10マシンで使えるはずなので、参考にしてほしい。

選択肢1:内蔵マイク

  • ディスプレイの上ベゼル、緑色のLEDが光るカメラの両端にある穴が内蔵マイクだ

見た目:◯ 導入の容易さ:◎ 通話品質:◯

ここ10年以内に発売されたノートPCには、かなりの割合でマイクが搭載されている。カメラユニットと一体で内蔵されることが多く、傍目にマイクの有無はわかりにくいが、ソフトウェアスイッチひとつで自分の声を取り込めるようになる。ノートPCの多くの場合、ディスプレイを開ければ自動的にマイクがこちら(操作者)側に向くため、指向性は気にせず画面に話しかけるだけでいい。

利用を開始する前に、きちんと相手の声が聞こえるかのスピーカー確認と、こちらの声が集音されているかのマイク確認を済ませておこう。「設定」→「システム」→「サウンド」の順に画面を開き、なにか物音をたてるたび「マイクのテスト」欄のバーが反応すれば、とりあえずはOKだ。

  • マイクテストを行い、自分の声に反応することをチェックしよう

しかし、実際どのような音でマイクが集音しているかは、実際に聞いてみないことにはわからない。Windows 10の付属アプリ「ボイスレコーダー」を起動し、適当な言葉を録音して聞いてみよう。できれば、内蔵スピーカーにくわえて(テレスクールで使う予定の)イヤホンで聞いてほしい。

というのも、自分では気付かないPC内部由来のノイズが乗ることがあるからだ。LaVie Z LZ750の場合、搭載されているサウンドデバイス(Realtek High Definition Audio)がノイジーで、内蔵マイクでも外部マイクでもつねにキーンというノイズが聞こえてしまう。対策は後述するとして、これも録音しなければ気付かないことだ。

  • Windows 10付属の「ボイスレコーダー」で自分の声を録音/再生し、音質をチェックしよう

選択肢2:Bluetoothヘッドセット

  • 見た目からしてデキそうな「Voyager 5200」(プラントロニクス製)

見た目:◯ 導入の容易さ:◯ 通話品質:◎

Bluetoothヘッドセットという選択肢もある。ワイヤレスというだけでなく、どの製品も音声通話に特化した設計がなされているから、こちらの声を拾いやすく、長時間装着しても疲れにくい。それに、製品によってはコールセンターで使われる業務用ヘッドセット(インカム)を彷彿とさせるデザインを採用することも。お主できるな、画面の向こう側にいる人たちにそう思わせるサムシングがあるのだ。

選んだのは、耳掛けタイプの「Voyager 5200」。業務用通話機器で実績豊富な米国メーカー・プラントロニクスの製品なだけに、作りはさすがのひと言。小さなボディには計4基(片側2基)のマイクを搭載、内蔵DSPの働きで周囲の雑音を拾いにくい設計だ。

ボイスレコーダーで声を録音/再生してみたところ、内蔵マイクでつねに聞こえていたキーンというノイズは霧消した。周囲の雑音も気になるレベルではない。「サウンド」コントロールパネル(ヘッドセットのプロパティ、「詳細」タブ)で確認したところ、録音時のデータ幅は8kHz/16bitとナローだが、人間の声の帯域(男性は100~150Hz程度)に絞り集音しているのか、とても聞き取りやすい。

装着状況を検知し自動的にBluetoothのリンクをON/OFFする「Smart Sensor」にも対応するから、ちょっと離席するときに便利。ハウリング防止機能(アコースティックエコーキャンセル)も、マイクに不慣れな人には歓迎されるはず。学校が本格的に再開し娘が使わなくなったら自分が仕事で使おう、そう目論む人にはいいチョイスだと思う。

  • ステレオ音声も伝送できるA2DPプロファイルが適用されるため、再生デバイスに「Stereo」を選択したほうが音はいい