日本マイクロソフトは5月8日、「Surface Go 2」「Surface Book 3」「Surface Headphones 2」「Surface Earbuds」「Surface ドック 2」「Microsoft USB-C トラベル ハブ」に関するオンライン説明会を開催した。
2012年10月リリースのSurface RTから現行モデルまで振り返りつつ、「利用されるお客様の生産性向上を起点に(Surfaceシリーズを)展開してきた。目的を達成するためにテクノロジーやハードウェアが風景に溶け込み、流れるように使えることに注力している」(日本マイクロソフト Surfaceビジネス本部 本部長 小黒信介氏)とする。
本体サイズを変えずに画面が大きくなったSurface Go 2
2020年5月12日から販売を開始するSurface Go 2は、前モデルであるSurface Goと同じシャーシを使いつつ、ディスプレイサイズを10インチから10.5インチに拡大している。ベゼルは約22%縮小し、画面解像度が1,800×1,200ピクセルから1,920×1,280ピクセルと広がったのも注目ポイントの1つだ。
Surface Goシリーズは基本的にはタブレットだが、本体下部のCoverポートへSurface Go Type Cover(キーボード)を装着するのがスタンダード。クラムシェルスタイルのときはSurface Go Type Coverを1段階折り込む形で使用するが、今回、画面サイズを10.5インチに拡大しても「ディスプレイの下部分が隠れないギリギリのサイズ」(日本マイクロソフト コンシューマー&デバイス事業本部 業務執行役員 本部長 水田琢也氏)を保っている。
なお、Surface Go Type Coverは新たに2色(ポピーレッド、アイスブルー)を追加。従来のSurface Go Type Coverも使用できる。
個人的に関心を持ったのは、Intel Core m3-8100Yモデルをラインナップに加えている点だ。筆者は初代Surface Go、次にSurface Go LTE Advancedを使ってきた。重さが約522g(LTE Advancedは532g)のサイズ感に不満はないが、CPUのIntel Pentium Gold 4415Yはそれほどパワフルではない。それまではSurface Pro(2017年モデル)を使っていたので、どうしても遅く感じてしまう。日本マイクロソフトによれば、「従来と比較して処理速度は最大64%高速」(小黒氏)とのことだ。
Surface Go 2はIntel Pentium Gold 4425Yも選択できるが、購入を考えるなら事前に実機を試すことをおすすめしたい。なお、Surface Go 2の重さは通常モデルが約544g、LTE Advancedモデルが約533g。また、ストレージ64GBモデルはeMMC、128GBモデルはSSDという仕様も継承している点も覚えておきたい。
スペックからは見えにくい特徴として、2019年10月にリリースした「Surface Pro 7」「Surface Laptop 3」と同じDual far-fieldスタジオマイクを搭載。日本マイクロソフトの担当者はSurface Laptop 3を使って今回の説明会に参加していたが、クリアな音質で聞きやすかった。新型コロナウイルスの影響でリモート会議の機会が増えている状況を踏まえると、マイクの強化は注目ポイントに数えてもいいだろう。
32GBメモリモデルも選択可能になったSurface Book 3
2020年6月5日から販売を開始するSurface Book 3は、前モデルと同様に13.5インチと15インチモデルで展開する。基本的なスペックは前モデルを踏襲しているが、CPUやGPUを最新版に置き換えることで、処理速度は50%向上した(15インチモデルは30%)。
ディスクリートGPUも、NVIDIA Quadro RTX 3000やGeForce GTX 1650/1660 Tiが選べる。13.5インチモデルはグラフィック性能を40%も向上させた。バッテリー駆動時間は前モデルの最大17時間から、13.5インチモデルで最大15.5時間、15インチモデルで最大17.5時間と変更が加わっている。
筆者はこれまで携帯性を重視し、Surface ProやSurface Goに注目してきたが、外出に対する意識を変えざるを得ない今後を考えると、パワフルなノートPCは選択肢の1つ。Surface Book 3は上位モデルで32GBのメモリ容量を選択できる。従来のSurface Book 2は搭載メモリが最大16GBだったので、GPUのNVIDIA Quadro RTX 3000と合わせて、ヘビーな作業をこなすモバイルワークステーションとしての性格もより出てきた。
また、2020年4月14日から日本でも提供を開始した「Xbox Game Pass」(サブスクリプション型ゲーム提供サービス)に触れつつ、昨今の状況下で子どもと一緒にゲームを楽しむ時間が増えている家庭に向けても、Surface Book 3をアピールした。
aptXに対応した「Surface Headphones 2」と、完全ワイヤレスイヤホン「Surface earbuds」
2020年6月5日から順次出荷を開始するSurface Headphones 2は、前モデルと比較して、aptXコーデックをサポートしたのが最大のポイントとなる。高音質なBluetoothオーディオを実現するaptXは、デコーダー側にライセンス使用料が発生するため、安価なBluetoothヘッドホンが対応していないケースは少なくない。
今回はオンライン説明会だったので使用感などをお伝えできないが、機会があればご報告したい。なお、その他の変更点として、バッテリー駆動時間が15時間から20時間に延長、イヤーカップの回転範囲が90度から180度に拡大といった点が挙げられる。配色もブラックモデルを追加した。
2020年5月12日から順次出荷を開始するSurface Earbudsは、作業や音楽に集中するヘッドホンやイヤホンとは異なり、Face to Faceの会話を前提に開発しているため、ノイズキャンセリング機能は持たない。日本マイクロソフトは「電話応答や周りの音を聞くシチュエーションを踏まえ、その都度イヤホンを外すのではなく、付けたまま会話することをコンセプトにした」(水田氏)と説明する。
ただ、長時間イヤホンを装着していると耳が痛くなることも。その点への配慮について尋ねたところ、「装着時の違和感や疲労を回避するため、3種類のシリコンイヤーを用意した。(耳の形に合わせて変更すれば)フィット感が高まる。少なくとも既存の類似製品と比べて違和感は軽減されている」(水田氏)と語った。Surface Headphones 2と同じく、外部から再生曲の操作や電話応答といった操作も可能だ。aptXコーデックもサポートしている。
日本マイクロソフトは、今回のSurface新製品を紹介するYouTubeのライブストリーミングイベントを、2020年5月11日13時から開催する予定だ。30分ほどの情報発信を予定している。誰でも参加できるので、当日「ExpertZone Japan」にアクセスしてほしい。
阿久津良和(Cactus)