Bluetooth SIGは3月27日、「2020 Market Update」を発表。この日本語翻訳版が4月15日に公開されたが、この公開に合わせてBluetooth SIGのChuck Sabin氏より電話会議の形でこの市場予測の内容に関する説明があったので、これをまとめてご紹介したい。
Bluetooth SIGのMarket Updateは毎年更新されており、2019年は5月18日に発表されたので、昨年より2か月ほど前倒しのリリースである。Bluetooth SIG自身は順調に会員数を増やしており(Photo02)、また地域別という意味でも北米/APAC/EMEAが割と均等になっている(Photo03)。
さて、そのBluetooth機器であるが、2019年から2024年には平均8%の成長率が望めるとしている(Photo04)。このグラフ、棒グラフはBluetooth搭載機器の出荷数だが、折れ線の方はここから電話やPC、タブレットなどを抜いた、純粋にBluetooth機器の出荷数である。
2015年には33%、つまりまだBluetooth機器よりもPCとかスマートフォンなどBluetooth搭載のホストの方が多かったのが、直近の2019年だと半分を超え、2024年には66%に達する予定とされる。この原動力というか、伸びる用途は以下の4つであるとする(Photo05)。
まずはAudio。こちらは1月に発表されたLE Audioが牽引役になるとSIGでは考えており、実際2024年にはLE Single Modeに対応した機器が全体の35%を占めると想定しているという(Photo07)。
Bluetooth LE Audioは単にBLEに対応して省電力での通信が可能になるのみならず、新しいLC3(Low Complexity Communication Codec)を搭載したことで、音質改善も可能になったとされている。
もちろん、このBluetooth LE Audioは従来のBluetooth Audioと互換性が無いため、当面Wireless HeadphoneなどはBluetooth AudioとBluetooth LE Audioの両対応のものが増えるだろうが、その一方でBluetooth LE Audio専用の製品も今後は伸びる、と想定しているそうだ。ちなみに補聴器向けについては現在仕様策定を行っている最中という話であった。
2つ目がData Transfer(Photo08)。
こちらもまぁ順調に伸びてゆくとしており、SIGの推定では
- 現在IoTデバイスの38%がBluetoothを搭載しており、これはIoT向けNetworkとして最大のシェア
- 4億1100万台のBluetooth搭載Wearable Deviceと1億2000万台のBluetooth搭載玩具が出荷される他、従来のカテゴリーに属さない、新しいBluetooth搭載Connected Endpointも8300万台出荷される予定
とされる。こちらについては、LE 2M PHYとLE Codec PHYの新たな策定で、通信速度が最大2倍/到達距離最大4倍/Broadcastできるデータ量が最大8倍に拡張されたとしている。
3つ目がLocatoon Serviceである(Photo09)。
こちらは引き続き年率32%という高いレートで成長しているとしており、2024年には2019年比で4倍、5億3800万台のLocation Service対応デバイスが出荷されるほか、その2024年までに
- 100万台のリアルタイム位置情報システムが実装
- 18億台のハンドセットも位置情報システムに対応
- 年間1億3000万台のパーソナルタグと資産トラッキングデバイスが出荷される
と見込んでいるとする。
最後がDevice Networks(Photo10)で、2024年までに年間で8億9200万台と9億台ちかい出荷数が見込まれている。
SIGによれば、2024年までに中国でスマートスピーカーが2.5倍、スマートライティングやAutomation Deviceが3倍になると見込まれており、またBluetoothを利用した職場管理ソリューションを現在試用あるいは採用している例が60%にも及ぶとされている。この中国での広範な利用が原動力になっているようだ。
こうしたトレンドを紹介しつつ、改めて2024年には62億台のデバイスが出荷されるというPhoto04の数字を繰り返して、Sabin氏の説明は終わった。