Bluetooth SIGは3月27日、「2020 Market Update」を発表。この日本語翻訳版が4月15日に公開されたが、この公開に合わせてBluetooth SIGのChuck Sabin氏より電話会議の形でこの市場予測の内容に関する説明があったので、これをまとめてご紹介したい。

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    Photo01:Bluetooth SIGのSenior Director, Market DevelopmentのChuck Sabin氏

Bluetooth SIGのMarket Updateは毎年更新されており、2019年は5月18日に発表されたので、昨年より2か月ほど前倒しのリリースである。Bluetooth SIG自身は順調に会員数を増やしており(Photo02)、また地域別という意味でも北米/APAC/EMEAが割と均等になっている(Photo03)。

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    Phtoo02:2018年から1年で1000社以上も増えている。もっともBluetooth SIGの結成は1998年だから、均すと毎年1600社以上増える計算になる訳で、そう考えるとやや成長は鈍化しているともいえる(もっともここまで会員数が増えたら鈍化して当然だが)

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    Photo03:APACが最大というのは、それこそBluetoothを使った機器(ヘッドホンとかマイクとか)を製造するメーカーがAPACに多いから、当然といえば当然ではある

さて、そのBluetooth機器であるが、2019年から2024年には平均8%の成長率が望めるとしている(Photo04)。このグラフ、棒グラフはBluetooth搭載機器の出荷数だが、折れ線の方はここから電話やPC、タブレットなどを抜いた、純粋にBluetooth機器の出荷数である。

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    Photo04:2020年以降のデータはABI Researchによる推定

2015年には33%、つまりまだBluetooth機器よりもPCとかスマートフォンなどBluetooth搭載のホストの方が多かったのが、直近の2019年だと半分を超え、2024年には66%に達する予定とされる。この原動力というか、伸びる用途は以下の4つであるとする(Photo05)。

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    Photo05:SolutionsとMarketsの間に直接の関係はない。例えばLocation Servicesは、8つのマーケットのほぼすべてで使われる可能性が高い

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    Photo06:2023年と2024年が同じ出荷量に見えるが、2023年が15億台、2024年は15.4億台とされる。ちなみに折れ線は2019年の推定値。全体的に1~2億台ほど上乗せされた

まずはAudio。こちらは1月に発表されたLE Audioが牽引役になるとSIGでは考えており、実際2024年にはLE Single Modeに対応した機器が全体の35%を占めると想定しているという(Photo07)。

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    Photo07:こちらはMarket Updateより。もともとBLEがAudioを未サポートだったため、どうしてもBluetoothヘッドホンなどでは消費電力が大きくなる傾向があり、これの改善が求められていた

Bluetooth LE Audioは単にBLEに対応して省電力での通信が可能になるのみならず、新しいLC3(Low Complexity Communication Codec)を搭載したことで、音質改善も可能になったとされている。

もちろん、このBluetooth LE Audioは従来のBluetooth Audioと互換性が無いため、当面Wireless HeadphoneなどはBluetooth AudioとBluetooth LE Audioの両対応のものが増えるだろうが、その一方でBluetooth LE Audio専用の製品も今後は伸びる、と想定しているそうだ。ちなみに補聴器向けについては現在仕様策定を行っている最中という話であった。

2つ目がData Transfer(Photo08)。

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    Photo08:スマートフォンとスマートウォッチの組み合わせでは、双方向の煩雑なデータのやり取りが発生するわけで、これがData Transferに分類される形

こちらもまぁ順調に伸びてゆくとしており、SIGの推定では

  • 現在IoTデバイスの38%がBluetoothを搭載しており、これはIoT向けNetworkとして最大のシェア
  • 4億1100万台のBluetooth搭載Wearable Deviceと1億2000万台のBluetooth搭載玩具が出荷される他、従来のカテゴリーに属さない、新しいBluetooth搭載Connected Endpointも8300万台出荷される予定

とされる。こちらについては、LE 2M PHYとLE Codec PHYの新たな策定で、通信速度が最大2倍/到達距離最大4倍/Broadcastできるデータ量が最大8倍に拡張されたとしている。

3つ目がLocatoon Serviceである(Photo09)。

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    Photo09:これについては、そもそもLocation Serviceの発表は2019年ながら、これの元になったBLE BeaconはBluetooth 5.0と併せて2016年末に発表された、ある意味熟成の進んだ技術であり、これもあってか予測値が昨年と今年でほとんど変化がない

こちらは引き続き年率32%という高いレートで成長しているとしており、2024年には2019年比で4倍、5億3800万台のLocation Service対応デバイスが出荷されるほか、その2024年までに

  • 100万台のリアルタイム位置情報システムが実装
  • 18億台のハンドセットも位置情報システムに対応
  • 年間1億3000万台のパーソナルタグと資産トラッキングデバイスが出荷される

と見込んでいるとする。

最後がDevice Networks(Photo10)で、2024年までに年間で8億9200万台と9億台ちかい出荷数が見込まれている。

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    Photo10:こちらは昨年予測から大きく変化しており、2024年までの平均成長率も26%に達している

SIGによれば、2024年までに中国でスマートスピーカーが2.5倍、スマートライティングやAutomation Deviceが3倍になると見込まれており、またBluetoothを利用した職場管理ソリューションを現在試用あるいは採用している例が60%にも及ぶとされている。この中国での広範な利用が原動力になっているようだ。

こうしたトレンドを紹介しつつ、改めて2024年には62億台のデバイスが出荷されるというPhoto04の数字を繰り返して、Sabin氏の説明は終わった。