プロジェクター、Bluetoothスピーカー、LEDシーリングライトの3つが1台に集約された「popIn Aladdin」のメーカーであるpopInが、6月21日に事業報告会を実施。popIn Aladdinの販売が累計2万台に達したこと、新サービスを始めることなどを発表しました。

  • popIn Aladdinが累計2万台の販売を達成。写真はpopInの程涛(テイトウ)社長

予想外? リビングへの導入が多かった

popInの程涛社長によれば、popIn Aladdinがクラウドファンディング向けに初めて出荷したのは2018年9月21日のこと。同年11月1日から一般販売も始め、2019年6月までに販売台数は累計2万台に。

popIn Aladdinはインターネット接続機能を持っていて、NetflixやYouTubeといったエンタメ系をはじめとして多くのアプリを本体に内蔵しています。そのうち、ユーザーが写真データをアップロードして使う「フォトメモリー」機能には全体で72万枚の写真が集まり、自分で描いた絵を時計にする「きせかえ時計」は1.4万個がアップロードされているそうです。

程社長がpopIn Aladdinを開発したきっかけは、自分の幼い子どもたちの世界観と好奇心を広げてあげたいとの思い。照明一体型のプロジェクターなら、寝室の壁を利用してテレビとは異なる映像表現が可能ではないか…。そのアイデアはクラウドファンディングサイトのMakuakeで多くの支持を集め、当時、Makuakeの支援金ランキングで2位となる74,882,200円を集めました。

  • 開発のきっかけは小さな子どもたちの世界観を豊かにしたいという思い

「2018年末までに1万台の販売台数を達成し、全体で3万台といわれるホームプロジェクター市場で25%のシェアを獲得」と話すのは、販促の責任者を務めるローレンスたけし氏。popIn Aladdinは既存のプロジェクターとは棲み分けられ、市場を純粋に拡大して4万台の市場にしたという計算です。

popInの調査によれば、popIn Aladdinの購入者層はファミリー世帯が49%、シングル・カップル・ディンクスなど子どものいない世帯が51%とのこと。

この結果について、ローレンス氏は「誰にでも世界観が広げられると多くのユーザーに認めてもらえたから」と述べます。テレビ離れといわれている若者にしても、映像にまったく興味がないのではなく、大型テレビを購入する余裕がなかったり、設置場所の確保が難しかったり、見たいコンテンツが地上波よりネットのほうが多かったりするわけです。こうしたユーザー層にとって、popIn Aladdinは魅力的に映ったのではないでしょうか。

また、popIn Aladdinの設置場所は、寝室が47%、リビングが53%とのこと。リビングにはすでにテレビがあるはずだからと、メインターゲットは「ファミリーの寝室」としていました。popIn Aladdinの明るさは700ルーメンと、プロジェクターとしてはそれほど明るくないのもこのためです(ホームプロジェクターは3,000ルーメンクラスの製品が多い)。

しかし、ユーザーの過半数がリビングに設置しています。壁との距離が確保できれば最大120インチで映し出せることもあり、大画面をリビングで見たいと考える人が想像以上に多かったと分析しています。

  • 「寝室向けに開発したのに、リビングでのほうが使われていた」(シニアセールスマネージャーのローレンスたけし氏)

2019年の2月、popIn Aladdinは楽天のお買い物マラソンに登場し、872台を販売、楽天総合ランキングで1位を獲得しました。楽天の営業担当が「2時間でこんなに売れた家電は過去に例がない」と驚いたという話も披露し、最後に2019年の販売目標を3万台と述べました。6月までに1万台を販売しているので、残り2万台ということになります。

無料のAladdin ID登録と、ハイクオリティな有料サービス

程社長にバトンを戻し、popIn Aladdinの新サービスが紹介されました。まずは、既存のユーザーが登録することで、4つの特典が得られる無料のAladdin IDです。

4つの特典は、「1. 毎週5組10名様 映画チケット当選」「2. イベント招待」「3. 小児科オンラインの月額3,980円で利用し放題」「4. KIDS LINEのクーポン1,000円墳を毎月配布」という内容。

小児科オンラインもKIDS LINEも、popIn Aladdinのメニューから利用できる提携サービスです。小児科オンラインは、LINE、電話、Skypeなどを使って、医師にリアルタイムで相談できるもの。KIDS LINEは、ベビーシッターマッチングサービスです。「2.」のイベント招待は、popInが仕掛けるユーザーイベントで、popIn Aladdinをハックするイベントなどを今後展開していく予定とのこと。

  • 無料で登録できるAladdin IDを21日からスタート

Aladdin IDの登録に必要なのはメールアドレスとパスワードのみ。有料サービスを利用する場合はクレジットカードの登録も行えます。リモコンだけで操作可能です。

  • Aladdin IDの登録画面

さらに有料サービスも登場し、よりクオリティの高いコンテンツを提供していくとしています。

たとえば、無料で利用できる「美風景」の中に、月額120円で「世界の風景」や「動く浮世絵」が追加されます。世界の風景は、カッパドキアの気球ツアー、カタールのドーハの川辺、モロッコの猫のいる街路……といった、癒やされそうな風景が毎月増えていくもの。動く浮世絵は、浮世絵の一部にアニメーション加工を施したもので、中には迫力のある竜の絵なども。

  • 有料コンテンツの1つを紹介。雪がしんしんと舞い降り、川がせせらぐアニメーションになっています

プロのナレーションが読み上げる「世界の絵本」も、標準で見られる3冊から、月額360円で毎月新作が追加されるようになります。ユーザーの間では新作の追加が待ち望まれていた機能の1つで、小さな子どもたちへの読み聞かせの幅が広がりそうです。

  • 海外のビジュアルと感性に触れられる「世界の絵本」

新たにナショナルジオグラフィックとも提携し、今後は同社の持つ動物や自然の写真を「等身大動物図鑑」に活用していきたいとのこと。さらに動画配信サービスでは、U-NEXTとも提携することになり、現在はpopIn Aladdin向けの専用UIを開発中だそうです。

最後に実際のユーザーを招いたトークセッションが用意されました。

イラストレーターのやまもとりえさんは、幼い男兄弟の母で、InstagramでpopIn Aladdinを紹介。導入時は「うちが映画館になった」と、子どもたちのテンションがすごかったと話しました。

不動産事業を営むコスモスイニシアの田中一如さんは、かつてCEATEC JAPANでpopIn Aladdinが展示されているのを見てからのファン。popIn Aladdinの宣伝撮影用モデルルームをpopInに紹介したことをきっかけに、ビジネスでもつながりました。現在はpopInと協力し、ホテルへのpopIn Aladdin導入を進めており、すでに11カ所のホテルに導入済み。特に、外国人観光客が宿泊するダイニング付きの部屋に設置したところは、大変喜ばれているそうです。

  • トークセッションの様子。左から、イラストレーターのやまもとりえさん、コスモスニシアの田中一如さん、程社長、司会兼モデレーターを務めたpopInの宮武礼奈さん

  • 事業報告会後の懇親会ではpopIn Aladdinのロゴをあしらった寿司やミニバーガーなども登場。景気がよさそうでうらやましいですね