「LAVIE Zにも」「載せたかった」「ガラス天板!」

LAVIE VEGAのデザインにおいて大きな特徴となっている「プレミアムミラーガラス天板」も、実は中井氏がLAVIE Z開発当時から「ずっとやりたいと思っていた」アイデアだ。ただ、モバイルノートPCに搭載するには「ただ、やっぱり、どうしても重くなってしまう」ことから、モバイルノートPCでの採用はあきらめていた。しかし、軽量化の優先度がそれほど高くない15.6型ノートならば許容範囲と考え採用に踏み切った。「LAVIE VEGAのガラスなしモデルと比べると100グラム重くなります」(中井氏)

  • LAVIE VEGAの天板は、まさに「鏡」のように美しく光を反射する

ちょうど、LAVIE VEGAの開発が始まったタイミングで、米沢にある先行技術開発部署「ニューテクノロジーイノベーション」(以下、NTI)が、ガラス天板を用いたノートPCの試作機を開発した。量産にも耐えられるとの報告を受けて、LAVIE VEGAでの採用を決断したと中井氏は説明する。ただ、量産試作機から量産機に進む過程でも苦労があったと中井氏は振り返る。LAVIE VEGAのデザインでは高級感を出すために天板を鏡面にすることにしていた。しかし、NTIの量産試作はアルミ合金の天板をガラスで覆うだけで、LAVIE VEGAの天板にガラスをかぶせると見た目のボディカラーが変わってしまう問題や、鏡面がくすんでしまう問題が発生した。これは、ボディ表面の鏡面仕上げのために複数のコート層を構成していたためで、コート層の色合いや重ねる順番変える試行錯誤を2か月間重ねて解決したという。また、量産試作では天板の周囲に強度を確保するラバー製の枠を設けていたが、量産機では枠を廃している。こちらも、強度評価を繰り返すことで枠がなくても強度が確保できることが判明したおかげだ。

  • 左が製品版、右が試作段階のガラス天板。試作の時点ではガラスにくすみがあったり、天板周囲に保護ラバーの枠があったり、並べて比べてみると違いがよくわかる

天板にガラス素材を採用したノートPCは他にも例がある。以前、そのモデルを「触ったこと」があるが、ただでさえ脂っぽい手で天板に触れると指の跡が付きまくって大変だった記憶ある。しかし、(実はこのインタビューに先立ってLAVIE VEGAの実機をレビューしていたのだが)LAVIE VEGAは1週間ほどの評価期間において通常のノートPCと同様に扱っていた(なので、天板も躊躇なく触れていた)ものの、思いのほか、指の跡が気にならなかった。LAVIE VEGAの天板は明らかに指の跡が目立ちにくく、かつ、きれいにふき取りやすい。これについて中井氏は、アンチフィンガープリントコーティングが貢献していると述べている。

打ちやすいキーボードはThinkPadの影響か?

NECPCはキーボードについて「本体の中心とキーボードの中心が一致して打ちやすい」と訴求する。15.6型ノートによくあるテンキーを廃したことと、キーボード左側にショートカットキー登録用の「プロキー」を設けたことで、キーボードのホームポジションが本体の中央と一致したことがその理由とされている。ちなみに、中井氏によると、製品企画においてプロキーの搭載が先に決まっており(その理由はゲーミングPCに搭載しているマクロキーというのがゲーマーの中井氏らしい)、その結果として、キーボードが本体中央に収まったという。

  • LAVIE VEGAのキーボードはホームポジションが本体の中央と一致している

そのキーボードでNECPCが訴求していない、しかし、1週間ほど使ってみて意外かつ最も評価が高かったのが「キーボードの打ちやすさ」だった。タイプに必要な力加減にキートップを押し切ったときに指の力を受け止めてくれる感触といった、「タイプのフィーリング」が非常に心地よく、それこそ、私が長年常用してきたThinkPadに匹敵するほどのいい出来だった。で、ここで、「ん? ThinkPad」となる。そういえばNECPCはレノボの仲間になったんだっけ。ということは、LAVIE VEGAのキーボードはThinkPadのキーボードを使っているのだろうか。

この問いに対して、中井氏は「技術的な情報共有はありますが、LAVIE VEGAのキーボードはNECPCで新規に開発したユニットです」と答えている。キーストローク1.7ミリは従来のLAVIE NEXTと同等だが、ボディの厚さは17.9ミリと薄くなっている。この状況でキーストロークを確保できた理由として、中井氏は「それこそ有機ELをはじめとする採用パーツの薄型化が大きく貢献しています」と説明する。なお、LAVIE VEGAと同等のフィーリングを持つキーボードユニットをほかのモデルに展開する可能性については、全てのモデルでキーボードは新規に開発しているのと、開発コストがモデルによって異なるのでどこまで展開できるかは明らかにできないとしている。