TEVIの音を聴いてみる

肝心のサウンドは、手持ちのiPhone 7とXperia XZ1 Compact、ウォークマン「NW-A100TPS」に接続してチェック。Amazon Music HDからCD相当のHD音源や、ハイレゾ相当のUltra HD音源をいくつか聞いてみた。

イーグルス「ホテルカリフォルニア」を再生すると、最初のギターの弦が弾かれる細かな音や、幻想的でどことなく哀愁を帯びたボーカル、量感のあるベースやドラムといった音がきちんと描写される。TEVIよりも低価格な完全ワイヤレスではぼやけがちな細部の音が、意識を集中すると埋もれずに聴きとれて衝撃を受けた。もっと高価格帯の完全ワイヤレスとも渡り合える音質だと思う。

コーネリアス「Fit Song」はギターやボーカル、ドラムの音像が前後左右にひんぱんに移動する不思議な楽曲で、音の広がり感をチェックするのに向いている。TEVIで聞いてみると、ズシッと響くドラムの低音やときおり挿入される甲高い電子音のきらめき感は好印象だが、前後の広がりに乏しいので奥行き感はいまひとつ。とはいえ、音が全然安っぽくならないので、いつまでも飽きずに聞いていられる。

  • LYPERTEK TEVI

    TEVIをウォークマンNW-A100と組み合わせて聞くのが一番気に入った

個人的にはやはり、スマホよりもウォークマンNW-A100にaptXコーデックでつないで聞くのが一番音が良く感じられ、「これでホントに1万円なの?」と素直にビックリした。Maroon 5の「ムーブス・ライク・ジャガー(ライヴ・イン・マンチェスター2015)」を再生すると、ライブ会場の観客とアーティストの一体感を広い音場で再現してくれ、疾走感あふれるブラスサウンドとTRUEの澄んだ歌声が絡み合う「Blast!」(『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』主題歌)では、紡がれるメロディーのおいしいところをギュッと詰め込んで耳の奥まで届けてくれた。

ハイレゾイヤホンなどで採用されるグラフェン素材のドライバーを搭載しているおかげで、細かな音にもバチッとフォーカスの合ったクリアなサウンドが楽しめる。低音も量感がありながら引き締まっていて、下品な響き方にはならない。購入した直後は大人しく味気ない音で「もしかして買ったのは失敗だったか?」と焦ったが、しばらく鳴らしているうちにイイ感じに鳴ってくれるようになって満足。ロックやポップス、アニソンなどを楽しく聴いている。

上を見ればさらに上質な音を奏でるハイエンドモデルがめじろ押し……というのは「オーディオあるある」だが、価格と性能のバランスがとれていてコストパフォーマンスに優れたモノが手に入れば十分、という考え方はもちろんアリだ。TEVIは、昨今の完全ワイヤレスイヤホン界隈でトレンドになりつつあるノイズキャンセリング機能は備えておらず、見た目にも派手さはないが、とにかく音の響きが気持ちいい製品なので一度はぜひ実物を聴いてみてほしい。そして、「手ごろな価格でいい音の完全ワイヤレスが欲しい」という人にはTEVIをぜひオススメしたい。