半導体市場動向調査会社の仏Yole Développementは、主にスマートフォン(スマホ)の背面カメラとして活用されている3Dイメージングおよびセンシングの調査レポート「3D Imaging and Sensing 2020」を発行し、韓Samsung Electronicsの旗艦スマホに搭載されたソニー製背面3Dイメージングおよびセンシングモジュールの分解写真の公開などを行った。

年率20%で成長する注目市場

Yoleの予測によれば、2019年の3Dイメージングおよびセンシング市場は50億ドルだが、2025年までに年平均成長率20%で成長を遂げて150億ドル規模に成長することが見込まれている。

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    3Dセンシング&イメージング市場規模と用途内訳 (2019年と2025年の比較) (出所:Yole Développement「3D Sensing & Imaging 2020」)

3Dイメージングおよびセンサの主たる用途は今後もスマホながら、インテリジェントドライビング、ロボット、スマートホーム、スマートテレビ、スマートセキュリティ、VR/AR、医用、軍事など、幅広いアプリケーションでの採用が期待されるためで、中でも車載用途は2025年には2019年の4倍以上にまで規模が拡大するとYoleでは予測している。

スマホにおける前面および背面の3Dカメラ普及率はそれぞれ10%前後であるが、2025年には、従来予想に反して前面の普及率が25%程度にとどまるのに対し、背面の普及率が45%と大きく伸びるとYoleでは予想している。

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    スマホにおける3Dカメラの普及率の推移と今後の予測(2015年~2025年)。前面3Dカメラおよび背面3Dカメラの2018年および2019年時点での普及率予測と全3Dカメラの2019年時点での普及率予測 (出所:Yole Développement)

スマホでの3Dカメラ普及は2016年から

Appleは2017年9月発売のiPhone Xより3Dイメージング&センシング機能を装備したが、Androidスマホ各社は、iPhoneに採用された構造化ライト(Structured Light)の代わりにToF(Time-of-Flight)カメラを背面に配置するアプローチを採用した。

YoleのPhotonics、Sensing&Display部門のテクノロジー&マーケットアナリストであるRichard Liu氏は「構造化ライトと比較してもBSI技術のおかげでToFモジュールはそれほど複雑ではなくなった。さらには、成熟したエコシステムによりコスト面でも有利になってきた。これが、ToFカメラがAndroid端末各社の支持を獲得した主な理由である」と述べている。Appleも2020年秋に発売するであろうiPhoneの新モデルの背面にToFカメラを搭載するという噂も流れている。

ToFアレイは、スマホの背面3Dセンシングにとっての重要なコンポーネントである。ToFカメラ技術は、2016年にLenovoのスマホ「PHAB2 Pro」にpmdtechnologies/Infineon Technologiesのものが適用されたことが普及のきっかけになったが、その前の2015年にソニーは有名なDepthSense ToFセンシングシステムを開発してきたベルギーのジェスチャー認識開発企業SoftKineticを買収。この技術を武器に、3Dセンシングレシーバーチップの市場シェアをゼロから45%に引き上げることに成功しており、今後もその技術と供給能力により、引き続きToFでリーダー的地位を維持するものとYoleでは予想している。ただし、この分野は競争が激しく、pmd/Infineonのほか、中国勢も新規参入してきているため、今後のシェア争いは激化していくことが予想される。

Samsungの最新世代スマホの3Dセンシングモジュールの仕組み

近年、Androidスマホメーカー各社の旗艦モデルには、次々とToFモジュールを採用した3Dセンシング機能が装備されるようになってきている。Yoleによれば、ToFモジュールのサプライチェーンは、スマホメーカーとエミッターであるVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:垂直共振器面発光レーザー)、レシーバーであるToFチップ、そしてこれらとイメージセンサを集積した3Dセンシング&イメージングモジュールそれぞれのメーカーごとにしっかりとしたエコシステムが構築されているという。

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    主要スマホメーカーの最新モデルに見る3Dイメージング&センシングのサプライチェーン (出所:Yole Développement)

例えばSamsungが2019年にリリースしたGalaxy Note 10+の背面に搭載されている3Dセンシングモジュールは、ソニーセミコンダクタソリューションズの子会社となるベルギーSony Depth Sensing SolutionsのToFチップとTrumpfのVCSELを採用し、Samsung Electro-Mechanicsがカメラモジュールに仕上げているという。

Yoleのリバースエンジニアリング子会社StstemsPlus ConsultingによるGalaxy Note 10+を分解した画像によると、スマートフォン背面の光学ハブは、1つの金属製筐体パッケージに実装されており、複数のカメラと赤外線の投射装置を備えている。具体的には、メインカメラ、望遠カメラ、広角カメラのモジュールとToFカメラモジュールとのセットである。また、フレキシブル基板を用いた3Dの深さ検知モジュールは、Sony Depth Sensing Solutionsが開発したピクセルサイズ5μmの32.3万画素のVGA BSI ToFイメージセンサアレイと大手サプライヤによるVCSELが搭載され、底面にVCSELドライバと近赤外線(NIR)の投射装置を実装してコンパクトさを実現している。

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    SamsungのGalaxy Note 10+に搭載されているカメラモジュール。3種類のカメラモジュール(上)と3DセンシングToFカメラモジュール(下) (出所:SystemPlus Consulting)

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    ソニー製ToFカメラモジュール (出所:SystemPlus Consulting)

  • SamsungのGalaxy Note 10+に搭載されているソニーToF 3Dセンシングモジュールの断面写真。ソニーの第2世代CMOSイメージセンサとTrumpfのVCSEL、赤外線の投射装置を含む (出所:SystemPlus Consulting)

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