富士フイルムが、レンジファインダーカメラ風のデザインを採用したレンズ一体型デジカメの新製品「X100V」を発表しました。シリーズの第5世代となるモデルで、新しい撮像素子や画像処理エンジンの搭載で画質を高めたほか、新たに4K動画の撮影に対応。外観は、定評のあるデザインを継承しつつも、細かな凹凸を徹底的に排除して「面一」(ツライチ)に仕上げ、上品な印象を高めたのも見どころといえます。富士フイルムが「X100シリーズで最大のモデルチェンジ」と表現する自信作に仕上がっています。

価格はオープンで、予想実売価格は税別16万5000円前後の見込み。カラーはシルバーとブラックの2色をラインアップします。発売は、シルバーモデルが2月下旬、ブラックモデルが3月の予定です。

  • 5世代目になった富士フイルムの「X100V」。「X100シリーズで最大のモデルチェンジ」と表現する自信作に仕上がっている

待望の防塵防滴ボディーに一新

APS-C型の撮像素子と単焦点レンズを搭載したレンズ一体型モデル。2017年2月に発売した「X100F」の後継となるカメラでで、約3年ぶりのモデルチェンジとなります。

  • 基本的なデザインは従来モデルを継承するも、中身はAPS-Cミラーレスのフラッグシップモデル「X-Pro3」並みの内容に進化した

X100Vのおもな改良点は以下の通りです。

  • APS-Cミラーレス「X-Pro3」と同じ撮像素子と画像処理エンジン

  • シリーズ初の防塵防滴ボディー

  • 余計な出っ張りを排除してフラットに仕上げた美しい外装

  • シリーズ初のチルト液晶(タッチパネル式)

  • 背面の十字ボタンを廃止し、シンプルな操作系に

  • シリーズ初の4K/30pの動画撮影に対応、クロップなし

  • X-Pro3で人気のフィルムシミュレーション「クラシックネガ」を追加

画質を左右する撮像素子と画像処理エンジンは、ともにAPS-Cミラーレス「X-Pro3」と同じものを採用し、画質を高めました。レンズは、35mm判換算で35mm相当/F2となる単焦点レンズでスペックは従来モデルと同じですが、レンズ構成は従来から変わっており、描写性能の向上を図っています。特に、絞り開放で接写した際の表現力が高まったといいます。

  • 35mm判換算で35mm相当/F2となる単焦点レンズのスペックは従来と同じだが、末尾に「II」の表示があることから分かる通り、レンズ設計は一新された

  • レンズ構成がガラッと変わり、絞り開放での近接撮影時の解像感が高まった。NDフィルターが4段分に強化されたのは、ダイナミックレンジ拡大に備えてとのこと

  • 旧モデル「X100F」(右)との撮り比べ。中心部、周辺部ともに解像感の違いがうかがえる

注目なのが、シリーズで初めてボディーを防塵防滴構造にしたこと。防塵防滴は従来モデルのユーザーに熱望されていたので、ファン待望の改良といえます。ただ、レンズ部は防塵防滴構造ではないため、密閉性を確保するため別売のアダプターリングとフィルターを装着する必要はあります。このような制約はありますが、防塵防滴への対応で撮影シーンが広がるのはうれしいポイントといえます。

  • 条件付きながら、防塵防滴構造のボディーとなったのはうれしい

ボディは、基本的なデザインは従来モデルを継承しつつ、表面の余計な出っ張りをできる限り取り去ってフラットに仕上げたのが特徴です。パーツごとの段差がない“面一”になっており、美しさを感じさせます。細かい部分では、ホットシューのレールも削って段差をなくしたほどです。素材は、従来のマグネシウムからアルミに変更しつつ表面処理を工夫し、金属の質感をより強く感じられるようにしました。

  • トップカバーやボトムカバーは、従来のマグネシウムからアルミニウムに変わった。ホットシューのレールも面一になっていて美しい

背面液晶は、シリーズで初めてタッチ操作に対応したチルト式としました。パネル自体を薄型化して格納時に出っ張らないようにしており、一見すると固定式の液晶のように見えます。合わせて、背面はデジカメくささを感じさせる十字ボタンを廃止し、ジョイスティックとタッチパネル液晶による操作とし、背面をスッキリさせています。

  • 背面液晶は待望のチルト式に一新。液晶パネルは強度を確保しつつ、薄く仕上げられている

  • 液晶パネルを収納すると面一になり、可動式だとは思えないほど

  • ボトムカバーとも面一となっているため、パネルを起こすには左端の出っ張りに指を掛けるしかない。多少不便だが、格納時のデザインの美しさは上々

  • X-Pro3などと同様に、デジカメを象徴する存在だった十字ボタンを廃止し、シンプルなボタン配置とした

  • トップカバーは、エッジの研磨にまでこだわって質感を追求したという

操作まわりでは、上部のISOダイヤルの構造を改良。従来は、ダイヤルを上に引き上げながら回す必要がありましたが、X100Vではいったん引き上げれば回せる状態がキープされるようになったので、普通に回して感度が変えられるようになりました。

  • ISO感度ダイヤルは上に引っ張り続ける必要がなくなり、操作性が高まった

動画は、シリーズで初めて4K/30pの4K画質での撮影に対応しました。撮影時はクロップ処理がされないので、レンズの画角を生かした広角での撮影が楽しめます。フィルムシミュレーションは、昔のネガフィルムのような表現で撮影できる「クラシックネガ」を追加しています。

本体サイズはW128×H74.8×D53.3mm、重さは約478g(メモリーカード、バッテリー含む)。

富士フイルムの担当者が「いい絵が撮れそうだと思わせるカメラ」「撮る気にさせるカメラ」と表現する自信作に仕上がっているX100V、この春注目の1台ととなりそうです。2月27日から始まる「CP+2020」の富士フイルムブースで、実機をぜひ試してみてください。