NTTグループ(NTT、NTTデータ、NTTコムウェア、NTTコミュニケーションズ、米NTT、NTT東日本)は1月29日、学校での安心・安全を提供するスマートキャンパスソリューションの開発に向けた共同検討を、2月から田園調布雙葉学園と共同で開始すると発表した。なお、共同検討ではNTTグループが米国ラスベガス市において展開中の公共安全ソリューションに用いられている技術を日本で初めて導入するという。

近年、学校施設において児童・生徒が巻き込まれる犯罪が数多く発生する中、国や自治体による防犯活動に加えて、学校に対してもより充実した安全対策の実施要望が寄せられているほか、2020年度から始まる新しい学習指導要領などにより、教職員の勤務負担も増加するため教育現場の実態に合わせた効率的かつ効果的な安全対策に対するニーズも高まっているという。

NTTグループは、こうしたニーズに応えるため米国ラスベガス市で展開しているスマートシティソリューションで培った公共安全に関するシステム構築・アプリケーション開発ノウハウをベースとしたICTソリューションを活用し、田園調布雙葉学園をフィールドに学校独自の安全対策強化を実現するスマートキャンパスソリューションの開発を目指す。

今回の共同検討において、NTTグループは高解像度ビデオカメラ、音響センサ、IoTデバイスを活用し、田園調布雙葉学園校内における危険カ所の状況把握が可能なデータ収集基盤の構築により、児童・生徒に対して危険な事象の分析・予測を行い、学校安全対策の強化を図るソリューションの開発を検証する。

まずは、車両の往来を監視・把握するシステムを導入し、児童・生徒が道路を跨いで校舎間を移動する際の安全確保に向けた仕組みづくりを行い、その後は同システムの運用を通じて、広範な安全対策シーンの把握・対策検討に取り組み、AIや機械学習技術などの状況分析技術、5Gなどの最新ネットワーク技術を活用した新たなソリューションの創出を目指す。

  • ソリューションのイメージ

    ソリューションのイメージ

また、共同検討のデータ収集基盤はNTTの革新的なコグニティブ・ファウンデーション(クラウドやネットワークサービスに加え、ユーザのICTリソースを含めた構築・設定および管理・運用を一元的に実施できる仕組み)のアーキテクチャに基づいて構築されており、デバイスやネットワーク、クラウドに至るまで、ICTリソースの遠隔作成、管理、運用を可能にするという。

これにより、学校施設内での安全対策シーンの抽出、ICT技術を用いたソリューションの創出、システム構築・運用面での技術的課題の洗い出し、汎用的なキャンパスソリューションとしての実現性検証などを予定している。

各社の役割としては、NTTが全体統括、グループ企業間調整、NTTデータが共同検討企画、環境構築、ソリューション提供とラスベガス市でのスマートシティソリューション展開支援、技術支援、NTTコムウェアがマルチオーケストレータ提供、技術支援、NTTコミュニケーションズがクラウド環境提供、マルチオーケストレータ導入支援、米NTTがラスベガス市でのスマートシティソリューション展開支援、技術支援、NTT東日本がアクセス回線提供およびネットワーク関連技術支援、田園調布雙葉学園が共同検討企画支援(課題・ニーズの提供)をそれぞれ担う。

今後、NTTグループでは田園調布雙葉学園との共同検討を通じて開発する新たなスマートキャンパスソリューションの商用提供を2020年夏に目指している。