アップルのiPadが「一人勝ち」といえるほど売れています。液晶が10.2インチに大型化した最新iPad(第7世代)の評価が高いことがヒットの要因になっていますが、Windows 7のサポート終了や米中貿易摩擦、量販店での特価販売などの追い風が吹いたことで、タブレット市場で7割ものシェアを得るほどになった――。調査会社のBCNが、このような興味深い調査データを発表しました。

  • 第7世代となったiPad。シリーズのエントリーモデルながら、Smart KeyboardやApple Pencilに対応する実力派だ

この1年でiPadのシェアは30ポイントも増加

BCNが調査したタブレットのメーカー別販売シェアによると、2019年はアップルが右肩上がりでシェアを高めたのが分かります。2019年1月には43.4%のシェアでしたが、2019年12月は71.9%もの圧倒的なシェアになり、この1年で約30ポイントも増やしたことになります。

  • 2019年のタブレットのメーカー別販売シェアのグラフ。iPadを擁するアップル(灰色)のグラフが右肩上がりで伸びているのが分かる

iPad躍進の要因となっているのが、もっともスタンダードなエントリーモデルの評価の高さ。2018年3月に登場した第6世代のiPadは、スタンダードなiPadでは初めてApple Pencil(第1世代)に対応し、チップをA10 Fusionに置き換えるなどの強化を図ったにもかかわらず、価格を税別3万7800円に抑えた点が評価され、個人ユースからビジネスユースまで幅広くヒットしました。

さらにiPad人気を加速する要因になったのが、2019年9月末に販売が始まった最新のiPad(第7世代)です。9.7型だった液晶パネルを、第7世代ではひとまわり大きい10.2型に大型化。さらに、スタンダードなiPadでは初めてSmart Connectorを搭載し、別売のカバー兼キーボード「Smart Keyboard」が使えるようになりました。

このような装備の充実を図ったにもかかわらず、価格は従来モデルより3,000円安い税別3万4800円に引き下げられています。税込みでも3万円台で買えるのはインパクトが大きかったようで、販売が本格的に始まった2019年10月は消費税が10%に上がった悪いタイミングだったにもかかわらず、シェアを大きく伸ばしています。

BCNの担当者は、iPadがシェアを高めた背景には、米中貿易摩擦の影響でファーウェイ製品のシェアが低下したことや、Windows 7のサポート終了を受けてiPadへの移行が増えたこともあると指摘しています。インターネットやメールなどの軽い用途でパソコンを使ってきて、「Windows 7パソコンを卒業したいが、最新パソコンは高い」と考えるライトユーザー層を中心に、今後もiPadへの移行が進んでいくでしょう。

ちなみに、2018~2019年の販売台数指数のグラフを見ると、2019年12月は2年前(2018年1月)の販売台数を約7割も上回るほどの売れっぷりだったことが分かります。Windows 7サポート終了の認知が進んだことも売れた要因の1つだと考えられますが、2019年12月はビックカメラやソフマップ、ヨドバシカメラなどで第7世代iPadを5000円引きで販売するキャンペーンが期間限定で実施され、一気に売れたためとみられます(ビックカメラやソフマップはBCNの調査対象店舗)。

  • 2018~2019年の販売台数指数。赤のグラフは、2018年1月の販売台数を1とした指数を表している。2019年12月に大爆発したことが分かる

3月の新生活シーズンに向けて、このようなおトクなキャンペーンが再び実施される可能性もありますので、iPadの購入を検討している人はぜひチェックしておきましょう。